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奴隷からはじまる下克上冒険  作者: 明石 遼太郎
ナルマ街編
4/123

冒険に出る前に その3

「次にああなりたい奴は誰だ?」


 ノブナガは囲んでいる野盗たちに言い放つ。

 だが、返事は野盗の方からではなく、白い服の人からだった。


「あなたは?」

「あ、ノブナガです」


 白い服の人は、声からして女性だろう。

 白い服の胸元が若干膨らんでいるので間違いない。

 その女性は、きっとノブナガが何者なのかを聞いたのだろう。

 決して、流れ的にも空気的にも名前を訪ねたわけでない!

 だと言うのに、ノブナガは素で名乗りやがった!!

 女性も取り囲んでいる野盗たちも戸惑っている!!


「そ、そうですか。私はエリーナといいます」


 あまりの困惑に女性も名乗ってしまった!!


「で、次は誰がああなりたい?」

「ふ、ふんっ。お前1人でこの人数を相手する気か!?」


 ノブナガが本題に戻ってくれたおかげで、野盗たちも調子を取り戻した。


「まぁ、そういうことだな」


 剣を抜く、ノブナガ。

 レベル上げで魔物を狩りまくったおかげで、剣の扱いもすっかり慣れたものである。

 ノブナガが剣を抜くと、野盗たちも各々の武器を構える。

 ノブナガは視野を広くして、野盗たちを観察する。


(武器は杖が2人、短剣と斧が1人。あと素手の奴が1人。まぁ、大丈夫かな)


「おらっ!」


 斧使いーー“斧術士”の野盗がノブナガの死角から斧を振るってくる。

 横に転がって躱す。

 そこに“拳闘士”と“暗殺者”が一斉に攻めてくる。

 拳をサイドステップで躱し、短剣を剣で弾く。


 しかし、それが出来たのか数秒間だけ。

 すぐに対応できなくなって、堪らずバックステップで間合いから離脱する。

 が、“暗殺者”の方は速さに自信があるのか追撃してくる。


 そこでノブナガも前に踏み出して迎え撃つ。

 突き出してくる短剣。

 その短剣に合わせて左手を伸ばすノブナガ。

 ノブナガの左手と野盗の短剣が交差したかと思うと、次の瞬間には短剣を手にしているのはノブナガだった。


「ッ!?この技は!!お前ーーワブッ!!」


 短剣を奪ったノブナガは、奪った短剣を使わず剣を持つ手の形のまま“暗殺者”の顔面を殴った。

 “格闘術”のスキルはないが、VITが低い“暗殺者”だ。

 一撃で昏倒した。


 “暗殺者”の野盗が驚いていたが、ノブナガがやったのは“暗殺者”の技術だ。

 相手の武器を手首の力と捻りで奪い取る技術。

 “暗殺者”同士でするのは至難の技だが、AGLの高さと不意を突けば簡単だ。


「オラッ!!」


 “暗殺者”に拳をぶち込んだ直後、それを見計らっていたかのように“斧術士”が襲いかかってきた。

 ノブナガはなんとか反応して、剣で受ける。

 だが“斧術士”の方が力が強いようだ。

 ノブナガは瞬時にそれを判断し、斧を受け流した。


 地面に深々と突き刺さる斧。

 それを見越して、ノブナガが左手の短剣を3度振るう。

 “斧術士”の太い腕に切り傷を刻む。


「うっ!!」


 腕に走る激痛で、斧を手放す野盗。

 そこに“暗殺者”と同じようなに昏倒させようとする。

 がーー


「危ない!!」

「ッ!?」


 白い服の女性ーーエリーナの叫声が響く。

 それに反応したノブナガは、杖を持つ野盗たちの方に視線を向ける。


「ーー“アクア・スプラッシュ”!!」


 1人の野盗が持つ杖が光り、出現した水が一直線に飛び出る。

 狙いはもちろん、ノブナガだ。


(魔法!?やっぱり、この世界にもあったのか!!)


 初めて見る魔法に驚愕しつつも、“斧術士”に放つはずだった動きをキャンセルして後ろに跳び去って躱す。

 が、それだけじゃ終わらなかった。


「ーー“ブラック・バレット”!!」


 遅れて、もう1人の野盗の魔法が発動する。

 闇が凝縮された玉が出現し、ノブナガに襲いかかる。


(時間差で狙ってきやがった!これは無理だ!!)


 ノブナガは飛び去った直後だ。

 これを躱す事は出来ない。

 ノブナガは覚悟を決め、剣で“ブラック・バレット”を斬った。


 斬れる保証なんてなかった。

 だが、なんの抵抗もしないよりはマシだと思っての行動だった。

 結果は斬る事ができた。

 が、斬った瞬間に“ブラック・バレット”は爆発してノブナガを吹き飛ばした。


「かっ」


 吹き飛ばされた直後、背後にあった木にぶつかった事でそれほど飛ばされる事はなかった。

 が、結果的にノブナガのHPは15削られた。


 ノブナガが持っている天紋はすべてMNDが低い。

 が、塵も積もれば山となる、だ。

 普通はレベル差も考えてワン・キルだったところを、ダメージ15まで抑える事ができたのだから。


 ノブナガは剣を杖にして立ち上がる。

 久々にHPが削られる感覚を味わった、ノブナガ。

 HP的にまだまだ余裕はある。


(ここは一気に決めるのが勝ちだな)


 立ち上がったノブナガに“拳闘士”が襲いかかる。

 魔法を使う為の時間稼ぎなのだろう。

 魔法を使うには詠唱が必要で、初級の詠唱でも数十秒はかかる。

 だから、ノブナガはーー


「悪いが、あんなは後回しだ」


 歩法術スキルの派生スキル[+無拍移動]を発動する。

 “拳闘士”が振るってきた拳をすり抜け、一瞬で詠唱に集中している野盗の懐に入り込む。

 剣を振るって、野盗が持っている杖を弾く。

 さらに一瞬で背後に回り込み、頭に剣の柄頭を叩き込む。


 派生スキル[+無拍移動]は相手の虚を突いて一瞬で懐に入り込むスキルだ。

 レベルアップに夢中になっていたせいで、いつ発現したのかまったくわからないスキルだ!


 魔法使いの野盗を1人昏倒させた後、もう一度[+無拍移動]を発動させて、もう1人の魔法使いの背後へ。

 またまた同じように剣の柄頭を後頭部に殴りつけた。

 これで残りは“拳闘士”と“斧術士”の2人だけ。


 と思ったが、戦闘はここまでだった。

 “斧術士”は腕を斬られて戦闘不能。

 実質1人になった“拳闘士”が白旗を上げたからだ。

 理由はーー


「俺は死にたくないんでね」


 そういう事らしい。


(まぁ、殺しはしないんだが)


 とりあえず、騎士に突き出す事にした。

 問題は拘束する為のロープがない事だったのだが、野盗たちの持ち物を調べたらロープが出てきたのでそれを使う事にした。


 “拳闘士”の野盗にも手伝わせ、野盗たちをひと塊りにして縛る。

 しかし、これだけじゃ目を覚ました時に逃げ出さないか不安になる。


(天紋を奪っておくか。ステータスがなくなれば、逃げ出す力もなくなるだろうし)


 という事で、1回2人のペースで1分間触れ回って天紋を“簒奪”して行く、ノブナガ。

 計3分かけて、全員の天紋を“簒奪”した。

 懐からステータスプレートを取り出してステータスを確認する。


 ======================

 ノブナガ 12歳

 天紋:剣士・暗殺者・投術師・拳闘士・槍術士・斧術士・水術師・闇術師 レベル:5

 HP:1615/1640

 MP:1110/1110

 PHY:2080

 STR:1500

 VIT:1360

 INT:1370

 MND:1350

 AGL:1550

 スキル:簒奪・投擲術[+即擲]・剣術・歩法術[+立体移動][+無拍移動]・短剣術・気配探知

 ======================


「うほっ」


 ノブナガさんの口からエクトプラズムが飛び出した!!

 ノブナガさんの驚愕許容範囲が一瞬でブレイクされた!!


(ちょっとおかしくないですかね!?ビフォーアフターがまったく噛み合ってないんですけど!?)


 口からよくわからないエネルギーを出しながらも、心の中で驚愕を叫んでいるノブナガさん。

 なんとかよくわからないエネルギーを飲み込み、自分のステータスを改めて見る。


(うわぁ、ガチでバグったよ……)


 自分のステータスを見て、若干ビビっているノブナガ。

 これを見られた、もう言い訳なんてできたもんじゃない。

 下手をすれば、今のノブナガは上級紋を持った者よりも強いかもしれない。


(はぁ……仕方ない。いつか中級紋も欲しいと思っていたけど、自重しよう。俺はもうレベルアップだけで満足だ。それより、あの人を)


 気持ちを切り替えたノブナガは、野盗に襲われていた女性ーーエリーナの方へ歩み寄る。

 ノブナガが歩いてくるのがわかり、立ち上がろうとしたが傷が痛んだのか倒れそうになった。

 地面に倒れる前に、ノブナガが瞬時に駆け寄って抱き止めたおかげで地面に衝突する事はなかった。


「だ、大丈夫ですか!?」

「は、はい。ちょっと刺されてしまって……自分で治療するので大丈夫です」


 そう言って、手にしている杖を突いて体勢を立て直すエリーナ。

 少し息を整えると、綺麗な音色で唱え始まる。


「天空からお眺めになられし天神よ。汝の慈悲深き心持って彼の者たちを癒したまえ。安らぎを一身に浴び、戦場に赴いた戦士たちに光の領域をーー“天周”」


 ゆっくりと唱えられた魔法は確かに発動する。

 地面に直径二メートルの魔法陣が出現し、そこから光が溢れ出る。


「これは……広範囲の回復魔法!?これが使えるのって……」


 上級回復魔法“天周”は術師を中心に周りにいる者たちに治癒をかける魔法。

 術者によってかける者を選別できるし、回復魔法の中でも便利な魔法だ。


「あ、はい。私の天紋は“聖女”です」


 “聖女”は上級紋に位置する希少な天紋。

 上級紋はレベル1の時からステータスが高く、レベルアップで起こるステータス上昇も低級紋と比べ物にならないぐらい高い天紋だ。

 その中でも“聖女”といえば、女性にしか持つ事ができないので有名な天紋である。

 “聖女”が施す回復魔法はどんな重傷でも治す事が出来ると言われている。


「そうだったんですか。じゃあ、自分が来たのは余計なお世話でしたね」

「い、いえ!そんな事は決してないです!!」

「そ、そうですか?なら、よかったです。あ、自分まで回復させてもらってありがとうございます」

「わ、私こそ、助けていただいてありがとうございました!」


 少し2人のテンションがちぐはぐだが、会話は成り立っていると思う。


「それにしても、どうしてこんな所に1人で?」

「私、旅をしていまして。ナルマ街に行く為にこの林に入ったのですが……野盗に襲われてしまって」

「そう、だったんですか。災難でしたね」


 昨日、自分も盗賊に襲われているのでちょっと近いものを感じるノブナガ。

 ちなみにナルマ街はノブナガがいた街の事である。

 でも、野盗たちの天紋は低級紋だった。

 いくら戦いに向いていない聖女でも、低級紋ぐらいならステータス差で逃げ切れたはずだ。

 そこら辺をエリーナに聞いてみた、ノブナガ。


「最初はあの人たちだけじゃなくて、多分中級紋を持った人もいたんです。その人に刺されて、荷物も持って行かれてしまって……」

「そうですか……」


 戦闘向けの中級紋がいたらしい。

 そこで、昨日も思った疑問が蘇る。


(戦闘向けの天紋を持つ者は軍に入っているはずだ。じゃあ、昨日の盗賊やこの野盗たちはどっから出て来たんだ?)


 盗賊や野盗が持っていた天紋はすべて戦闘向けのものだ。

 酒場で“調理師”に聞いた情報では、軍に入っているはず。

 でも、現にこうして目の前にいるのだ。

 疑問が残る、ノブナガ。


「どうかしましたか?え、っと、ノブナガさん」

「ノブナガでいいですよ。多分、エリーナさんの方が年上じゃないですか?」

「え?私、13なんですけど……」

「自分は12なんで、エリーナさんの方が年上ですね」

「そ、そうですね。で、でもっ、ノブナガさんは命の恩人ですし!」

「ははは。別にそんな大層な者じゃないですよ。まぁ、わかりました」


 ノブナガはエリーナの慌てっぷりに微笑みながら頷く。

 事情は聞く事ができたし、そろそろここを動かなくてはならない。

 もうそろそろ夕方になって、すぐに暗くなる。


「荷物を取り返しに行きましょう。動けますか?」

「は、はい。でも、荷物を取り返すなんて……お気持ちは嬉しいですけど、危険です」


 エリーナはそう言うが、荷物がない状態で旅に出られるわけがない。

 見た限りお金も一緒に取られているようだし、ナルマ街に着いても買い揃える事はできない。

 一旦街に帰って、また来るのは論外。

 1日でも間を空ければ、もう野盗たちの手の内に荷物はないかもしれない。

 荷物を取り返すチャンスは、今しかない。


「大丈夫です。俺が前衛で戦ってエリーナさんがサポートしてくれれば、野盗なんて楽勝ですよ」

「……そうですね。よろしくお願いします」


 ノブナガの言葉に頷くエリーナ。


 ノブナガは1人意識のある“拳闘士”だった野盗に盗んだ荷物の在り処を聞いた。

 最初は言うのを渋ったが、剣を抜いたらあっさりと吐いた。

 どうやら、ここから東に進んだ所にアジトがあり、そこにエリーナの荷物があるらしい。


 縛っている野盗を連れて行くのは面倒なので、そこら辺の木に繋げて出発するノブナガとエリーナ。

 “気配探知”を使って辺りを警戒しつつ進む。

 その時、探知に引っかかった人の気配が1人あったので大体の距離がわかった。


「それにしても、戦闘向けの天紋を持つ野盗だなんてどうなっているんでしょうか?」


 野盗のアジトに着くまで時間がかかるので、話題探りのためにも気になっていた事を聞いてみたノブナガ。

 すると、エリーナは心当たりがあるような反応をして口にする。


「多分ですけど、戦争で軍隊と離れてしまった騎士が野盗まがいな事をしているんだと思います。戦場から逃げてしまった人は死刑ですから、戻る事も表に出る事もできなくて野盗をしているんだと思います」

「なるほど。そういう事だったんですね」


 ずっと疑問に思っていた事がわかった、ノブナガ。


(あれ?でも……)


 そこで、新たな疑問が浮上するノブナガ。


「……確か、“聖女”も戦闘向けの天紋でしたよね?もしかして、エリーナさんも……?」

「あ、い、いえ!私は……事情があって軍には入ってなかったんです……」


 ノブナガの質問に、エリーナはなんとも答え辛そうに言った。

 聞いた後で、自分の無神経さを咎めるノブナガ。

 ここはちゃんと返してあげないと、不安にさせてしまう。


(あんまり、自分の事を匂わせたくないが……仕方ないか)


「そうですか。別に言いたくなければいいですよ?俺もエリーナさんと一緒ですから」

「え……?」

「ちょっと訳ありでして。剣士なんですけど、軍には所属してないんです」


 ノブナガは苦笑いを浮かべながら言う。

 さっきの少し静まった空気が、元に戻ったような気がした。

 エリーナは「ふふふ」と笑い、嬉しそうに言った。


「それじゃあ、私たち似た者同士ですね?」

「えぇ。そうですね」


 野盗のアジトに着くまで、話し続ける2人。

 ノブナガはこの世に生まれてから、こんなに話した事がないので嬉しそうに話している。

 エリーナもノブナガの笑みに釣られて微笑んでいる。


 そして、ついにアジトへとたどり着いた。

 林の中にポツンと建てられている天幕が、野盗たちのアジトである。


(あそこだな。探知には1人しか引っかかっていない。つまり、中にいるのがエリーナさんが話していた中級紋)


 中級紋がどれぐらい強いのかわからないが、相手は1人だ。

 奇襲が成功すれば、一瞬でケリがつく。


「行きましょう」

「はい」


 足音を出来るだけ立てず、天幕に接近する。

 ノブナガは剣を、エリーナは杖を構えて準備万端だ。

 お互いの顔を見て、頷き合う。

 次の瞬間、ノブナガは天幕中へ駆け込む。

 その後ろにエリーナも続く。


「動くな!」

「な、なんだ!?貴様は!?」


 天幕の中は広く、隅にいろんな物が置かれている。

 そんな1番奥に、40代ぐらい男が地面に座り込んでいた。

 ノブナガの奇襲の声に反応して、振り返る男。


「盗られた物を返しにもらいに来た」

「そう簡単に返すわけなかろう!ーー“錬成”!!」

「ッ!?」

「ノブナガさん!!」


 地面に両手をついて、スキルを発動した男。

 ノブナガはそれを見て驚愕する。

 男が反撃してきた事に驚愕したわけではない。


 “錬成”は天紋“錬成師”しか持つ事ができないスキル。

 しかし、その“錬成師”はーー非戦闘向けの低級紋だ。


(中級紋じゃない!?)


 ノブナガが驚愕している間に、ノブナガの周囲の地面が急に隆起し、一瞬にしてノブナガを閉じ込める檻を作り出した。


「ふんっ。たわいもないわい!!」

「それはこっちのセリフだ!」


 男が勝ったかのように叫ぶのに、ノブナガは檻に向かって剣を振るう。

 ノブナガの全力の薙ぎ払いは“錬成”で作り出された檻をスパンッと斬られ、ノブナガは檻から脱出した。


(さすが天紋8つ分!チートにもほどがあるだろ!)


 自分のステータスを褒めているのか貶しているのかわからないような事を内心で叫ぶ、ノブナガ。

 檻から脱出すると同時に、“錬成師”の男へと駆け出す。

 広いといっても、所詮は天幕の中。2秒もかからない。

 男の“錬成”で地面の壁に邪魔されようが、それをぶった斬りながら足を止めずに進む。


「なっ!と、止まれ!止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ!」

「うっさい!ジジィ!!」


 本当にうるさかったようで、男の下にたどり着くなり胸元に蹴りをぶち込んだノブナガさん。

 逃さないように、そのまま地面に押さえつけるように踏んだ。


「うふっ」


 地面に押しつけられたせいで、男の口から空気が漏れ出す。

 それでも抵抗されたら面倒なので、押さえる力も緩めず首元に剣を突きつけておく。


「もう大丈夫ですよ、エリーナさん」

「はい。やっぱり、お強いですね、ノブナガさん」

「ははは……それほどでも……」


 まるで謙遜しているように見てるが、ノブナガにはまったくそんな気はなかったりする。


(苦労して手にした力じゃないからなぁ。なんも胸を張って言えることじゃないし)


「は、離せ!」

「……エリーナさん、一応確認なんですけど。エリーナさんを刺したのはこの男ですか?」

「いえ。この人じゃないです」

「ですよね……」


 ノブナガは足元で喚いているのをサラッと無視して、一応エリーナに確認を取ってみた。

 当然、答えはノーである。

 初級紋、それも非戦闘向けの天紋に上級紋の速度に追いつけるわけがない。


(ちょっと嫌な予感がするな……)


 ノブナガは“気配探知”を発動する。


「ッ!!」

「ど、どうしたんですか!?」


 “気配探知”を発動した瞬間、目を剥いて驚くノブナガ。

 その様子を見ていたエリーナが声を上げて聞く。


「……すごい速度で誰かがこっちに向かってます。多分、エリーナさんを刺した中級紋だと思います」

「に、逃げないと!」

「ダメです。もうここまで来ました」


 ノブナガが天幕の入り口をジッと見ながら言う。

 そう言った瞬間、天幕の入り口がバサッと開かれ、青い鎧を着て腰に剣を帯剣している30代の男が入ってきた。


「ジジィ、帰ったぞーお?お前ら誰だよ」


(はぁ……次から次へと……マジでもう旅に出たい……)

主人公ののステータスで物申したい事がある作者です。


「奴隷からはじまる下克上冒険」を読んで下さってありがとうございます。


まず、ステータスについて物申します。


こんなはずじゃなかった……

自分はステータスをつける際に、各天紋ごとにステータスを作ったのですがーー


それに従ったらこうなりました。

ステータスをつけた時は口から魂が抜けそうでした……


主人公の強さとして例えますとーー

レベル16の勇者並みです。


レベル5の元奴隷があっさり超えちゃいました。


ただ、ステータスだけが強さではありません。

戦闘経験の差で、格上に勝てる事もあります。

なので、次回の戦いも楽しみにしていてください!

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