表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

part3

 思わず変な声が出てしまった。

「あ、あ、あ、あの、美玖ちゃん?」

「はあ……もういい、もう隠すのやめよう、だめだ、素直になろう」

 突如、美玖ちゃんの様子がガラリと変わって、私はただただ硬直してしまう。

「美玖……ちゃん? いつもと雰囲気が……」

「あのねニナちゃん、私だって、ありがとうって言いたい事はいっぱいあるの」

「そ、そうなの?」

「たとえば、この前風邪の時お見舞い来てくれたの、ありがとうって言いそびれてた。ありがとね、すっごく嬉しかったのに、つい、帰れって言っちゃって……ほんとごめん」

「いやいやいや、美玖ちゃんがうつるから来るなって言ってくれてたのに、押しかけちゃったのは私の方だし、ま、まあ大好きな美玖ちゃんの危機だったから、つい……」

「あと、いっつも私と一緒にいてくれて感謝してる、ありがとう」

「あ、それはお互いさまというか、こっちこそありがとう」

 何この、すっごく恥ずかしくて、すっごく嬉しい時間。

「それとね、すごく大事なお話があるの、これどうしても聞いてほしい、……いいかな?」

「あ、はい、聞きます! えっと、なにかな?」

「えっとね、えっと……ごめん、ちょっとだけ時間ちょうだい」

「ど、どうしたの? み、美玖ちゃん、顔真っ赤だよ……? 大丈夫?」

 美玖ちゃんは私の問いかけには答えず、追い詰められたような表情でうつむいた。まるで何かを覚悟してるかのようだった。息を何度も吐き、そしてついに、意を決したように顔を上げると、私の瞳をじっと見つめ、口を開いた。

「えっと……その……、あああああ! うじうじすんな私! ほんと、ニナちゃん見習えっての! えっとね、ニナちゃん、好きって言ってくれるの本当に嬉しいから、心の底から感謝してるから! どうしてって、その、私もニナちゃんが好きだから! い、以上!」

 美玖ちゃんは言うだけ言って、顔を真っ赤にして俯いてしまった。それを見て私は、ただ口をあんぐりと開ける事しかできない。え、待って、今美玖ちゃんは何を言ったの……?

 今のって告白じゃないの? え、私のただの自惚れ? でも好きって、え?

「美玖ちゃん……?」

「……っ」

「ねえ美玖ちゃん、今の言葉もう一回聞かせてもらっても……」

「無理だって……っ」

「お願い! もう一回聞きたいの、ちゃんと聞きたいの!」

「あああああ、もう! じゃあこれで分かって!」

 突然、私の顔に美玖ちゃんの顔が覆いかぶさったかと思ったら、唇にふわりと柔らかい感触が押し付けられた。ふんわりと柑橘系の匂いがして、すぐに離れていく。

「これで、分かった?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ