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頼られる存在です

■朝の来客


 トンッ、布団の上にクロが乗っかる。

 朝だ、クロが起こしに来てくれた。


クロ

「主、客だぞ」


「客? こんな時間に?」


クロ

「ちょっと表にでてくれ」


 クロにせかされて、裏庭に出ると、野良猫公園で出会った三匹、

ドラ太、ヒゲマユゲ、ミケ子がそこには居た


「どうしたの?」


ドラ太

「いつも餌をくれるおばさんが、

救急車に乗せられて病院へ連れて行かれたらしい」


「大変だ、おばさんは、どんな様子だった?」


ドラ太

「会話してた内容だと、たぶんギックリ腰だと思う」


ヒゲマユゲ

「あのおばさん、ちょくちょくやるからな、

いつもだいたい2~3日くらいで、帰ってくるけどな」


「よかった~、大したことは無さそうだね」

 安心した、いやギックリ腰も十分きついけどね。



ミケ子

「それで、悪いんだけど、おばさんが病院に帰ってくるまで、餌をくれない?」


「いいよ、そのくらいだったら頼ってよ、今持ってくるね」


 クロ用の餌のストックから、適当に空けて野良猫達へと振る舞った


ドラ太

「うまいなこれ」


ヒゲマユゲ

「クロ、お前、良いもの食ってんな」


クロ

「そうなのか? 普通の餌だと思ってた」


ミケ子

「これ高級品よ、結構な値段がするんじゃない?

うちらの餌は、もっと安いのでも良いわよ」


ドラ太

「そうだな、正直に言うと味の違いがそこまで解らないし、

安いヤツでいいぜ」


「大丈夫だよ、気にしないで食べておくれ」


 でも、この先の事を考えると、お金の事はちょっと考えた方が良いかも

バイトもする事も本格的に視野に入れるかな。


 野良猫達の食事を終えてひと段落ついた、

 さて、僕も食事を取ろうかな。

 台所に戻ると、お母さんが食事の支度をしてくれていた。


「おはよう、お母さん」


お母さん

「おはよう、今日はいつもより早いのね」


「ちょっと野良猫に餌をやっていた」


お母さん

「これ以上、猫を飼う、なんて言わないでよ」


「大丈夫だよ、裏に住んでいる、猫に餌をやっている、おばさんがいるじゃない?」


お母さん

「居るけど、その方がどうかしたの?」


「ギックリ腰で入院して、その間だけ餌をやるだけだから」


お母さん

「あら入院した、なんて噂は聞いてないわよ」


「昨日の夜の話らしいよ、野良猫達が言ってた」


お母さん

「……あら、そう」


 僕は身支度を整えると、大学へと向かうため、家を出た

 隣の庭を見ると、非常に珍しい鳥がいた。




■ウグイス来襲


 隣の家には、珍しい鳥、ウグイスが居た。

 直ぐにウグイズだと分かるのは綺麗な鳴き声で鳴いているからだ。


 とても美しい鳴き声だと思う、言葉さえ解らなければの話だが……



ウグイズ

「超、ウルトラ、スーパースターのウグイス様だ、

お前ら餌場を空けろ、頭が高い」


メジロ

「まて、俺にも少し餌を分けてくれ」


ウグイス

「なんだ、メジロか、ちょっと珍しいだけの鳥が粋がるなよ、

歌も芸も何もない3流の鳥は引っ込んでろ!」


メジロ

「うぐぅ」

メジロがすごすごと、引き下がる。

昨日、威張り散らしていたメジロがぐうの音も出ない。


 酷い格差社会だ、人間の社会の方がまだましかな。

 いや、人間の社会も酷いところもあるし、

一概にどちらが酷いとは言えないかな……


 まあ、いいや、大学へ行こう。




■ランーチタイム


 いつもの様に、真理子さんとランチを取る。

 ランチを取り終わった後、サプライズ発表がある、

この日の為に取り寄せた特別なモノがある。


「真理子さん、ちょっとこの本を見て」


 そう言って、特別に取り寄せた本を見せる

『犬のマッサージ 初級編』


真理子

「試してみたいのね、ブルにあまり無茶はしないでよ」


「心得ております」



「ブル、ちょっとマッサージしたいんだが、触ってもいいかな?」


ブル

「あまり変なことはするなよ」


 本をめくり、マッサージの仕方を見る

「なるほど、ええと、こんな感じかな」


ブル

「痛い、痛い、もっと力を抜け」


「このくらい?」


ブル

「ちょっと弱いな、あともう少し上だ」


「なるほど、もうちょい上ですか」


ブル

「そこ、そこだ、そんな感じで頼む」


「心得ました」


真理子

「ブル、気持ちよさそうね」


「まあ、指示どうりにやっているからね」


真理子

「???」


 さてと、こんな調子でマッサージが一通り終わりました。

 ブルもご満悦のご様子。


ブル

「お前、なかなか献身的だな」


「なかなか献身的でしょ」


ブル

「また、時間のあるときに頼むよ」


「いつでも言ってよ」


 楽しいランチタイムはあっという間に終わって、

 午後はあの、つまらない必須科目の授業だ。




■親友への相談


 いつものつまらない授業だ、この授業で唯一の楽しみは、

親友、葉矢水(はやすい)との会話くらいしかない。


「よう、久しぶり」


葉矢水

「ひさしぶり~」


 今日は無駄話の前に、話がある、重要な相談だ。

 人生を分岐する相談と言っても良い。


「実は、相談があるんだ」


葉矢水

「どうした、真剣は顔をして、恋愛の相談か?」


「いや、バイト始めようかと思ってね、

葉矢水はバイトしてるじゃない、バイトってどうよ?」


葉矢水

「なんだ、そんな話か、まあ楽っちゃ楽だよ」


「たしか、コンビニのバイトだっけ」


葉矢水

「そう、混雑時以外は楽な仕事だよ、

忙しいのは全体の時間の1~2割で、それ以外は暇だし、

面倒な事は社員さんがやってくれるし、

意外と気楽だよ」


「そうか、やってみようかな」


葉矢水

「珍しいな、金が欲しくなったのか」


「うん、まあね」


葉矢水

「何か欲しいものでも出来たのか?

つきあい長いけど、おまえが金使ってるとこは、

犬とか猫の餌にしか、金使ってるとこしか見て無いけどなw」


「そうなんだよ、お金稼いで、もっと犬とか猫の餌を買いたいんだよ」


葉矢水

「……おまえなぁ、まあ、おまえはそういうヤツだよな」


「ん? なにか変な事言った」


葉矢水

「いや、言ってない」


「そうか、あっ、教授が来た」



 そして授業が始まって、終わる。



葉矢水

「バイトの件、親父さんの説得が大変じゃないか? 県議会議員だし」


「そうなんだよね、そこが問題かな」


葉矢水

「まあ、無事に説得できる事を祈ってるよ」


「うん、がんばってみるよ」


 家に帰る前に、いつもの寄り道をしよう。




■野良猫公園


 野良猫公園へと寄り道する、ヒゲマユゲがそこには居た、声をかけよう。


「餌くれるおばさん、帰ってきた?」


ヒゲマユゲ

「まだ帰ってきてなさそうだな」


「夜になっても、帰ってこなかったら家に来てよ、餌を用意しておくから

あと、ドラ太とミケ子にも伝えておいてくれる?」


ヒゲマユゲ

「ああ、解った伝えておく、

夜9時くらいになっても帰ってこなかったらお邪魔させて貰うよ」


「待ってるね」


 さてと、餌を買いに、コンビニに寄りますか。


 ちなみに、このコンビニ、店の大きさの割には、

ペットの餌のコーナーが大きい。

 なにかと便利で、いつもお世話になっています。


 ペットコーナーで、野良猫たちの餌を買い込み、チラッと張り紙にも目を通す、

このコンビニでもバイトは募集している用だ。


 まあ、バイトは父さんを説得できるかどうかが問題だよな。

 さてと帰りますか。




■ご近所つきあい


 家に入ろうとすると、ご近所のおばさん達が話し込んでいた。


おばさんA

「そういえば、あそこの、おばあちゃんの家、庭の小鳥とか見ました?」

おばさんB

「いますね、珍しい鳥も来てる見たい」

おばさんA

「そうね、微笑ましいわよね」

おばさんB

「餌場がある見たいですよ」


 お隣さんのおばあちゃんの庭に集まって来る、小鳥たちの話をしているらしい。

 あの庭は素晴らしいよね、鳥たちで賑わっていて、美しい。

 鳥たちの会話の内容が分からなければ、さらに、とても美しい。



おばさんA

「でもちょっと、鳥の(ふん)がねぇ、汚れるのよね」

おばさんB

「あら、お宅も、うちもちょっと被害に遭っているのよね」


おばさんA

「これ以上酷くなってきたら、役所に問い合わせようかしら?」

おばさんB

「そうね、生活課あたりに問い合わせればいいのかしら?」


 あー、これは、ちょっとまずいな。まずい流れだな。

 ちょっと鳥達に声を掛けておくか。



「そこに居る、鳥の諸君、ちょっと話を聞いてくれ」


雀A

「うちらに話しかけてくる馬鹿がいるぞ」

雀B

「本当だ、馬鹿がいる」


「馬鹿って聞こえてるぞ」


ウグイス

「聞こえてる? まさかな?」


「聞こえてますよ、スーパースターのウグイス様」


雀A

「聞こえてるっぽいな」


雀B

「そういや、猫たちが話してたな、言葉が通じる人間がいるとか」


ウグイス

「まじか」


「まじです、それでちょっとお願いがあるんだけど?」


ウグイス

「なんだ、言ってみろ」


「できれば糞を、周りに()き散らすのは控えて欲しいんだけど」


雀A

「なぜ?」


雀B

「どこで糞しようが良いじゃ無いか」


「それが、このまま行くと、

周りから苦情が来て、おばあさんが、餌を置けなくなる」


雀B

「餌場が無くなるのは困る……」


ウグイス

「だが、どうしろと言うんだ、糞は我慢できねーよ」


「……しょうが無い、うちの庭でやってくれ、隣だし問題ないだろ?」


ウグイス

「まあ、そのくらいなら良いだろう、我慢してやろう」


「バケツを用意して置くから、できれば、そこをトイレにして貰えると助かるんだけど……」


ウグイス

「どこでしようが、お前には関係ないだろう?」


「そうですよね、関係ないですよね、

では、洗濯物だけは、勘弁して下さい」


雀A

「もし、洗濯物に掛けたらどうなるの?」


「うちの猫が黙ってません」

すまんクロ、名前を使わせて貰うよ。


ウグイス

「……まあいい、そのくらいなら譲歩してやるよ」


 なんとか話がまとまった。

 この先、自宅の庭の掃除をしないと行けなくなったが、

おとなりさんの、あの庭を守る為なら、しょうが無いかな。




■父さんの説得


 家に帰ってきた、今日は色々と疲れた。


「ただいま」


母さん

「お帰り」


「これから、庭の掃除は僕がやろうかと思うんだけど、どうかな?」


「珍しい事を言うのね、どうしたの、何か欲しいものでもあるの?」


 半分は、バレているな、バイトの件は、母さんに話しをしておこう。

「実は、ちょっと考えるところがあって、バイトを始めようと思ってるんだけど」


母さん

「急にどうしたの? まあ私は良いけど、お父さんがなんて言うのか、そこが心配よね」


「だよね、夕飯の時にでもきいてみるよ」



 そして、夕食の時間を迎えた。


 前にちょっと説明したかもしれないが、

うちの父さんは、県議会議員で、お堅い性格をしている。


 バイトをしたいと言ったら、どんな答えが返ってくるのか、

ハッキリ言って想像できない。


 ……考えても仕方ないかな、まあ出たとこ勝負で行こうかな、うんそうしよう。



 まずは、この話題を振ろう


「庭の掃除を、これからは僕がやろうと思ってるんだけど……」


お父さん

「珍しい事を言うな、どういう風の吹き回しだ?」


 さて、本題だ


「実はバイトをしようかと、考えているんだけど、どうかな?」


お父さん

「学業に影響が出なければ良いんじゃないか」


「バイトをしても良いの?」


お父さん

「変なバイトじゃ無ければな」


お、以外にもあっさりとOKして貰えた。


「やった、変なバイトという点では大丈夫、

今のところコンビニのバイトを考えているから」


お父さん

「うむ、まあ、猫と遊んでいるよりは、社会勉強になるだろう」


「うぐぅ」

 痛い所を付いてきた、まあ、良い、

とりあえずバイトの許可は取れた。



 自室に戻り、バイトの面接用に履歴書を書いていると、クロがやって来た。


クロ

「主、なにをしているんだ?」


「ああ、履歴書っていうのを書いている、ちょっとだけ、働こうと思って」


クロ

「ふーん、大変だな」


「これから、クロと遊ぶ時間が少し減るかも?」


クロ

「まあ、別に構わないが、それより客人だ」


「例の野良猫公園の3人かい?」


クロ

「ああ、そうだ、餌やりおばさんは、今日は帰ってこなかったらしい」


「そうか、じゃあ餌をもって外に行くね」


 外へと移動すると、3人が既に居た


「ごめん、待たせたかな」


ドラ太

「いや、そこは全然かまわないんだが……」


ミケ子

「出来れば、餌を貰えない?」


「良いよ、今回は色々な味を用意して置いたよ」


ヒゲマユゲ

「また、高そうな餌だな……」


「どうせだったら、おいしい方が良いでしょ?」


ドラ太

「味なんて、そんな気にしてないから」


ミケ子

「無理しなくて良いわよ、安いので良いから」


「お金が無くなってきたら、そうさせて貰うよ」



 さてと、バイトの件もあるし、これから少し忙しくなりそうだ。

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