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『僕』が『私』になれるまで  作者: ときひな
20/23

『ボク』と『友達』との青春の思い出 3

「おー、ゆっきーのお弁当美味しそう」

「……あげないよ?」


よく見れば、星奈の箸がボクのお弁当に伸びていた。

ボクは食べていたお弁当を持ち上げ、守るように身体を曲げ、半眼で星奈を見る。

佳奈と千里はマイペースにご飯を食べている。


「いーじゃーん、たまご焼きとハンバーグ交換しようよー」

「あぁ、もう、わかったよ」


あんまりにもしつこいので、仕方なしに了承した。

ボクが自分のたまご焼きを星奈のお弁当の蓋の上に置くと、星奈はすぐさまたまご焼きに箸を伸ばした。

もぐもぐ、ごっくんとして、反応がないので、美味しくなかったのかと思えば、


「おいしっ!このたまご焼きめっちゃ私好みの味っ!」


と叫びだした。

何事かとクラスメイトの視線がボクたちに集まる。

恥ずかしいからあんまり騒ぎを大きくしないでほしい。


「星奈、うるさい」

「星奈ー、うるさいよー?」


佳奈と千里が同時に注意した。……なんか息ピッタリだねこの2人。

そんなことは御構い無しに、星奈は捲し立てる。


「だってだって、すっごい美味しかったんだもん!これ、ゆっきーの手作り?それともお母さん?きっと他のおかずも美味しいんだろうなー。いいなー。ほしいなー」

「へー、悠希(ゆうき)ちゃん料理得意なのかー」


千里も一緒になって褒めていた。褒められて悪い気はしない。

星奈が落ち着いてから、ボクは口を開いた。


「一応、ボクが作ったんだよ。気に入ってもらえたみたいで嬉しいな」

「へぇ、それ悠希(ゆうき)が作ったのか」


いつの間にか後ろにいた匠に、残りのたまご焼きも取られてしまう。

ボクは1つも食べてないのに。


「ちょっと、匠っ、それ返して」

「ん?っと悪い、もう食っちまった」

「そんなぁ……」


ボクのたまご焼き……。

ちょっと落ち込んでいると、佳奈が匠を半眼で睨む。


「あーあ、匠が悠希(ゆうき)を泣かせたー」

「うそっ!?まじでっ!?」

「ちょっ!泣いてないし!」


割と泣きそうだったけど。この身体になってから、少しばかり涙腺がゆるい。


悠希(ゆうき)、悪りぃ。今度なんか奢る」

「レシエールのシュークリーム2個」


レシエールは、ここら一帯で1番大きい駅である霞原駅に併設されたショッピングモールの中にあるケーキ屋さんだ。

最近出来たばかりで、すごく人気が高く、店内もオシャレな雰囲気らしい。

らしいというのは、ボクは行ったことはなく、ただ前に紗枝さんがお土産だと言って買ってきてくれたシュークリームがすごく美味しくて、また食べたいと思っていたのだ。

ただ、ちょっと値がはるので、そんなにポンポン食べられるものじゃない。

ボクのお小遣いはそこまで多くはない。


「……マジ?せめて1個にしねぇ?」

「2個。譲らない」


せっかくの機会だもの。2個ぐらいねだったって……ねぇ?

そんなやりとりをしていると、千里と星奈が不思議そうにこちらを見ていた。


「千里?どうしたの?」

「えーっとねー、悠希(ゆうき)ちゃん、人見知りの恥ずかしがり屋なのに、その男の子と話すのは平気なのかなーって」


星奈もうんうんと頷いている。

なるほど。

確かに、女の子同士で名前を呼びあうのも躊躇うボクが、男の子と親しげに話すのは不思議かもしれない。

だけれど、もともとボクは男で、女の子と話す方が苦手だったりする。

……元男だなんて言えないけど。

考えていたボクに変わって、佳奈が2人に説明していた。


悠希(ゆうき)とこいつ、匠と私はね、家が近所で幼馴染なのよ。小さい頃からよく一緒に遊んでたから、匠は例外ってわけ。悠希(ゆうき)が人見知りなのは昔からだけどね」

「へぇー、そうだったんだ」

「なるほどぉー」


納得した様子の2人に、ボクからも質問してみた。


「星奈と千里も仲良いけど、そっちも小さい頃から?」


星奈が短く答える。


「私らは中学からだよ、ねっ、ちー」

「うんー、中学で出会ったんだけどー、なんか凄いウマがあってー」


まだ付き合いが短い、どころか千里は今日初めて会ったばかりだからか、星奈とウマが合うと言われてもピンとこなかった。

ふと後ろを見れば、匠が財布の中身と格闘していた。

いくら見つめても財布の中身は増えないって教えてあげるべきだろうか。


「なんとか、買えるけど、ぐおぉぉ……」


なんか見ていて可哀想になってきたので、救いの手を差し伸べよう。


「はぁ、匠、1個でいいよ。その代わり今週中ね」

悠希(ゆうき)ー、助かったぜー……」


まぁ匠を苦しめたのもボクだけど。

助けたのもボクだった。

ボクが匠に苦しめられたわけだが。

そんなやりとりをしていれば、後ろから星奈が「あー!」と叫び出す。

何事かと思えば、


「じゃあさ、今週の日曜にみんなでレシエール行かない?私もレシエールのケーキ食べたくなっちゃった」

「いいわね。お代は匠持ちかしら?」


佳奈が意地悪な顔で匠の方を見る。

匠はそれは無理だと全力で首を横に振る。


「じょーだんよ、でもレシエールは私も行ってみたいかも」

「オッケー決まりね!ちーもいい?」

「いいよー、楽しみだねー」


なんだかなし崩し的に日曜日に遊びに行くことが決まってしまった。

ボクはやれやれと肩を撫で下ろし、


悠希(ゆうき)、日曜日、ちゃんとオシャレしてきなさいね?」


佳奈に、服装について釘を刺された。


明けましておめでとうございます。

今年も、悠希(ゆうき)ちゃんたちを見守っていただければと思います。

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