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番外編1 ミルヒエルの独白

ケイと別れ、部屋に戻ったミルヒエルはベッドに戻らずに簡素に設えられた机に向かった。ボルティマ達の騒ぎ声で目が覚めて、もう寝付けそうになかった為に先程寝る前までしていた考え事の続きをしようと思ったのである。


 余談だが、ミルヒエルのような天使は本来睡眠など必要ではない。しかし、半四次元世界に滞在するときなど、自分の存在する次元を下げる際はそれなりの制約が掛かる。食事や睡眠が必要なのもそれが理由であり、ミルヒエルにとっては不自由に感じる要素の一つである。

 ついでに言うと、『半四次元』という呼び方はミルヒエル独自のものである。次元の有り方などは天使の中でも日々議論が交わされる不鮮明な問題であり、人間たちの世界の四次元目を『時間』とすることに反対する天使もいるし、自分たちは『四次元生命体』であり、人間たちが『三次元生命体』だと主張する天使もいる。

 早い話、割とみんな好き勝手な呼び方をしているのだ。


 閑話休題。ミルヒエルが考えていたこととは、『何故ケイがこの世界に来ることが出来たか』である。

 先程ケイに説明したばかりだが、この世界の住人は五次元の壁を越えることが出来ない。五次元とは、例えどれほどの時間が流れようと接触することが出来ない次元の壁。この世界の住人に越えられるものとは思えない。


 そもそも、この世界の文化水準はそう高いものではない。

 農耕などは行われていないし、鋳鉄などの技術も地球に例えると15世紀の水準にも到達していない。

 代わりに『魔法』という技術が存在するのだが、ミルヒエルが今まで回った世界には魔法に該当する技術が発達した世界は存在しなかったため、この世界の文化水準が実際はどの程度の高さなのかを測りかねている部分はあった。

 しかし、仮に彼女たちの魔法技術がミルヒエルの予想より高かったとしても次元の壁を越えるなど有り得ない。

 だが、現にケイは次元の壁を越えてこの世界に来たわけで……。


「いや、待て。私は何か根本的な勘違いをしているのではないか? そもそも、なぜケイ様が次元の壁を越えたと考えた?」


理由は簡単だ。この世界にはケイのようなニンゲンは存在しない。では、次元の壁を越えたと考えるのが普通……。


「……本当にそうなのだろうか?」


ミルヒエルはその時、一つの仮説に行きついた。しかし、これはケイにとってかなり過酷な説かも知れない。

「私が間違えているとよいのだが……」

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