城
「どうぞ。起きてますよ。」何処からか声がした。(チョットした魔法さ)ルドルフはそう呟くと、ゆっくりドアを開けて入っていった。
「貴方でしたか、あの小さな空飛ぶ乗り物。」部屋の奥から若い女性の声がする。「ハイ お騒がせしました。おまけに、焚き火までして--」思わず言葉が出なくなった。目の前のソファーに城主が来たためだ。(キレイだ)素直にそう思う。豊かな胸、整った顔、ビロードのような髪、でも見られて居ると、とても不安になる。夜桜を一人で見にいった時みたいだ。
「気になさらず。所で、貴方の名前聞いてもいいかしら?」
やはり苦手だ。「ハイ、はじめ かわもと です」喉が乾いて、ぎこちなく答えた。「私はダミア.ヒンデンブルグ。よろしくね、はじめ。今日は疲れたでしょ?詳しく話を聞くのは明日でいかが?」
赤く宝石のような瞳に見つめられると、ただ頷くしかなかった。「ルドルフ、部屋を案内して上げて。後、メイドに彼の着替えと風呂の準備を」ダミアは指示を出すと体をソファーに預け本を読み始めた。
ソーと部屋を後にする。「ナカナカりっぱだった」変な褒め言葉をもらう。「綺麗な人でした。でも見られて居るととても落ち着かない」ホホとルドルフが笑った。「あじめ、気にするなその内に慣れる。此処はとても静かだ戦争もない」思わず顔を上げる。「ホホ。あじめの体からは火薬の香りがする。とても大きな戦だったんだろ?今は静かだ争も無い。ゆっくり休むがいい」ルドルフの言葉に感謝をおぼえつつ、死んで行った仲間に申し訳なくて、複雑な気分になった。