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空の運送屋  作者: JUN
20/38

休日

 まだ夜明け前だとおもったが、11時前だった。久しぶりの朝寝坊だ。隣でソフィの寝息が聞こえる。ハジメは、ソフィを抱き寄せもう少し眠る事にした。外は雨音が聞こえる。肌と肌が触れ合う感触を楽しんでいると、部屋の呼び鈴が鳴った。居留守を使うつもりだったが、気になったので、ハジメはバスローブを羽織り、声をかけた。「お早う御座います。マイバッハ家の使いの者です。御手紙お持ちしました。」ハジメはドアを開けようか考えたが、ルドルフに用心しろと言われている事を思い出し、「ドアの隙間から、入れて下さい。」と答えた。

 手紙は、紛れもなくヨハンの物だ。ハジメはベットに戻ると、手紙を開封する。ソフィも胸元にシーツをあてながら、覗き込んだ。

 (ハジメ.ソフィ カワモト様  当家にて御食事にご招待いたしたく、手紙を送りました。御都合良い日取りを、御返事下さいませ。ヨハン マイバッハ。)

 「食事か。後でルドルフさんと相談しよう。ところで、二人のご飯どうするか?」「もう少し後で。昨日寝たのとても遅かったし」(それもそうだ)ハジメはベットに潜り込んだ。ソフィの甘い香りに包まれて、いつしか眠っていた。


次に目が覚めたのは、お昼過ぎだった。別に決めた予定もなくて、シャワーを浴びて、遅い昼食を食べていると、ルドルフがやって来た。「お早う。雨は嫌じゃな。関節炎が酷くなる。少ししたら、財務局と会議が有って、出掛けなければならん。ハジメ殿は、どうするかの?」ルドルフは、テーブルに有ったコーヒーを飲みながら、ソフィが食べ残したポテトフライをつまんだ。「実はヨハンから、食事の招待受けていて、返事と御礼を言いに屋敷に行こうかと。」ハジメは、昼間に来た手紙を、ルドルフに差し出した。ルドルフは、ロウで止めた封印の紋章を確認し、中身を改めた。「本人からで、間違いない。なら私の馬車で、屋敷まで送ろう。後、指輪と、ピストル忘れんでの。支度が整えたら、声をかけておくれ。」二人は、急いで身支度を整えると、ルドルフと、馬車に乗り込んだ。


屋敷まで30分程、カタカタと進んでいく。ハジメは汽車に乗ると、途端に眠くなる変な癖がある。どうも、単調なリズムに弱いらしい。この時もソフィに起こされた。「もうすぐ着くらしいです。」

 屋敷は、三階建ての立派な物で、黒い背広を着た男が出迎えた。用件を伝えると、応接間に通された。

「ようこそ、雨の中大変でしたね。」ワイシャツとスラックス姿のヨハンが、にこやかに現れた。

「招待状、有難うございます。」ハジメは頭を下げた。「いやいや、そんな大袈裟な事では。ただ、楽しい夕食にしたかったので。今から何処かにおでかけですか?」「別に予定らしい物は無いんです。土地カンも無いんで、どうした物かと。」ヨハンは、手帳を取り出し、パラパラとめくる。「これからの予定は無しですね。買い物ぐらいなら御案内差し上げます。」ヨハンはにこやかに笑うと、馬車の準備を命じた。

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