トンネル
何度かの攻撃をかわして、近くの雲に飛び込んだ。ガタガタ揺れる機体をなだめ、何とか水平飛行する。
素早く機体のチェックからだ。あちらこちら穴が開いているが、致命的なものは無さそうである。ただ、太陽が見えないので、何処なのか何処に飛べばいいかも解らない。
(焦ること無い。燃料はある。弾は少いが、何とか成るだろう。)
機首を基地の方向に向け雲の切れ目に向う。(まさか、待ち伏せされて無いよな。)
光り輝く所が見えて来た。雲の切れ目だろう。恐る恐る外に出てみた。誰も居ない。少し安心したが、同時に不安に襲わた。何か雰囲気が違う。遠くにメコン川 山脈などが見えないのだ。
(まさかコンパスが壊れた?)ポケットから方位磁石を出して確認、合っている。
仕方無く、基地の方向に向う。どれ位流されて何処に飛べばいいか分からず、途方にくれながら飛びつずけた。
かなりの時間が経ったとき、遠くに建物が見えて来た。しかし、見なれたジャングルの中の基地では無く、どうも城ぽい。(まさかあんな所城なんか。)ドンドン高度を下げてちか
ずく。お城である。しかも立派なものだ。少し離れた所に平な道路が有った.あそこなら降りれそうだ。
隼の足はとても弱く着陸には注意しなければ。しかし、路面は上空からの見た目ほど滑らかでなく、胴体着陸になってしまった。ガソリンは残り僅かで発火の危険なさそうだ。
持ち物を、引き出す。軍刀 26式拳銃 水筒 オニギリ(これが大事かも。)
その後、機体に火を付ける。タンクのコックを開けて、手投げ弾を入れた。
燃え盛る機体に合掌する。水筒の水を飲みながら、途方にくれるしかなかった。