遠征前夜
ルドルフが、ダミアの部屋に、やってきた。「姫様、来週サン・ペトロまでハジメ殿を向かわせるそうで」ルドルフは、ダミアに進められたウイスキーをいただきながら、切り出した。「流石ね、耳がいいこと」ワイングラスを傾け一口飲むと、ダミアはニッコリ笑った。「いや、小鳥が鳴いていたもので」「餌を蒔いたの、ハジメね。手間が省けたわ。ソフィに、必ずハジメの隣りにいなさいと、伝えておいて。」
とりあえず、隣の国に当たるサン・ペトロは、国王でわ無くて、大統領が治める国家なのだが、豊富な財源によりほぼ独裁体制をひていた。大統領の跡継ぎが居らず、婿養子をもらって問題解決したいところだが、醜三姉妹ではそうも行かなかった。噂では、恋薬を魔女に作らせて、隠し持っているとの事であった。
「なるだけ政治のゴタゴタ避けていきましょう。本当は私が行けばいいのだけれど、お昼は苦手。あの大統領も苦手。」ダミアは、ため息をついた。
「ハジメ殿とソフィは、同じ部屋にしておきます。護衛はソフィの指輪に、亡霊剣士を2体ハジメ殿にも2体、十分でしょう。」
ソフィは眠れなかった。街に行ける。しかも、ハジメと。妄想が頭の中を占領している。(下着どんなのがいいかしら、姫様の下着譲って頂こう。沢山かわいいの持っていたし。お風呂上がりは、ガウンに着替えて、中は何もつけないほうがいい?わーどうしよ~ 体のスキンケアもしとかなきゃ。))準備する事が多すぎて、ソフィは大変そうだ。
ハジメは、26年式拳銃を整備していた。構造は簡単でばらしやすい。しかし低威力だった。(今はこいつが頼りだ。随分と物騒なところらしい。気をつけて、行かないと)
それぞれ、忙しく週末が、過ぎて行った。