第0話:何も無いんだもん。
第零話です。物語のプロローグだと思ってください。
――7月の終わり。
深い山の中、1台のファミリー向けの車が夏の太陽の熱を浴びながら走っている。車からは古びた廃校が見える。
少し経つと、車は大きな山に囲まれた盆地にある、人口が200人ほどと思われる村を走っていた。そして、その村の外れにある平屋の古い家の車が2台ほど止められそうな砂利でできた駐車場へ入っていった。
車を運転していた男が車から降りて伸びをして言った。
「ふぅ〜…やっと着いたな」
助手席に座っていた男の妻と思われる女が降りてきた。
「結構時間かかったわね」
後部座席から中学3年生ほどのまだまだ幼い青年が出てきた。
「父さん!お土産忘れてるよ」
男が小走りで車の方へ戻ってきた。
「そうだった。あぶないあぶない、
どうにも最近忘れっぽくてな」
玄関が少し歪んでいるようで固いようだった。
男は力強く開けた。
「ただいま!帰ったぞ!」
家の中に居たおばあさんが返した。
「おかえり。久しぶりだねぇ、そんな重そうな荷物もって早く入りな」
優しい声で言った。
しばらく経った。
荷物の整理は終わったようだ。
女は、おばあさんとキッチンで昼ごはんを作っている。
青年は、縁側に座って庭の奥にある川に目をやっている。その隣に男は座った。
「たまには、こういう田舎のばあちゃんの家に来るってのもいいもんだな」
「全然楽しくない。だって、何も無いんだもん」
青年は退屈そうにそう言った。
「それじゃあな、お前も大きくなったし俺がお前と同じくらいの歳のときに経験した話をしてやるよ。短くて、長くて、辛くて、嬉しくて、悲しくて、楽しかった俺の、、、いや、
俺たちの夏休みの40日間の旅の話を。」
読んで頂きありがとうございます!
これからこの物語を書いていくに当たって☆やコメントください!モチベ上がります!不定期にのんびり投稿していくのでお願いします!