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86──VSリゲル

 


 むんっと怒った様子のリゲルが俺を睨んだまま、ウルトラハンドを素手で解体して囚われのメルを助け出す。


「はい、もう大丈夫だよメルちゃん」

「ありがとう、リゲル!」


 途端に元気を取り戻したメルがニコっと笑ってリゲルの後ろに隠れる。


「ごめんね、イルスとペールの二人相手じゃあたし敵わなくて······」

「ううん、メルちゃんは凄いよ。よく頑張ったね」

「えへへ······」


 メルの頭をなでなでしてたリゲルが、甘い顔と声を引っ込めてキリッとした表情を俺に向ける。


「イルス! ペール! また悪さしてっ! カーリーとレンも保健室で手当て受けてるんだからね! それに、良い大人がよってたかってメルちゃんみたいな子をいじめて恥ずかしくないの?!」

「ウチらも大人じゃないっス!」

「それに、いじめてたなんて誤解だ。メルの事を愛でただけだぞ。痛めつけたのはペールだ」

「あっ!? またウチを売ったっス!」


 リゲルはじとーっとした眼を俺に向けたまま、メルに「そうなの?」と聞いていた。


「ううんっ! イルスってね、ほんとにエッチなの! あたしのスカートを捲ってくるの!」

「またそんな事したの?! もうっ!」


 呆れたように怒るリゲル。


「イルス! そんな事したら女の子にますます嫌われちゃうよ? もうちょっと紳士的にしよう?」

「俺は紳士だぞ」

「どこがっ!」


 よし、リゲルは結構アホの娘だし上手く言いくるめよう。


「リゲル。紳士と変態には根本的な違いはない。要は振る舞いの違いだ。紳士は女性の前に跪いて手にキスをし、変態は女性の前に跪づいてスカートを捲りながら踏みつけられる事に自らの好意を示すのだ。しかし、どちらも敵対の心はない。あくまで相手の女の子が好きなだけだ」

「そ、そうなのっ? そんな愛情表現なの?」


 戸惑うようにスカートの裾を押さえるリゲル。萌えるぞー。


「そうだ。分かってくれたか?」

「そ、そうだったんだ。私、てっきりイルスが欲望のままに振る舞ってるのかと······」

「リゲル~っ、そんなの口からでまかせだよ~!」

「はっ!? 危ないっ、またイルスの口車に乗せられるとこだった!」


 くそ、リゲルはチョロそうだが取り巻きは流石にそこまでお人好しじゃないか。


 再び構え直すリゲル。


「なんにせよ! カーリーとレンも凄く怒ってるんだから謝りに行かないと許さないよっ!」

「ちっ、仕方ない。こっちにはペールが居るんだ。2対2なら負けんぞ。やれ、ペール!」

「リゲル相手はキツイっス、二人でやるっス!」

「もちろんだっ」


 空中戦ならダブルUFOのこっちが有利──


「それならいくよっ!」


 リゲルの姿がフッと消えた。

 と思ったらまた目の前に現れた。


「!!? マジで速すぎねえかっ?!」

「やあーっ!!」


 ──ズドンっ──


「むっ」

「同じ手は食らわんぜっ!」


 繰り出されたパンチをウルトラハンドで防ぐ。

 が──


「っ? う、動かねえ!?」


 どうやら今の一撃でアームの構造がひしゃげてしまったらしい。レバーを動かしても反応しない。


「たあっ!」


 追加されるリゲルパンチによって早くもウルトラハンドが一つ破壊された。


「くそっ! ペール! 援護しろ!」

「了解っス!」


 ──ズドドドドドッ──


 リゲルから距離を取ると同時に側面からペールの援護射撃が展開される。


「お友達の技っスよー!受けてみるっス!」

「わっ!」


 迫りくる砲火に身構えるリゲル。そこへ、メルがサッと前に出た。


「ウインドウォール!」


 風の膜壁がゆらりと展開され、ペールの影散弾を全てうやむやに搔き消した。


「うっ、惜しいっス!」

「リゲル、あたしがペールの攻撃を防ぐよっ。だから頑張って!」

「ありがとうっ、メルちゃん!」


 メルが追従する形でリゲルがこちらに突っ込んでくる。


「くそっ、岩バズーカ!」


 こちらの十八番のバズーカ攻撃。


「てやっ! ほっ! はっ!」


 全て空中で塵にされる。


「フィジカルが強すぎるぜ!」


 近接戦は当然ウルトラハンドで迎え撃つ。

 相手が相手なので加減せずに思いっきり振り回して強打を叩き込もうとしてみるが······


「メルちゃん下がって! えいやーっ!」


 ──バキッ、ドゴッ、ズガアッ──


 全て真っ向から防がれる。防がれるだけじゃなく、カウンターブローで大体壊される。


 六つも作っておいたウルトラハンドがもう半分に減らされていた。


「馬鹿力めっ! 近距離は不利かっ!」

「援護するっス~! 食らえ~! ウルトラパーンチ!」


 見かねたペールの援護。しかしそのパンチをもリゲルは粉砕した。


 ──ボカアッ──


「ああっ?! ウチのウルトラハンドが?! 相変わらずの脳筋っス! パリピっス!」

「ペール! どうしてまたイルスと組んでるの?! この間は反省したって言ってたのに!」

「あんなん嘘っス! パリピ相手に反省なんてする訳ないっス~!」


 至近距離から放たれるペールの影弾。

 炎なのか氷なのか分からないその攻撃の大半をメルの風がガードし、突破した攻撃をリゲルが回し蹴りで消滅させる。


 なんて奴だ。可愛い顔してやる事が理不尽なチートボスみたく狂ってやがる。


「くそ! やっぱり物理攻撃しかないっ! ペール、同時にいくぞー!」

「それしかないっス~!」


 こうなったらヤケだ。



 連携攻撃じゃ一つずつ潰されて終わりだ。同時攻撃で攻める!


「食らえ! ウルトラショットパ~ンチ!」

「アイスバーニングダブルナックル!」


 俺の三位一体のパンチとペールの氷炎属性のダブルパンチ。合計5ウルトラハンド。


 これならどれか一つは入る。例えリゲルには躱せても、あわあわしてるメルには躱せない。

 ならば、リゲルはメルを庇うために避けない。つまり当たる。


「貰った!」


「星の光よ、私に力を貸して!」


『!?』


 リゲルの透き通った声と共に、その体から神々しい黄金色の光がうっすらと滲みだす。


「こ、これは星の力のっ──」


「輝け!『スターブロー』!!」


 光が一杯になったかと思った瞬間。


 ──バコオオオンッ──


「ぬおわああーっ?!!」

「わああーーっ?!!」


 俺達は機体ごと吹き飛ばされていた。


「ぐわわ~!? ぬぅ~!」


 グルグル回る。制御出来ん! ぐぅ、胃袋の中身が逆流してきそうだ。なんとか立て直さなければっ······操縦桿がクソ重えっ!


「くっ!」


 なんとか姿勢を制御し、水平に保つ。


「?! ペールはっ?」


「うわあ~っ!!」


 辺りを見回すと、悲鳴を上げながら落下していくペールUFOが下側に見えた。


「ペールーっ!」

「う、動かないっス~!」


 動力系がやられたのか、それとも今の光で影を搔き消されて俺の能力を失ったのか、ペールはUFOを動かせないようだ。


「あっ」


 ドシンッと音を立てて、砂煙の中にUFOが沈んだ。


「ペールーっ」


 急いで墜落現場に向かう。


 UFOはボロボロに壊れており、パーツが辺りに散乱して悲惨な状態だった。もう動かせないだろう。


 当のペールは地面に投げ出されて、尻の辺りを押さえて呻いていた。


「いったたたた······う~、お尻打ったっス」

「なんで脱出しなかったんだ? お前も普通に空飛べるだろ?」

「だ、だって、UFOには······」

「······あっ!?」


 あ、やべっ。



「イルス、ペール!」


 そこへ、リゲルとメルが降りて着地する。メルは勝ち誇ったように胸を張り、リゲルはしかめっ面で俺らを見回した。


「さあ二人とも。私もついててあげるから、カーリーとレン、それに、イルスは町の人にも謝りに行こう? ちゃんとごめんなさいって言えば皆も許してくれるはずだから。ね?」

「あ、いや、その前にだな、勝負はまだついてないっていうか、俺らには嬉しいような、困ったような事を忘れててだな?」

「え? なんの話──」


『ケホッ、ケホッ、うぅ~、何よ今の振動······』


「えっ?」

「あ、起きちゃったか」



 壊れたUFOの中から、ムクっと小さな影を起き上がらせて、姫が現れる。


お疲れ様です。次話に続きます。

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