85──いざこざ2
まだヘソ曲げたままのカミラを連れて、UFOに戻る。
「あ、あの~。ウチの方じゃなくてイルスのUFOに乗った方が······」
「やだっ! イルスと一緒なんて変なことされそうだもんっ! やっ!」
まだ負けた事を引きずってるのか、はたまた最初から信頼皆無なのか、カミラは俺のUFOには乗りたがらずペールのUFOに乗った。
「何これっ?! 狭い! ボロい! こんな所に私を乗せていくの?! キングサイズのベッドは?!」
「い、いえ、残念ながらそういうのは無いっス」
「う~っ!」
「カミラー、俺の方に乗るかー? キングサイズのベッドは無いが、俺というナイトの胸の中なら空いてるぜ?」
「うるさーいっ!!」
ペールの足元にピョコンと消えて見えなくなるカミラ。コックピットに座り込んだようだ。
「もうこれでいいっ! 我は寝る! ここなら日光あんま当たんないしっ! 寝るっ!!」
「ま、マジっスか。了解っス。アジトへ着いたら起こすっス」
困ったようにコクコクと頷くペール。
まあ、カミラはペールに任せてアジトへ帰還しよう。歓迎会やれば機嫌も治るだろ。
「じゃ、帰るか」
「了解っス」
四天王二人目のカミラを確保し、意気揚々とアジトへの帰路に機体を飛ばす。
ラッキータウンの時計塔を掠め、曇り空を超え、段々と温暖な空気と太陽に変わっていく航路。そろそろユートピアタウンの上空に差し掛かる。
「ペール、そろそろユートピアタウンだ。行きと同じく上空を真っ直ぐ超えて帰るぞ」
「今度は大丈夫っスかね?」
「うーん。まあ、カーリーもレンもまだ回復してないと思うし、リゲル達は居ないしな。脅威は無いだろう。今度こそ刺激しないように素通りするぞ」
行きは不慮の事故とカーリー達の一方的で無思慮な蛮行によって俺らは大変な目にあったからな。まったく、次会ったらスパッツ脱がしてパンツを拝ましてもらわなければな。
「よーし、進路よーし。平和に進行ー」
『あっ!! 居た! 待ちなさーいっ!』
なんてこった。
平和に横切ろうとしたら可愛らしい、いや~な声が聞こえてきた。
「イ、イルス、今の声は······」
「······ふっ。やはり全てのスカートを捲らなければ紳士の名が廃れるからな。これも運命」
「そ、そうスか」
俺とペールが声のした方を振り向くと、ぴゅーっと小さな影が飛んできて目の前に停まった。
「見つけたよイルスっ! ペール!」
現れたのはプンプンと怒った様子のメル。今日もツインテールをポヨポヨと揺らして、風をなびかせて従わせる少女。
「メルか」
「イルスっ! カーリーちゃんとレンちゃんに乱暴な事したんでしょ!? 駄目でしょっ! めっ!」
「乱暴な事したのはペールだぞ」
「あっ、ズルいっス! ウチを売ったっス!」
「でも、レンちゃんが珍しく怒って『もうイルスとは話したくありませんっ! 見つけら問答無用で天罰を与えますっ!』って言ってたよ?」
「何かの誤解だ。俺はただあいつらのスカート捲っただけだぞ?」
「怒るに決まってんでしょっ!!」
メルが構える。
「二人の仇はあたしがとるっ!」
「おいおい、止めとけ。こっちはペールと俺の二人だぞ? お前一人で勝てる訳ないだろ」
実際はカミラも居るが、起こすと面倒な事になりそうだし居ない事にしておく。
「メル。アメちゃんあげるから大人しく帰りなさい。ほら、イチゴ味だぞ~?」
「えっ? ほんと? あめ~っ······はっ?! その手には乗らないよ! あたしだって正義の味方だもん!」
くそ、懐柔は失敗か。
「なら仕方ない。ペール。やれ」
「おっス。メル、ウチが相手っス」
「うっ、ペール······う~っ、なんでまたイルスと手を組んでるのっ!」
「そりゃあ、君らのようなパリピを倒してウチが正しい社会に作り変えるためっス。そのためにイルスと力を合わせるっス」
「あたし達はピリピリじゃないよ! 仲良くしようよっ!」
「う~ん。ウチのように清楚な乙女になれば仲良くしても良いんスがねぇ」
やはり一人では自信が無いのか、メルもたじたじになってペールから距離をとり続けている。
「メル、無理すんなって。今なら俺らだって話し合いで解決してやるぞ」
「ほ、ほんと? なら、一緒にカーリーちゃん達の所に行って謝ってくれる?」
「二人は今どこに居るんだ?」
「学校の保健室。すごく怒って休んでるから、早く謝ればきっと怪我の治りも早くなるよ!」
「うん。却下だ」
「ええっ?! なんで?」
そんなに怒ってるなら俺が無事に済まされる訳ないだろ。カーリー辺りに玉を潰されかねん。
「仕方ない。俺らも少し先を急いでるんでな。ペール、交渉はナシだ。やれっ」
「了解っス。メル、恨まないで下さいっス!」
ズイっと前に出るペール。
「いくっスよ~。アイスショット! ファイヤービート! ダブルバーストー!」
──ズダダダダンッ──
拡散発射される影の黒い弾幕。しかし、その小さな弾はカーリーとレンの技であり、氷の弾丸と火の玉の混合弾の暴風雨だ。
「わあああーっ!?」
メルも懸命に避けたり、風の膜を纏ってガードしたりするが、被弾は避けられず
「痛っ! いたたっ! 熱っ、あっちっちー!」
痛がったり熱がったりしてピョンピョン跳ね回っていた。
「守るだけじゃ勝てないっスー! 食らえ~!
ウルトラハ~ンド!」
「えっ? きゃあっ?!」
──ベチッ──
ウルトラハンドに叩かれて、メルの体がくるくると宙を落下する。
「ほいさ」
それを俺がハンドでキャッチして捕まえる。
「うい~。メル、ゲットー」
「ナイスキャッチっス」
「うぅ~。いたたた······あっ! また捕まってる!」
目を回していたメルが状況に気づいて、うんうんと身をよじって抜け出そうとする。
「うーんっ! んーっ!! うぅ、ダメだ~。あたしの力じゃビクともしないよ······」
ぐすっと涙目になるメル。
たまらん。
──グイっ──
「わわっ?!」
メルをすぐ目の前まで引き寄せる。
「離してーっ、離してよイルス!」
「ああ、離してやる。その前にスカートを捲ったらな」
「えっ? えええっ?!! そ、そんなのエッチだよー! ダメーッ!!」
足をバタつかせて逃げようと身をよじるメル。
おお、その細い足がなんと眩しい。
「安心しろー、メル。何にもしないから。ただちょっとお前を愛でるだけだから」
「う、うう、や、やめてっ······」
「はぁ~······なんかウチ、仲間になる相手を間違えた気がしてきたっス······」
さあ、スカートを摘まんだぞ。あとはこれをピらッと捲るだけだ。
「そーれ。おおーっ」
う~ん。なんと若々しく未成熟で穢れのない足だ。まだ女になってない聖なる足だ。
「素晴らしい。メル、ここに絵筆が無いのが残念なくらいだ」
「うぅ、うぅ~! うわーんっ! もうやだー!」
メルがベソかいてしまった。
そして、空に向かって叫んだ。
「助けてーっ!! リゲルーっ!!」
「っ?!」
すると──
──キランッ──
町の方から何かの光が瞬いた。
そして、次の瞬間には──
──ドゴオンッ──
「ぬわああっ?!」
機体を巨大な衝撃が襲い、俺のUFOは制御不能に陥って吹き飛んだ。
「くっ!」
なんとか立て直し、ホバリングする。
そして、今しがたの衝撃を起こしたであろうその人物と真っ向から対峙した。
「もう来たのかっ、リゲル!」
「イルス! 悪い事は止めなさい!」
そこには、メルを掴んだままのウルトラハンドを引きちぎって持ったリゲルが居た。
お疲れ様です。次話に続きます。




