81──実戦テスト
本日3本投稿です。
カーリーとレン。
俺とペール。
「これで2対2か」
しかしフォーメーションが良くない。前方にカーリー。後方にレン。挟まれている。
「イルス。また何か企んでるのですか?」
レンがじっとりとした目で俺を見て言う。
「聞きましたよ。またみんなの食糧を略奪した上にリゲルに嫌がらせしたと。彼女のほっぺが一時間くらい赤くなったままだったんですよ?」
「いや~、ついつい夢中になってな」
「はぁ。理性的なような、そうでもないような。なんだかよく分からないイルスですね」
だいぶ呆れられているようだ。
だが、レンなら話しあえばなんとかなるかもしれん。
「おい、レン」
「なんでしょう?」
「俺らは何もしてない。よって話し合えば無益な戦いはしないで済む。ここは見逃せ」
「レンっ、口車に乗せられないで! イルスの事だからどうせ何か企んでるって!」
「······まあ、私もそう思いますが、事実まだ何もしてないようですし」
「でもっ! ペールの奴があたいの悪口をっ······」
レンは冷静に俺らの出方を伺っているようだが、カーリーは納得いかないらしい。
だが、このままならレンがなだめてくれてここは平和的解決に至るだろう。
よーし。後はレンに任せよう。
「ペール。お久しぶりですね。なぜまたイルスと手を組んでいるのかは知りませんが、とりあえずカーリーに謝って──」
「やだっス! ウチはパリピの言う事は聞かないっス!」
「前々から思っていたのですが、私達はそのパリなんとかというのではないと思うのですが──」
「陰キャのフリしたって無駄っス! いくら大人しくしてても、みんなの前に出て催しやイベントに積極的なのはパリピっス! つまり悪っス!」
「いえ、人の話を──」
「大体、レンだってそんな淫らな服来て空を飛び回ってる時点でただの痴女っス! パンチラ飛行色白姫っス!」
「ピキッ」
ペールの馬鹿やろう。余計な事言いやがって。
「お、おい、ペール。お前な、わざわざ相手を敵対させるような事をだな······」
「レンっ、そこを退くっス! じゃなきゃウチの親分のイルスが黙ってないっス!」
「他人任せだな?!」
レンはと言うと、苦笑いというか、ひきつった笑顔を愛想よく保っている。
これは怒りを我慢してる時の顔だ。
「いいですか? 私達の着ている服はパラダイス学園の制服です。淫らではありません。確かにスカートのまま飛ぶのはいけないので、ちゃんとスパッツ等で対策をして──」
「空飛ぶ風紀違反っス! パリピスカートのホワイトパンツレンっス!」
「ピキッ」
「おいぃっ!? いいか、ペールっ、俺らはラッキータウンに行くのが目的でだな······」
「レン、カーリー! 君らみたいなパリピはみーんな親分のイルスがボコボコにするっス!
そんでもってその淫らなスカートを好きなだけ捲られるっス! そうしてやるってイルスが言ってたっス!」
「うおぉいっ!! 余計な事言うんじゃねえー!! ていうかそんな事言ってねえーっ!!」
その願望自体は否定せんがな。
いやいや! そんなことより。
「······どうやらカーリーの言う通り。ここらで少し懲らしめておくべきのようですね」
冷めた目で怒りを表すレンがスッと構える。
「この間の事もありますし、イルスはちゃんとリゲルに謝らせないといけませんね。ペール。貴女もイルスなんかと悪巧みしないよう、みっちりお説教しましょう」
「ふっ。そんな事言っていいんスか? ボコボコの返り討ちにしてやんス! イルスが!」
「丸投げすんな!!」
くそ。仕方ない。戦うか。
だがまあ、ここらでペールの実力を改めて量り、俺のクラフト能力の練習をさせておくのもアリか。
カーリーとレンが相手ならちょうどいい。
「まあいいだろう。俺もそろそろカーリーとレンのパンツが見たくなってたところだ」
「流石っス! それでこそ変態イルス!」
「はっはっはー、そんな褒めんなって」
「このっ······! レン、やるよ!」
「はいっ!」
二人が構える。
前か後ろか。
どっちから来る?
「おりゃあっ! ヒートブロウ!」
先に仕掛けてきたのはカーリーだった。
「ペールっ! お前の戦力テストだ! 一人で倒してみろっ!」
「えっ?! マジっスか!」
「ここで勝てば陰キャ帝国への一歩となるぞ!」
「!! よーしっ、やるっス!」
──ブオォンッ──
飛んできた熱波の塊を避ける。
「あっちち! かすっても熱いぜ!」
「イルスー! リゲルが許しても、あたいが許さないよー!」
「その通りですっ。アイスロック!」
すかさず、レンから氷の塊が発射される。
「無駄っス! ウルトラハ~ンド!」
ペールがウルトラハンドを取り出して氷塊を粉々に打ち砕く。
カーリーとレンの攻撃を躱したところで、俺とペールは下方向へと逃げた。
「待てーっ!!」
「待ちなさいっ!」
追いかけてくる二人。
ペールが機体を回転させて二人に振り向く。
「食らえっス! 岩バズーカ!」
──ドドオッン──
「こんなものっ!」
「はっ!」
放たれた二つの岩をカーリーとレンはそれぞれ叩き落とした。
「泥団子ガトリングー!」
今度はガトリング攻撃する気のペール。
しかし。
──シーン······──
「あれ? 弾が出ないっス!」
「だって泥集めてないだろ?」
「えっ? あれって勝手に産み出されるんじゃなかったんスか?」
「岩と同じだっ、集めなきゃ撃てん!」
「隙ありだー!」
そんなやり取りをしていたら、カーリーが凄まじい突進をしてきて、ペールのUFOを殴った。
──バコンッ──
「どぅわあっ?!」
ペールの機体が大きく沈み、きりもみ状に落下する。
「ペールー!」
慌ててその後を追う。
ペールの機体は、町の外周縁部の地面すれすれで立て直し、なんとか墜落を回避した。
「ふぃ~! 危なかったっス!」
「大丈夫か?」
「なんとか。それにしても、カーリーめ~。ウチのこと陰キャだと思って、『お、こいつならハエみたいに落としても大丈夫っしょ!』てな感じで殴ったっスね!!」
「いや、別にそんな事は思ってないんじゃ······」
「だけどまあ、ここはウチに有利っスね」
ニヤッと不敵に笑うペール。
なるほど。その笑みの意味が分かったぞ。
「ペールー! イルスー! 覚悟しなーっ!」
俺らの企みにも気づかず、勢いに乗ったカーリーが上空から急降下してくる。
飛んで火に入るなんとやらだ。
「よしっ! このまま一気に押しきる!」
「あっ! カーリー待って下さいっ! イルス達の表情に余裕があります! これは罠っ······」
「もう、遅いっス! 影を捉えたっス! 『シャドウヴィジョン!』」
俺らを追って地上近くに来たのが間違いだったな。おかげでペールの本領が発揮出来る。
ペールから伸びた大蛇のごとき影が、カーリーとレン二人の影に食らいつく。
二人があっ、と声を上げる。
「し、しまった!?」
「迂闊でしたっ······!」
食いちぎられた影がスルスルとペールの元へと吸い込まれ、取り込まれる形で一体化する。
「ひっひっひ~。貰ったスよ~。お二人の力。これでウチはさらにパワーアップ!」
ブオッと、ペールの体から影の揺らめきが生じる。心なしか熱い。いや、寒い。ん? 冷たい、熱い······あっ、両属性を解放してるのか。
「いくっスよ~! 秘技、氷炎乱れ撃ち~!!」
──ズバババババッ──
「うっ?!」
「くっ!!」
黒い影になったカーリーとレンの技が、辺り一帯を覆うように掃射される。
お疲れ様です。次話に続きます。




