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78──夕日の影に

本日3本投稿です。

 


「ふわぁ~あ······」



 よく寝た。


 昨日はかなり騒いだからな。

 そのおかげでなのか今日はぐっすり寝れた。とても寝起きの良い朝を迎えられたぞ。


 適当に服を着替え、洗面所で顔を洗い、いつものように群がるダスト達を引き連れて食堂へ行く。



「うい~っす。野郎ども、おはようさん」


『ヒョヒョーッ!』


 ダスト達がボコボコと嬉しそうに寄ってくる。


「オヤブン、オレラアンゼン」

「オレラ、モウ、コワクナイ」

「オレラ、タスカッタ」

「あん? 何の話だ?」


 ダスト達がひょーひょー示す方を見てみると、ペールがキエラと朝飯の用意をしていた。


「あー。なるほど」

「オレラ、モウ、コワクナイ」

「メシ、コワクナイ」

「ペール、ヒーロー」


 まあ、キエラには悪いが、これで飯を怯える日々は無くなった。俺も安心してもっと寝坊出来る。



 二人は上手くやってるかな?


 キッチンに顔を出しておく。


「よ、二人ともご苦労さん」

「あ、イルス。遅いわよ」

「おはようっス。もう少し待ってて欲しいっス」

「おお、そうさせてもらおう」


 うーん。美少女二人の手料理を朝から頂けるなんて、前世でどんな徳を積めばこんなご褒美を貰えると言うのだろうか!


 ······徳なんかなんも積んでねえや。


 少しして、懐かしい味噌の香りが漂ってきた。






 ──ズズ······──


「······ぁ~。やっぱ朝の味噌汁は最高だ」

「美味しい。けど、ホントにピーナッツバター入れなくて良かったの?」

「だ、大丈夫っス。ピーナッツバターは明日また使うっス。今日はこのままで平気っス」

「そ? うん。そうね」



 だし巻き玉子にきゅうりの浅漬け。

 そして炊きたての米。


 あ~。極楽だ。






「えっ? ウチの他にスカウト予定の三人が、シュユにカミラにローナ?!」



 飯の後。

 くつろぎながら、ペールに今進行中の計画、オールスター・ドリームの概要を伝えると、驚きの声を上げた。


「ああ。そんでもってお前の四人。この四人を仲間に引き込めば最早俺らに逆らえる奴は居ないだろう。どうだ? 完璧だろ?」

「そ、そりゃ、まあ。でも、ウチもまともな面識あるのはローナくらいっスが、シュユとカミラはその、なんて言うか······」

「なんだ? 嫌いか?」

「いや、そうじゃなくて。その、聞き及ぶ噂が芳しくないと言うか······人の下につくタイプには思えないんスが」

「そうだな。今のところそこが一番の懸念材料だ。ローナはともかく、あの二人はな······」



 最初にペールを仲間にしたのは、所在がハッキリしてるからというのもあるが、一番仲間にしやすいと考えたからだ。逆に言うと、ペール以外は難航すると予想している。


 ローナはまだ説得出来るとは思うが、シュユとカミラは素直に仲間になるとは考えにくい。

 どちらも高飛車なタイプだからな。シュユは敬え敬えうるさいし、カミラは言う事聞け眷属とうるさい。少なくとも、俺の傘下に加われと言って快諾してくれるような輩ではない。



「だが、もしあの三人が仲間になったら、どうだ? 俺、キエラ、お前、シュユ、カミラ、ローナだぞ。数でも質でもリゲル達四人を圧倒してないか?」

「た、確かに。リゲルはともかく、カーリーやレン、メルはウチでも勝てますし······」

「お前は強い奴には強いタイプだからな。リゲルはともかくとして、その他の強キャラにはペール一人で対応。んでもって他の全員でリゲルをフルボッコ! どうだ、勝ち筋が見えるだろ」

「ウチの負担大きくないっスか?!」

「例えばの話だよ。ま、その辺りのフォーメーションはおいおい考えるとしよう。なんせ、まだ他の三人の居場所すら分からんのだからな」



 いづれにせよ、全ては四人全員を仲間にしてからだ。それまで、他にすべき事をやっておこう。




 昼までの時間、俺は他の空き部屋の掃除をダスト達と行い、ペールはキエラと一緒に自分の部屋の模様替えなどをしに行って過ごした。


 昼飯は軽めに済ませ、食休みを終えてから午後の活動へと移った。






「じゃあペール。行くか。キエラ、留守番任せるぞ」

「はいはい。ペールに変な事すんじゃないわよ。帰ってきた時に報告聞くからそのつもりでね」

「くそっ! 隙がねえ!」

「すんません、キエラ。すぐに帰ってくるっス」



 午後。ペールとの約束通り、私物を取りにピースタウンへ行く事にした。


 ペールを隣に乗せてUFOを飛ばす。夜になる前に戻りたいからな。スピードはほぼマックスだ。



「流石に速いっスね。これなら日の暮れる前にアジトへ戻れそうっス」

「荷物は多いのか?」

「多くはないっス。けど、観葉植物とかハーブとかの植物を鉢ごと持ってかなきゃなんないんで」

「なるほど。すると、このUFOだけじゃ容量が足りないかもな」



 ペールの隠れ家に着き、荷物を運び出す。


「ウチが荷物を選別して持ってくるんで、積み込みはよろしくお願いっス」

「わかった」


 服や靴、その他生活用品はUFO下部に収納出来たが、その後の鉢は全ては入りきらなかった。


「植物は積み重ねられないからな。入りきらん」

「どうしよう。明日また来るっスか?」

「いや、待て。簡単な解決方法があるじゃんか」

「え?」






 帰り道。




「ひゃっほーう! ウチは鷹っスー!」



 スクラップUFOをグルングルンロールさせながらペールがはしゃぎ回る。


「おーいっ! そんなに回ってたら鉢が落ちるぞ!」

「あっとと?! そうだったっス! ついつい」


 ペールが俺の横に()()()()()を並べる。

 スクラップUFO二機で、ピースタウンの潮風を抜けて夕日に別れを告げる。


「いや~、これいいっスねえ。イルスの力は便利っス。こんな乗り物まで作れるんスからね」

「まあな」



 そう、ペールのコピー能力で俺のクラフト能力をコピーさせたのだ。

 今、その力で俺と同じようなスクラップUFOを作って乗り回してるのだ。


 あの時はUFO同士で殺しあいをしなくちゃなんなかったが、今はこうして夕日を背に浴びながら並んで、風を切って語り合えてる。



「う~ん。自分で飛ぶより速いし気持ちいいっス。これ、病みつきになりそうっスね」

「そうか。よし、なら作り方のコツとか教えておいてやる。また何時でも影コピーして作るといい」

「えっ? いいんスか? イルス、気前いいっスね!」

「ははは、本当に気に入ったみたいだなあ」



 はしゃぐペールは、子供のようにあどけなく笑っていた。

 その横顔を赤い夕日が腫らすように染めていた。

 俺の知る······いや、生で見るからこそ、初めて見たペールの本当の笑み。


 あの時の忌まわしい記憶が、今日のペールの笑顔で薄れて消えていく。



「······あっ?! 日が沈んだらお前の能力解除されんじゃなかったか?!」

「あっ!!? そうだったっス! い、急いで帰らないと、墜落しちゃうっス~!」




 二人で馬鹿みたいに急いで帰った。


 一緒に慌てふためきながらUFOを飛ばし、どちらともなく声を上げて笑った。


お疲れ様です。次話に続きます。

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