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71──星に選ばれし者

本日3本投稿です。

 

 ここにきてまさかの真打ち登場。



「げええ!? リゲル!!」


 と、女の子っぽくない悲鳴を上げるキエラ。


「う~! 今日は上手くいってたのに~!」

「キエラ、イルス! 駄目でしょ、みんなで分けあう食べ物をそんなに独り占めしちゃ。みんな困ってるよ? 今すぐ元に戻して、必要な分だけ持って帰りなさい!」

「あたしらにはこれが必要な量なのっ!」

「そうなの? だったら素直に『ちょうだい』って言えば分けてくれると思うけど······」

「ふんっ。そんな頼み事なんかしたらアウトローの名が廃るってもんよ! ね、イルス!」

「ん? ああ、そうだな」


 いや。確かに略奪なんかせずに素直にくれって言えば良かったんじゃ······。


「とにかくっ。みんな泥だらけになって大変なんだから。二人とも、一緒に謝りに行こう?」

「いーっだ! あんたのそういう良い子ちゃんな所がムカつく! イルス、やっちゃってよ!」

「落ち着けキエラ。俺らの任務は食糧確保。無駄に戦う必要はない」

「ちょ、あんたらしくないわね?!」


 リゲルの実力は未知数だが、今は余計な戦闘をしている暇はないからな。


「という訳だリゲル。見逃せ」

「う~ん······だめっ! 食べ物を控えめにして、謝りに行けば私も何もしないよ」

「断る。って言ったら?」

「断らないで! 一緒に来てくれるまで帰さないよっ!」

「そうくるのか······」


 とことん話し合いで事を済ませたいみたいだが、残念ながらこっちにはこっちの事情がある。



「······悪いがその条件は飲めないな。そこをどけリゲル。じゃなきゃ痛い目を見せるぞ」

「う~。今日は話し合えそうな気がしたのに~。仕方ないっ、イルス、いくよ!」


 構えるリゲル。


 どれ程の実力かは分からんが。

 お前の技はよく知ってるぞ。

 なんたって、性別こそ違えどお前を動かして俺は散々戦ったんだ。自機の性能は他のどのキャラより知り尽くしている。



 いくら強いと言ってもこのアドバンテージは──



「てやあーっ!」


 ──ボゴオンッ!──


「ぬわあああっ?!」

「きゃあああ?!」


 リゲルがフッと消えた。


 と思った次の瞬間。すぐ目の前にまで来ていて、パンチを繰り出した。


 パンチそのものは別にそれ程速いようには見えなかったんだが──



「ぐううっ?!」


 ガタガタと言う機体をなんとか立て直し、姿勢制御させる。


 機体の正面側を覗いてみると、スチール製のスクラップバンパーがひしゃげていた。



「な、なんて馬鹿力してやがんだ······」

「もうっ! そんなの分かりきった事でしょ!? もっと警戒して避けてよ!」

「あ、ああ」


 いやいやいやいや。俺の知る主人公はあんな速くねえし、通常攻撃があんなゴリラパンチじゃなかったんだよ! 分かるか! んなもん!



「くそっ、こいつは誤算だぜ······!」

「イルス! 降参すればこのまま一緒に謝りに行くよ! だからそこから降りなさい!」


 むう。こんな可愛い子に命令されると、少し気持ちいい気にもなるが同時に大人の強さを分からせたくなってくるな。


 闘志が湧いてきたぞ。



「よーし。リゲル、少し待て」

「え? 降参してくれるの?」

「まあな」

「ちょ、嘘でしょ?! イルス! あたしは嫌!」


 ゆっくりと着陸して、食糧袋を下ろす。


 その作業をしながらキエラに耳打ちする。


「キエラ、簡易的UFOを作るからそれに食糧を積んでお前は逃げろ」

「え? 降参しないの?」

「相手を油断させるための嘘に決まってるだろ」

「さっすが~。悪党ねあんたもっ」


「二人とも、何をこそこそ話してるの?」


 やり取りをしていると、リゲルが不審な目を向けてきていた。

 愛想笑いで誤魔化すとしよう。


「別にー。いやー、今日も天気が良いですなあ、リゲルさん」

「え? あ、うん。今日も良い天気だね。こんな日は日向ぼっこしたくなるね······て、イルスが天気の話······?」


 首を傾げるリゲルにはバレないように、見えない箇所でキエラ用のUFOを組み立てる。


「リゲル。前から思ってたんだ。お前は凄い奴だってな」

「え? そ、そう? そんな事はない、よ?」

「いーや、すげえよ。だって······」


 よし、完成。


「こんな手に引っ掛かるんだからな!」


 ──ボシュッ──


「!?」


 ──ボワアアン──


 不意打ち煙幕弾はリゲルの目の前で爆発し、煙が全てを覆い隠す。


「?! けほっ、けほっ、し、しまった!」


「食らえー! 岩バズーカガトリング!」


 ──ズドドドトドドドドッ──


「わわわああー!」


 煙幕の中へ岩バズーカを乱射する。

 この視界不良だ。リゲルとて避けれまい。


「今だ! 行けっ、キエラ!」

「オッケー!!」


 俺の簡易UFOに乗り込むキエラ。

 後部に作った荷台へウルトラハンドで食糧を積み込む。


「よし! 分かってると思うが、俺のクラフトの効果は動力源のある物だと範囲が限られる! アジト方面のハート池で待ってろ!あそこまでなら効果が及ぶはずだ!」

「りょっ!」


 食糧を持ったキエラが脱出したのを見届けてから、ウルトラハンドを4本出して戦闘態勢を取る。


「さあて。今のでKOかな?」

「せやあ!」

「?!」


 煙の中から気合いが聞こえたと思った瞬間。


 ──ブオンッ──


「ぬおっ!?」


 撃ち込んだはずの岩の弾が、すぐ近くをかすって飛んでいった。投げ返されたようだ。



 ──ボフッ──


 煙の幕のてっぺんを突き破ってリゲルが現れる。目元を精一杯険しくしようとしかめてる。


「イルス! もう本気でいくよ! 覚悟しなさい!」

「くそ。無傷かよ」


 岩バズーカが当たったのか当たらなかったのか分からんが、リゲルはピンピンしていた。



「飛び道具が駄目なら近接戦だ! 食らえー!

ウルトラハンド、デンプシーロール!!」


 機体を左右に振りながら4本のウルトラハンドによるパンチを連続で繰り出す。


 これは避けれまい──



「てやーっ!」


 ──ボゴオッ──


「えいっ!」


 ──ドゴオッ──


「せやっ!」


 ──バコオンッ──



「······な、なんですとー!?」



 全ての攻撃をパンチのカウンターブローで防ぎやがった。しかも、こっちのハンドの一つが壊されている。



「イルス! 悪い事はもう止めなさいっ!」

「············こりゃあ、まいったな······」



 想像以上に強いぞこいつ。



お疲れ様です。次話に続きます。

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