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70──その前に略奪しとこう

 


「それじゃあな、お前ら。旅の幸運を祈ってる」


『ビョッ!!』



 選ばれた精鋭10体3チーム、合計30体がビシッと背筋を伸ばした後、俺の作ったスクラップトロッコに乗って出発を始める。ボコボコと音を立てて遠ざかっていく。


 それを他のダスト達が大歓声で見送る。


「イルイルルーッ!」

「ダマダマダマーッ!」

「ギュグオゴオッー!」


 まるで英雄の門出のごとき光景。


「食糧も半月分は持たせてある。大丈夫だろう」

「いざとなったら、助けを呼べばリゲルが助けに行ってくれるだろうしね」

「それは本末転倒つうか、アレだが······まあ、そうだな」



 まあ、どこかで野垂れ死んだりはしないだろう。アンノーンの居ない今なら脅威もない。







 俺はこのオールスター計画を実行するにあたって最初の作戦を開始した。


 すなわち、四天王達の現在の所在をダスト達に調べに行かせたのだ。


 ターゲットの内の一人は所在がほぼ確定してるので探す必要はないが、ほか三名は固定された拠点を持たない。まあ、大体の場所の見当はついてるし、そのマップをダスト達に持たせたから探せばすぐに見つけられるだろう。


 ダスト達には捜索の間の食糧や便利な魔法の道具を幾つかと、俺からの勧誘の手紙を持たせてある。

 ターゲットを見つけたらマップにその位置をマーク。その後、俺の手紙を渡して、相手からの返答をマップと共に俺の元へ持ってくるように言いつけてある。

 もし勧誘を断るようなら、俺が直々に出向いて説得するという方針だ。





「よし。これで最初の一手は打った。次は俺らの番だな」


 三人はダスト達に任せるとして、残る一人はこちらから直に行こう。


「さ、キエラ。行くぞ」

「あー、イルス。その前にさ」

「ん? なんだ?」

「捜索隊に食糧持たせちゃったからあたしらの分がすっからかんなのよ」

「あー、そうだな」


 元々あんまし無かった食糧を、遠征用の兵糧として与えたから本陣がカツカツだ。生鮮食品の類いなら少しは残ってるだろうが、それだけではファミリーを養うのは無理だろう。



「仕方ない。俺らの任務は午後からだ。とりあえず、ユートピアタウンに飯を取りに行くぞ」

「オッケー! いつも通りね!」

「そうだな」



 俺らはそのままUFOに直行し、発進した。



「お前らー、留守は任せるぞー!」

「楽しみに待ってなさいよねー!」


『ヒョヒョヒョーッ!!』



 UFOで再びユートピアタウンを目指す。



「んーっ。やっぱイルスのUFOは良いわねー。風を切って飛べるもの」

「お前は自力で飛べるよな?」

「ちょっとだけだもん。リゲルとかみたいにピュンピュン飛べないわよ」

「あー、あいつらはなあ」


 空を自由に飛び回れる機動力に、パワー。流石は主人公とその取り巻きのスペック。


「俺のUFOもかなりの空中機動力を誇るんだけどな。急旋回、急停止、ホバリング、垂直降下から垂直離陸、それにスピードも文句なし」

「でも、そんな乗り物すら空中戦でやっつけちゃうんだよね、リゲルは」


 オニヤンマかよあいつは。


「ならなるべくリゲルとの戦いは避けよう。やることやったらとっとと撤退するぞ」

「へえー。それが出来なくて苦労してたのにね」

「ああ、そうだったなそういや」


 イルスはリゲル相手になるとムキになって退却なんて考えもしないからな。


「これからの時代はクールにいくのが主流になる。だからプライドは二の次だ」

「ふふ、オッケー。あたしは賛成よ」




 程なくして、ユートピアタウンが見えてきた。



「さて。昨日と同じエリアを攻めるのはちょっと気が引けるな。今日はあっちの違う方を襲撃するか」

「へー。あんたにもそんな心配りあったのね」

「当たり前だ」


 まあ、略奪に変わりはないけどな。


 それはさておき。



「よーし。いくぞキエラ」

「りょーかいっ!」



 目当ての食糧配布所に向かって一気に急降下する。


 午前中の通りはそれほどまでの人もなく、略奪には好都合のようだ。



 地上付近まで降下すると、何人かの住民が気づいた。



「あっ! イルス!」

「キエラも居るぞ!」

「あの二人が来たって事はっ!?」


 ざわめく民衆に、まずは脅迫だ。


「ユートピアタウンの住民ども! 大人しくしろっ、俺様ことイルスの参上だ!」

「あたし、キエラもいまーっす!」

「今日は食糧を貰いに来た! とりあえずこれらの袋が一杯になるまで入れて貰おうか!」


 あらかじめ用意しておいた巨大な袋を幾つか出してその場の衆目に晒す。一袋で大人三人くらい入れられる。


「この袋が全部一杯になるまで帰らんぞ!」

「いぇーいっ! どんどん入れてねー!」


 それを見た住民が不満の声を上げる。


「なんだその袋は?! 一袋だけで10人家族の1ヶ月分くらいも入りそうじゃないか!」

「そんな量は欲張りすぎだ!」

「せめて一袋の半分で我慢してよ!」


「うるさーいっ! 言う事聞かない奴はこうだ!」


 問答してる暇は無いんだ。

 ポチっとな。


 泥団子ガトリングを出して無差別掃射を開始。


 ──ズガガガガガガガッ──


『うわあーーっ?!』


 あっという間にみんな泥まみれになって、ほうほうの体で逃げ出していく。


「よし。露払いは完了だ。キエラ、少し手伝ってくれ。俺がこっちのハンドで食い物を取ってくからお前はこっちのレバーで袋を操作して入れてくれ」

「りょっ!」



 その場の全員が逃げ出してくれたので、ゆっくりと火事場強盗に励める。


 キエラとのコンビネーションでテンポ良く食糧を袋に詰めていき、二袋が一杯になった。


「良いペースだな」

「きゃはははっ!今日は大成功じゃない!」

「よし、残りの二袋も満杯にしよう」

「オッケー!」



 楽しげにやってるが、これ、略奪です。


 まあ、俺は悪役だし、いいよね。悪役という肩書きは免罪符みたいなもんだ。


 三袋目も順調に膨らんでいく。


「なるべく保存の利くようなのを優先にな」

「でもー、こっちのお菓子ほし~」

「いや、お菓子よりもだな、缶詰めとか······」

「やだーっ! お菓子ほしーっ!」

「分かった、分かった。お菓子も好きなように取ってっていいぞ」


『良い訳ないでしょーっ!』


『!?』



 略奪を楽しんでいた所へ突然のシャウト。


 いきなり上がった大声に驚いて振り向くと、そこには怒ったように睨むリゲルが居た。

お疲れ様です。次話に続きます。

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