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60──違和感への探求

 

 今リゲルがどうのって言ったのか?



「キエラ。今なんて言ったんだ?」

「え? あんま無理しないでって······」

「その後だ」

「リゲルと戦えるのはあんただけって······ど、どうしたの? 怖い顔して」


 冗談を言ったりふざけてる様子はない。


「キエラ。忘れたのか? リゲルはもう······」

「え? もう、何?」

「············いや、何でもない」

「······イルス?」



 その後は特に会話もなく飯を終えた。


 キエラはどことなく俺を気味悪がっているかのようだった。そんなに怖い顔してたのか。




 しばらく、ボコボコ暴れるダスト達を眺めながら食休みする事にした。






 この違和感は何だ?



 助かったのは素直に嬉しい。キエラも無事だったのは本当に嬉しい。あんな状況で生還出来たなんて奇跡だ。


 しかも腕はもちろん、あれだけ傷めつけられた身体すら無傷なのだ。これは勘だが、多分八つ裂きのバラバラにされたはずなんだが······。



 とにかく、こうしていられるのは信じられないくらいだ。予想だにしなかった未來。




 だからこそ違和感があるんだ。いくらなんでもこの現状は無理があるんじゃないか?


 あの状況を考えれば、不自然だ。辻褄が合わないというか······当の詳細をキエラは何故か語ろうとはしてくれないし。




 分からん。




「イルス、本当に平気なの?」

「ん?」



 ソファで考え込んでいる所へ、キエラが気遣わしげに声を掛けて隣に座った。


「あんた大人し過ぎない? て言うか、あんたがそんなに何か真剣に悩んでる顔見た事ないんだけど······」

「そうだったか? 結構一緒に悩んだり、苦労したりしなかったか?」

「そりゃあ、あったはあったけどさ。あんたってば考えが煮詰まると何時も『どぅえ~!頭いてええ! 脳ミソなんか使いたくねえ~!』とかって叫んでたじゃん」


 だからそれは俺じゃない。


「うーん。寝ぼけにしては長すぎるし、やっぱり体調悪いんじゃない? 部屋で寝てたら?」

「いや······」


 どうにかしてキエラから話を聞けないだろうか。何故かさっきから会話が噛み合わなくて核心部分を知る事が出来ない。



 ······そうだ。



「自分の目で確かめに行くか」

「え?」



 そうだ、そうだ。こうなったらカーリー達が無事かどうかは俺自身の目で見に行けば良いんだ。単純な話だ。それでもって三ヒロインから事の顛末を聞けばオールオッケー。


 もしかしたらキエラには何か話せない事情があるのかもしれないからな。無理に聞くのは止めて他の人から聞き出そう。



「よし。キエラ、俺は今から出掛けてくるぞ」

「え? 出かけるってどこへ?」

「ユートピアタウンだ。すぐ戻る」

「あっ、ちょっと待ってよ」


 早速出発しようとすると、キエラが慌ててついてきた。


「なんだか心配だからあたしも行く」

「そうか? うん。なら一緒に行こうか」

「え、ええ」


 ボコンボコン暴れまわるダスト達に声を掛けておく。


「おーい、お前らー。俺達は少し出掛けてくるからなー。留守番よろしくな」


『ヒョヒョヒョー!!』



 大声援に送られ、俺とキエラは発着場である庭先へと出た。




「ん~~······ふうっ! 相変わらず旨い空気だ」

「え、ええ。そうね」

「よし、ちょっと待っててな。さあ、スクラップUFOー······あ、そういやあ、前のやつはあんのか?」

「前のって、一昨日のやつ? それなら()()()()()()()()()()()()()

「はあ?」


 え? カーリー達が壊しちゃったの?

 いや、待てよ。


 一昨日、カーリー達。


 うん、少しだけ情報が集まった。どうやら俺はあの時から少なくとも2日は寝込んでいたらしい。


 そして、カーリー達は生きてる!



「よしっ! すぐ行こう! 新しく作るぜ!」


 気合いを入れて材料を集める。ガラクタが山積みになった。


「キエラ。変形頼むぜ」

「オッケー」


 キエラがガラクタを良い感じに変形させて、UFOの部品として相応しい物にする。


 そしてそれをつなぎ合わせて完成だ。


「完成! さ、行くか」


 二人で一緒に乗り込む。


「へえー。新しいデザインのUFOね」

「そうか? 前のとあんま変わんないが」

「ううん、シンプルになったわよ」


 まあ、有り合わせの材料で作ったUFOだから同じ物は二つと存在しないからな。


「よし、行くぞ」

「レッツゴー!」


 キエラの掛け声と共にUFOを上昇させる。


 澄み渡る青空に向かって、風を切って飛んだ。






 天気も良く、風も優しく、雲は呑気だ。うららかで気持ちの良い一日。



「今日は良い天気だな」

「そうね。布団干しておけば良かったわね」

「家庭的だな。良い嫁になれるぞ」

「そ、そう?」

「しかし、のんびりしてるなあ。こんなに大変な情勢だってのに、自然は関係無いよな」

「············」

「そうだ、キエラ」

「え、なに?」

「一段落したら旅行しようって約束したな。まだ問題解決はしてないけど、せっかくこうしてお互いに無事でいられたんだ。用が済んだ後、一緒にのんびり飛ぶか」

「············」

「あ、やっぱ嫌か?」

「う、ううんっ! 嫌なんて事はないけど······な、なんか何時もと違う感じで言うから」

「そうかな?」


 目が合うとキエラはサッと逸らした。


 やっぱ軽々しかったかな。



「ま。まずは確認しなきゃいけない事があるから、それが終わってからだな」

「······うん」




 ユートピアタウンが見えてきた。



「······ん?」



お疲れ様です。次話に続きます。

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