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42──再びユートピアタウンへ

 

「ンバァブボゥ!」

「ライライライー!」

「アバアババー!」

「ポゥプエパア!」


 ──コーンッ、コーンッ、メキメキ······ドサアッ、ズズン、ズズズッ、ガコンッ、ボゴン──


「よーし、倒れるぞー!」


 メキメキと悲鳴を上げて倒れる木が大地に横たわる。その枝をダスト達が小型の鉈で切り落としていく。


「よしっ、貯まったな。キエラ、加工頼む」

「オッケー!」


 葉っぱの取れた木をキエラが変形させて真っ直ぐな丸太にしていく。それをウルトラハンドで運び、どんどん集めていく。


「ンニャーボ」

「ベベベア」


 細かい枝は、ダスト達が丁寧に加工していき、薪にしていく。



「よしっと。後は岩を集めてと」


 大きめの岩を集め、それもキエラにブロック状に加工してもらって積み上げていく。

 細かい石や砂利はダスト達が仕分けて袋に積めていく。





 俺らは今、木材や石材を集めている。

 どちらもユートピアタウンへの支援物資として送る予定だ。


 ユートピアタウンは南門が崩壊したし、まだまだ壊れたままの家や建物がある。

 そういった物を直すには材料が大量に必要なはずだ。

 しかしながら、この世界には重機が存在しない。鉄を製錬する技術はあるものの、機械がほぼ無いのだ。


 そこへくると、俺の能力で生み出したスクラップUFOの類いはまさにオーバーテクノロジー。これを活かさない手はない。




 半日がけでイルスファミリー総出の作業が終わった頃には、丸太も岩ブロックも驚くほど貯まっていた。



「すげーな。たった半日でホワイトハウス作れそうなくらい集まったな。ま、ホワイトハウスの大きさは知らんけど」

「ホワイトハウス?」





 夕飯は皆を労う意味でも、豪勢にバーベキューパーティーを行い、英気を養った。


 そして夜も更けてダスト達が寝静まった頃。



「よし。夜間飛行だからな。気をつけて行くぞ」

「うん」



 月明かりを頼りに、加工した支援物資を運ぶ。



 町には櫓のかがり火が焚かれ、夜でも警戒しているのが分かった。



「やっぱり町に直接届けるのは無理だな」


 ここは予定通り南門のすぐ近くに目立つように置いておこう。朝になれば見張りが気づいてくれるだろう。



 何往復かして支援物資を運び込み、夜が明ける前にアジトへ戻った。





 こうして、次の日も。

 その次の日も。

 またまた次の日も。

 何日間も。



 俺らは町の復興に役立ちそうな資源を運び続けた。


 平行して、アンノーンの襲来を警戒し、小さな集団を発見しては撃破したりもした。


 それだけではなく、町周辺の壊された橋や水車、風車なども可能な限りは直し、荒れ果てた道の整備も行った。



 誰の目にも留まらない所で、俺達は俺達なりに出来る事をした。







 そして数日後。





「飯がねえ······」

『ヒュ~······』



 我がイルスファミリーは深刻な食糧難に陥っていた。


 くっ、復興に協力すんのはいいが、こっちはこっちで余裕が無いんだった。なんとかせにゃ。


 こうなった以上、町にまた行って恵んで貰うしかない訳だが、果たしてこの状況下の町にそこまでの余裕があるだろうか。



「仕方ない。他に方法も無いしな。キエラ、町へまた食糧を分けに貰いに行くぞ」

「オッケー。じゃあ、またイメチェンね」

「ああ、カッコよく頼む」

「ふふ、りょーかい」





 俺達は以前町へ潜入した時と同じ変装をしてUFOに乗り込んだ。


「よし、ダスト達、留守は任せるぞ」

「良い子にしてなさいよー」

『ヒョヒョヒョーッ!!』




 前回と同じく、郊外までUFOを飛ばし、森へ降りてカモフラージュを施し、町の入り口へと向かった。



「東門は健在だ。またあそこから入ろう」

「うん」


 門まで行くと、また妖精が降りてきて俺らをチェックした。


「はい、大丈夫なのです。ようこそなのです。あれ? 前に来ましたですか?」

「あ、ああ。ちょっと外に出てな。今日戻ったんだ」

「そうなのですか。それは大変です。ゆっくりして下さいです」



 こうして、俺とキエラはまたユートピアタウンへの潜入を果たした。



「ふう。なんだか久しぶりに来た感じがするな」

「本当ね。ここ最近が激動過ぎて長く感じるわ。また前みたいにのんびり出来たらいいのに」

「おっ。キエラ、その日も近いかもしれないぞ。ほら」

「あっ」


 通り沿いの家の何軒かが新しく土台を作られ始めているのが目に入った。

 しかも、その材料に使われてるのは間違いなく俺らが用意した資材だ。


「苦労した甲斐があったな。俺らの頑張りが日常への復帰に貢献してるんだ」

「うんっ。なんだか嬉しいわね」


 近くを通り過ぎる。大工のオッチャンや妖精達が依然として忙しそうに働いていた。


 しかし、その表情の片隅に微かな希望の色が見え隠れしているような気がした。


「? なんか前よりみんな活発になってないか?」

「そうね。なんとなく、だけど」


 気のせいだろうか。





 少しの間、俺とキエラは復興状況を見学し、中央広場辺りで食糧調達のために分かれる事にした。



「じゃあ、また前回と同じくここで落ち合おう。前の食糧は10日くらいしか持たなかったからな。今度は倍くらい欲しいところだ」

「あ、ならさ。自給自足出来るように作物の種とか貰っておく? ウチらんとこは広い庭も裏山もあるし」

「おお、良いなそれ。伐採した林を開拓して畑にするか」

「うん。じゃあ、また後でね」

「おう」


 踵を返して歩き出すキエラ。


「······」


 その歩みが止まってこちらへ振り向いた。


「ねえ、イルス」

「うん?」

「······こんな大変な時だけど、あたし、今すごく楽しいよ」

「どうしたんだ? いきなり」

「ううん、ただ······前みたいに好き勝手やるあんたも面白かったけど、今みたいに大人びたイルスも好きよ」

「え?」

「あっ!! ~~っ。じゃ、じゃあまた後で!」

「あ、おいっ」


 ほんのりと赤くなった顔を背けて、キエラはタッタッタッと走って行ってしまった。


「············へへ」


 なんかむず痒いな。



「うしっ」



 あんな風に言ってもらったんだ。

 期待に添えるような成果を出さないとな。


お疲れ様です。次話に続きます。

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