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41──俺の役割

 


 ──ガチャン──


「こんなもんだろう」


 木材とガラクタを組み合わせて完成したのは、スクラップアーク。つまりガラクタの方舟。


 持ち運びしやすいようにロープで吊り下げられるようにしてある。



「ローナはリゲル並みに馬鹿力持ってるからな。何人居るかは知らんが、100人とか居なけりゃこれで十分運べるだろう」

「あれ? イルスが運んであげないの?」

「いや、俺が居るとな······」

「あっ。そっか······」



 俺はお尋ね者の悪漢だ。ローナは僻地に暮らしてるから知らないようだが、大きな町に住んでる奴なら、俺の悪名は知ってるだろう。


 そんな俺が堂々と運ぶ訳にはいかない。パニックになりかねないからな。何より、ユートピアタウンに入れないだろうし。



「とりあえず、ローナ達の後ろから見守りながら送ってやろう」

「うん」



 ややして、ローナが20人くらいの住民を連れて戻ってきたので、俺らは近くの民家の裏に隠れた。


 不審に思ったローナがやってくる。


「どうしたの二人とも?」

「あー。訳あってだな。俺は今みんなにめっちゃ嫌われてんだ。だから表には出ていけない。悪いが協力出来るのはここまでだ」

「そう、なんだ?」

「一応、離れた所で見守りながらついてくから、俺らは気にしないで送ってやってくれ」

「······分かった」



 方舟に住民達が乗り込んでいく。物陰から見えたその表情は、誰しも疲れはてて絶望しているようだった。



 ローナは難なく方舟を吊り下げてフワフワと浮遊した。

 そして、上昇するとユートピアタウンの方角へ向けて移動を開始した。


「よし、俺らも行くか」

「オッケー」



 俺らも距離を空けてその後ろをついていった。




 一時間くらいかそこらで、ユートピアタウン近郊に差しかかり、俺はUFOの高度を下げて森へと入り、そこから様子を伺った。


 途中、警鐘の音が聞こえたが、ローナと方舟は無事にユートピアタウンに入るのを確認出来た。



「無事に入れたみたいだな」

「あの人達も元気になってくれるといいんだけど······」

「······故郷があの惨状だからな。当分は辛い時期になるかもな」




 後はローナとユートピアタウンの連中に任せれば大丈夫だろう。



「よし。俺らもラッキータウン偵察という任務を果たした。このままここに居ても仕方ないし、アジトへ帰るか」

「うん。そうしよっか」




 今日の目的は達成した。ラッキータウン壊滅という芳しくない事実や、思わぬ出会いなどがあったが、本来の偵察は済んだ。






 その後は何事もなくアジトへの帰還を果たした。まだ日も高く、活動的なダスト達が俺の接近に気づいてヒョーヒョー叫びながら出迎えてくれた。



「おう、お前ら。戻ったぞー」

「みんなー、ただいまー」


『ヒョヒョヒョヒョー!!』



 ボコボコ跳ね回るダスト達を引き連れて食堂へ戻る。

 少し遅いが昼食にしよう。


「キエラ、飯にしようか」

「うん、作ってくるわね」

「一緒に作ろう」



 親子丼をたらふく食い終え、食休みがてら作戦会議を開く事にした。




「さて。ダスト達も集まってる事だし、このままイルスファミリーの今後の方針を決める話をしたいと思う」

「大事な話ね。みんな、ちゃんと聞くのよ」

『ヒュイ~』



 ラッキータウンが壊滅した今、残るはユートピアタウンのみ。

 ユートピアタウンが墜ちれば周辺の村や集落も全てやられるだろう。あるいは既に全滅かもしれない。


 いづれにせよ。このままユートピアタウンをアンノーン達の良いようにはさせられない。

 それは、俺達の場所へ来るのを防ぐためという利己的な理由に留まらず、純粋に、あんな野蛮な暴力を許しておくのは我慢出来ないからだ。



 頑張るカーリー達の姿や、ラッキータウンの悲劇。それにあんな最期を送ったシュユやペール。そして今も苦しむユートピアタウンの住民。


 それらの出来事が俺のこの世界での目的を決定づけたのだ。




 イルス(悪役)の俺がこんな方針を打ち出すのは、本当は馬鹿げてるかもしれないが──




「みんな。俺らはユートピアタウンを守る。アンノーンと戦い、あそこに住む連中を助ける」


「!! ビョーッ!」

「グバァグバァ!!」

「ドョオオオ!!」


 ダスト達はイキリ立って反対の意を表していた。


 ここに居る連中の大半は、町などのコミュニティに馴染めずに落ちぶれてきた奴らだ。そんな奴らが、自分達を見捨てた連中を助けようという気になれないのは当然だろう。


「静かに。お前らの気持ちは分からんでもない。俺の方が酔狂な事言ってるのは重々承知だ。確かに町の奴らと俺らは一緒に暮らすのは出来ないかもしれない。だが、この同じ世界で生きてく事は出来る。ここにある食い物だって町の連中が自分達の蓄えから分けてくれた物なんだ」


「······ブボゥ」

「ジン······」

「ホゥー······」


「何も仲良くしてやれと言ってる訳じゃない。だが、こっちも助けてもらったんだ。その義理くらいは果たそう。そのためにはお前らの力も必要だ。協力してくれ」


『············』


 ダスト達はしばらく何か考えるようにざわざわしていたが、やがて全員が


『ヒョーッヒョーッ!!』


 ボコボコと跳ね回って同意した。


「ありがとな。キエラ、お前は?」

「聞くまでもないでしょ? もちろん、イルスの力になれるならあたしは賛成」

「よし。決まりだな」



 こうしちゃいられないな。


 景気づけに膝を打ち鳴らして立ち上がる。




「行くぞ野郎どもっ!!」

「おおーっ!」

『ヒョヒョヒョーッ!!』



お疲れ様です。次話に続きます。

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