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33──戦慄、再び

 

「これは?!」

「お前の化けの皮を剥がす魔法の玉さ」



 この世界に存在する魔法の石に、閃光石という名前のまんま光る石がある。これを調整する事で家庭の照明を得ている訳だが、こいつに爆発等で急激な衝撃を加えると激しく発光する。


 つまり、閃光弾になる。


 町上空を飛びながらこの石と火薬を集めたのだ。


 ──シュバッ!!──


 マッチを擦るような音を上げて、強いフラッシュが炸裂した。


「?! わわわっ?!」


 それと同時に、ペールの乗っていたシャドウUFOは霧となって消えて、本人の身体が空中に放り投げられた。



 そう、ペールの能力の弱点。


 それは、影の力でコピーした能力は、影をかき消されたりすると霧散してしまうというもの。


 取り込んだ影はペールの影と一体化。これは言わば、ペールが能力を影という形にして保管している状態。


 それを激しい閃光などで眩ますと、保有していた能力が消えてしまうのだ。




 突然の能力解除に、ペールは対応出来ずに無防備な状態で虚空を掻いていた。


 今しかチャンスはない。



「許せよ! ペール!」

「っ?!!」

「愛の鉄拳制裁!!」


 ──ドゴオッ──


 ウルトラハンドをグーパンにして、ペールを殴り飛ばす。



「ガッ······ハッ············」



 身体をくの字に曲げて、ペールは林の中へと吹き飛んだ。

 衝撃音と砂ぼこりを上げ、木々が倒れる。



 埃が止むと、ミシミシと木のしなる音や倒れる音がしていたが、他は静かだった。



「やった、のか?」


 ペールの能力は強力だが、生身は俺と同じく頑丈な方ではない。

 死にはしないだろうが、しばらく動けないダメージを受けただろう。


 後で迎えに行ってやるとして······。


「皆はっ······」


 やられた三人と、キエラが気になる。

 クリスタルでキエラに連絡をとる。


「キエラ、キエラ。俺だ。今話せるか?」

『イルス! 良かった、心配してたのよ。あんたってば上空でペールとめちゃくちゃな戦いしてるんだもん。怪我は無い?』

「ああ、ほとんどな。それより、お前は無事か?」

『うん。カーリー達も無事よ。しばらくは動けそうにないけど、大丈夫だと思う』

「そうか。他の住民や妖精達は? 南門に居た連中はどうなった?」

『······何人かは無事よ。さっき他の守備隊が来て手当てして運んでったわ』

「そうか······」


 あの惨状では犠牲者無しという訳にはいかないか。分かってはいたが······。



「よし、キエラ。元の姿に戻ってからこっちに来てくれ」

『え? でも、あんたはペールと戦ってる途中なんじゃないの?』

「いや、もう終わった。とりあえずペールの奴を尋問したいからお前も来てくれ」

『じゃあ、勝ったのね? 凄い! イルス! オッケー、すぐ行くわね!』



 そこで通信を止め、UFOの高度を下げる。


「ふぅー。なんとかなったか」


 これでペールから色々聞ける。



 今一番聞きたい事は『あの人』なる人物の事についてだ。確か、シュユの時も『あの方』とか言ってた。


 何者かは不明だが、そいつがシュユやペールを狂わせたのは間違いなさそうだ。


 それに。


 ()()()()()()()()()()()と、ペールは言っていた。


 俺──つまり、イルスの願い。


 それは確かに『リゲルを倒すこと』ではあった。と言う事はイルスもあの妙な力『崩壊の力』を貰ったのだろうか?



 かなりの謎があるが、それももうすぐ解けそうだ。ペール当人から根掘り葉掘り聞き出してやる。




 ややして、元の姿に戻ったキエラが走ってきた。



「ごめんっ、イルス! お待たせ!」

「おう、キエラ」


 キエラをUFOに乗せて、ペール墜落地点へと向かう。




「え? じゃあ、ペールもその『崩壊の力』とかいうやつに?」

「ああ、まるで別人だった。他人の命を奪う事になんの抵抗も感じてなさそうだった」

「そんな······」


 キエラはまだ、あのペールに会っていない。

 作中では、ペールの天敵とも言えるのはキエラだった。なんせ本来のキエラはヤンキー集団のギャル的な存在だからな。


 キエラの見た目だけでビビってしどろもどろになるペールと、そんなペールになんか親しみを感じるキエラという構図は面白かったなあ。



「どうしたのイルス。ニヤニヤして」

「なんでもない。キエラ、オーリペアあるか? 多分、ペールも結構な怪我してるからな」

「うん。でも、ペールの事どうする気?」


 話してる内に林の中へと入っていた。木々が倒れている。ペールは近い。


「一旦保護する。尋問したいのは勿論だが、あの状態で町の連中に見つかったら八つ裂きにされるかもしんないからな。とりあえず俺らのアジトにかくまうぞ。んでもって、どうにかして正気に戻してやろう」

「でも、あの子はあたし達みたいなアウトローの事苦手そうだけど、大丈夫かな?」

「なに、問題ないさ。なんなら正気に戻すついでにパリピにしてやるか──」





 ──ゾクッ──





「!!!」

「っ!! 今のはっ······!!」


『ソレハオ断リッスネエ』


「!! キエラっ、掴まれっ!」



 機体を急上昇させたのと同時に。



 巨大な黒い大蛇の口が、すぐ横を通り過ぎた。


お疲れ様です。次話に続きます。

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