20──誰かの悪夢
本日4本投稿予定です。
『なんだ? ここは······』
?
どこだ、ここは?
『薄気味わりい~。隕石ってやつかぁ~? 隕石って事は·······メテオだな~!? 俺って頭良いぜ~!!』
俺は何を言っている?
なんだ?
身体が勝手に動いてる?
『食いもんね~かな~。キエラとダストどもがうるせえし。つうか、俺も腹減ったわ』
ああ、そうか。俺は確か、この日もファミリーのために食い物を探しに······。
?
そんな事した覚えはないぞ?
いや。
そんな事より、ここはなんだ?
荒野······か?
いや、いくらなんでも殺伐としている。
薄気味悪い。不気味で恐ろしい。
まるで············地獄だ。
『食いもん無さそうだな~。でも、なんかありそうだよな~。ヒャーッ! ちょっくら探検しちまおうかな~!!』
駄目だ。
『ヒャーッヒャー!! イルス様のお通りだぜ~! ケツの穴かっぽじってどきやがれ~!』
行っちゃ駄目だ。
『なんか良いもんね~かな~。すげえ武器とか落ちてたら、あのクソウンコリゲルをボコボコにしてやんのによ~!!』
行くな!
「······ス············ルス」
「ぅ······だめ······だっ······」
「イルスっ」
「!!?」
──ガバッ──
ここはどこだ?!
「っ······こ、ここは。イルスの······部屋?」
「だ、大丈夫? イルス?」
「え? あ、ああ。キエラ、か」
そうだった。俺はイルス。ここはアジト。そして、俺の事を気遣わしげに見てるこの子はキエラだ。
そう。ここは現実だ。
「ねえ、本当に大丈夫? なんだか、すごくうなされていたみたいだけど······」
「うなされてた?」
ああ、そうか。
昨日はダスト達を連れて帰ってから、疲れがたたってすぐに寝ちまったんだった。
今、俺はベッドの上だ。
「············なあ、キエラ」
「なに?」
「俺ってイルスだよな?」
「え? う、うん。本当に大丈夫?」
「あ、ああ。少し寝ぼけてるみたいだ」
やっと頭が回り始めた。
ここは俺の部屋だ。そして、俺はついさっきまで夢を見ていたようだ。
だが──その夢は何か············奇妙だった気がする。でも、夢というのは起きてしまうとほとんど忘れるもんだ。
「う~ん。思い出せん」
「何が? あっ! もしかしてまた記憶喪失しちゃったの?!」
そんな忘れ物しちゃった感覚でホイホイなるか、記憶喪失なんて。
つうか、俺は記憶喪失なんかになってない。
だが、今見てた夢はまさに············単なる夢と言うよりは、誰かの記憶の断片のような······。
ともかく。あんまし変な事言ってキエラを心配させるのも良くないな。
起きるとしよう。
「とりあえず顔でも洗ってくるわ」
「うん、あたしは先に食堂行ってるね」
顔洗って歯磨いて、んでもって食堂へと向かう。
「ふぁ~あ。腹減った~」
『ヒョーッ!』
「うおっ?!」
扉を開けた途端に、ヘンテコなUMA達が足下へ群がってきた。
あ、そうだ。ダスト達だ。
「よう、お前ら。おはようさん」
『ヒョヒョーッ!』
「ん? キエラは?」
『ヒュ~······』
みんな身をすくめてキッチンの方を見た。
「ん? ············あっ! やべえ!!」
慌ててキッチンへ飛び込むと、今まさにキエラがキメラ味噌汁を作りかけていた。
──ずずず~──
「はぁ~」
やっぱ朝の味噌汁の香りは最高だ。
危なくパイナップルとニンニクの味噌汁が出来る所だったからな。
「うーん。美味しいけど、やっぱ料理を作るならオリジナリティ出したいなぁー。ありきたりすぎるとイルス達不満じゃない?」
「キ、キエラ。お前の腕ならありきたりでもすごく美味くなるぞ! 天才かもしれん! オーソドックスに作れるって凄いぞ!」
「そう? なら、いっか」
『ヒョヒョヒョー』
床ではダスト達が焼きめざしの取り合いをして騒いでいた。
「ほら、あんたら。喧嘩しないの。あたしの卵焼きあげるから」
「ヒョヒョーッ!」
「ブアブアッ!」
「ンバボ~?! ヴァンボバー!」
「ビョーッ!!」
今度は卵焼きを奪い合ってダスト戦争が繰り広げられた。
「平和な朝飯だ······」
──ずずず······──
飯も食い終わり、キエラ達と食休みを取る事にした。
「しかし、ダストって本当に数多いよなー。何体居るんだ?」
「前は100体以上は居たんだけど······」
今は40かそんくらいに見える。シュユに半分以上やられたのか。
シュユ、か。
あいつももう居ないんだよな······。
「どうかした? イルス」
「いや。ところで、どちらにせよ俺らん所はまた大所帯になった訳だけどよ。食料足りんのか?」
「あー。実はそれが~······」
キエラと共に冷蔵庫を開ける。
大型の冷蔵庫ではあるんだが──中はかなりガランとしていた。
魚肉ソーセージ数本、ニンニクと生姜が少々。レタスが僅か、味噌、醤油、マヨネーズにケチャップ、ジャムがいくつか。
ほとんどが調味料の類いだ。
「もうほとんど無くて。さっきのご飯であたしらの食料ほ尽きちゃったみたい」
「マジかよ」
これでは飢え死にも時間の問題だ。
「缶詰めとかは?」
「うーん。そっちもあんまし無いみたい。ほら」
「ヒョ?」
足下で鮭缶を食い尽くしたダストが首を傾げていた。
「こいつらが食っちまったのか」
「みたい」
仕方ない。
食い物を探しに行くか。
「しゃあねえな。町に行って来るか」
「えっ?! 町に?」
「なんだ、そんなに驚く事か?」
「だ、だって、今イルスが町に行くと······」
今、ユートピアタウンは厳戒態勢。俺が堂々と行こうものなら、きっと町総出で攻撃してくるだろう。
だが、心配は要らない。
「問題ないだろ? だってお前の能力があるじゃんか」
「あっ、ちゃんと変装して行くのね」
キエラの能力ディフォームは物の変形が行える。だが、性質まで変化はしないので、生き物を全く違う形にする事は出来ない。
だが、多少のイメチェンくらいなら、すぐにお手軽に可能なのだ。
「さ、頼むぜキエラ」
「うん、任せて」
さて。
町の様子も見て来るか。
お疲れ様です。次話に続きます。




