表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

パニック関連

悪人が賞賛される世の中で

作者: よぎそーと
掲載日:2022/09/24

 56人の小中学生が殺された。

 その関係者も含めれば、被害者は更に増大する。

 この事件は世の中を震撼させた。

 確かにこれだけの人数が殺されれば騒がれるだろう。

 しかも、わずか一ヶ月の間にだ。



 しかし、この事件が本当に騒がれたのは人数が理由では無い。

 ネットに公表された殺害理由によってである。

 書き込んだのは加害者。

 いや、被害者である。



 56人の殺害理由は犯罪によるものだった。

 金銭の恐喝、万引きなどの犯罪強要。

 日常的な暴力による暴行・障害。

 いじめと称される刑事犯罪。

 子供の悪戯の範疇におさめてはいけない、明確な犯罪がそこで行われていた。



 この事については少なからず問題として話題にはなった。

 犯罪被害者の一人が勇気を出して告発したからだ。

 それを告発者はネットにも掲載した。



 しかし、これらが事件として扱われる事もなく。

 加害者達は少年少女という事もあって厳重注意で処分終了。

 告発者は更なる被害を受ける事になった。



 当然ながら、その被害状況をネットに掲載。

 たまさか目にした者達にその状況が伝わった。

 しかし、それが世間を賑わす事もなかった。

 あくまで局地的に行われてる出来事、小さな事件でしかなかった。



 加害者達は被害者への犯行を更に増大。

 周りの大人も全く止めることはなかった。



 加害者の親は、

「俺の子を犯罪者扱いしやがって!」

「私の子供がどうしてこんな扱い受けなくちゃいけないの!」

と開き直っていた。



 被害者の親も、

「どうしてこんな騒ぎにするの!」

と被害者を糾弾。



 こうして被害者は周囲に誰も味方がいない状況になった。

 だが、ここからが本番となった。



 被害者の少年は糾弾する親を殺害。

「何で殴られてる俺が我慢しなくちゃなんねえんだよ」

 悪い方に追求する事なく、被害を受けてる方を糾弾する。

 最も身近にいた犯罪者の味方であるそんな親を、被害者は決して許さなかった。



 続いて、加害者を次々と襲撃していった。

 本人だけでなくその親兄弟も。

 その際、金銭なども奪っていった。

「回収だ。

 今まで奪われてた分のな。

 全然足りないけど」



 その後も犯罪を助長していた教師とその家族。

 駆け付けた警察官。

 更には教育委員会や役所の教育関係者なども襲撃。

 何も対策を施さなかった者達を軒並み処分していった。

 この行動を止めようとするもの、遮る者達も含めて。

 死亡者の数は莫大なものになった。



 ここにきて捜査関係者だけでなく多くの者が疑問を抱いた。

 これだけの事を一人でやってるのかと。

 短期間で膨大な人間を殺しているのだ。

 単独でやってるとは思えなかった。



 後々、その真相が判明する事になる。

 被害者に協力者がいたと。

 それも大量に。



「当たり前だろ」

 後に被害者は語る。

「俺だけがやられてると思ってたのか?」

 加害者に甚振られていたのは一人だけでは無い。

 何人もの犠牲者がいた。

 それらが、反撃や復讐に協力していたという。



 詳しい人数は分からない。

 誰が協力していたのかも。

 ただ、犯罪に加担していた加害者である56人の小中学生。

 これらを一網打尽にするだけの人数がいたのは確かだ。

 だとすれば、それはとてつもない人数になるだろう。

 あるいは、高度に組織化され、効率よく動いていたかだ。



 この部分の真相は不明である。

 しかし、最低でも20人から30人。

 多ければ100人はいるだろうと見つめられた。



 それだけの人間が殺害に協力していた。

 その事が世間を驚かせた。

 しかし、それについて被害者はこう語る。

「なに言ってんだ?」



「今まで暴力を認めてきたのに、何を驚いてる。

 殺して何が悪い?

 人を殴って金を奪って、悪口いうのは大丈夫ってことか?

 殺しだけは駄目なのか?

 なに言ってんだ」



「どれも悪い事だろうが。

 それを許して認めてるのがお前らだろ。

 俺たちがやって何が悪い」



「お前らが暴力を認めてるんだろ。

 だからあの悪党共を許したんだろ。

 警察も注意しかしない、だからまた俺は狙われた。

 注意だけで終わるんだから、何をしてもかまわないって事だろ」



「俺たちはお前らが認めた暴力を使った。

 暴力を使って暴力を止めた。

 殺したからもう二度とあいつらの暴力は起こらない」



「それを、殴って痛め付けるだけで終わり?

 怪我がなおったらまた悪さをするのに?

 なんでそこまで悪い事をひろめるんだ?」



「どう考えてもおかしいだろ。

 悪い事を止めた俺たちが文句言われて。

 悪い事をひろめてる、あいつら悪党が許されてる。 

 そんなのあるかよ」



「悪い事を止めるのが駄目だってんならそれでもいい。

 だったら、俺たちも悪い事をしていく。

 いいな?」



 ネットにそう書き残して被害者は姿を消した。

 被害者と共に何人かの人間も消えた。

 おそらくそれが犠牲者達だったのだろう。



 そして、その日から様々なところで殺害が多発するようになった。

 行方不明者も増大した。

 どれもこれも、学校で問題を起こしてる者達ばかりだった。

 それをかばってる者達ばかりだった。

 その家族や関係者ばかりだった。



 この動きは日本全国にひろがっていった。

 あちこちで殺害が発生していった。

 それは反撃に出た被害者によるものだったり。

 被害者の報復を恐れた加害者によるものだったり。

 状況は混迷を深めていった。



「悪い事を野放しにしてきたからだろ」

 久方ぶりにネットにあらわれた被害者はそう語る。



「悪い事をする奴等を認めて。

 悪い事をしても許して。

 そうして悪さを広めてきた。

 俺たちはそれを手助けしただけだ」

 当然と言えば当然の言葉だった。

 何一つ間違ってない。



 悪者を礼賛する社会。

 悪人を賞賛する社会。

 それが人類の作り出してきた社会というものだ。



 悪事を許し、悪人を許し、悪者がのさばる社会。

 虐げられた者は我慢を強いられ、償いなどされない社会。

 それを作ってきたのは人類だ。

 被害者はそんな社会のあり方を正しく用いただけである。

 何もおかしな事はしていない。



 強いて問題を上げるなら、悪人や悪者を殺した事。

 社会が認めた悪事を消していった事。

 この部分だろう。

 社会が認めていた悪人や悪者を倒していった。

 だから警察は被害者を追いかけている。

 そもそもの問題を起こした加害者達を野放しにして。



「そんな社会、壊れた方がいいだろ。

 さっさと滅亡しちまえ」

 もっともな話だ。



 悪事とは誰かに危害を加えることだろう。

 有形無形様々な形で。

 それを当然としてるのがこの社会である。

 そんなものが存在し続ける理由があるのだろうか?



 平穏や安全、安息に平和。

 これらは悪事を切り離したところにしかない。

 しかし多くの人間は暴力や暴動、悪辣さを求めた。

 被害者はそれに対抗してるだけである。



 争いは今日も続いている。

 終わる事無く騒動が起こっていく。

 加害者達が危害を加える事をやめれば終わるのだが。

 そういう気配は全くない。



 仕方なく被害者とその仲間達は今日も活動していく。

 平和を手に入れるために、悪事を働いてる者達を処分していく。

 そうして彼らは少しだけ落ち着いた場所を手に入れる。

 以前のように暴行を加えられない。

 金を奪われる事もない。

 暴言を叩きつけられる事もない。

 そんな幸せな空間を。



 その為に今日も問題を見つけていく。

 見つけた問題を破壊していく。

 問題を起こしてる者達ごと。



 安心して暮らせる場所を手に入れるためだ。

 これ以外に方法は無い

 それを被害者は嫌になるほど悟っていた。



「問題を起こす奴が消えれば、静かになるのにねえ」

 この事実がなぜか理解されない事に首をかしげる。

 それでも今日もやるべき事をやっていく。

 いつか危害を加える悪人悪者が根絶やしになる日を夢見ながら。

気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を


面白かったなら、評価点を入れてくれると、ありがたい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ