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RORDOL -願いの塔ロードル-  作者: 神山
第3節 選ばれし者達
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9. 日の当たる場所


 トワさんの明るい声と共に第2ステップが開始された。


「私とモノに分かれて見るから、1人ずつやってみよ〜!じゃあミナカちゃん、カイヤくん、ヤヅキちゃん、シヤールくんは私が見るからこっちおいで」

「呼ばれなかった君たちは私が担当しますのでこちらへ」


 自発的に名乗らなかった人々への配慮か、モノさんはメンバーを読み上げることなく2つのグループに別れた。


「さっきの説明で分かんなかったとこある?大丈夫かな?」


 モノさん達のグループから少し離れた位置に集まると先程の説明に不足がないか確認するトワさん。


「大丈夫よ」

「たぶん分かった!」

「理解できたっス」

「問題ないです」


 それぞれが理解できたことを伝えると満足げな表情で頷き、じゃあ実際にやっていこうかと声がかかる。


「それじゃまずは、元気なカイヤくんからやってみよう!」


 クリーションの接続の際ミナカが指名されたように、元気よく返事したカイヤから始めようと合図され、その場で彼にプラーティエフが手渡された。突然の指名に少し驚いた表情を見せたが、プラーティエフを受け取ると好奇心が隠せない様子で目を輝かせる。


「よし。この2つを合わせるだけだよな」


 両手にクリーションとプラーティエフを握った状態でトワさんに最終確認を取るカイヤ。


「そうそう、ちょんって合わせるだけだよ」


 そんなトワさんの肯定の返事を受け取ると深く深呼吸をした。


「いくぞ」


 彼女の説明通りに互いをそっと触れさせる。


「ん? 何も起こらな....い!?」


 触れた瞬間は変化が無いように思えた。だが、見る見るうちにプラーティエフはカイヤの手に吸収され始めている。その様はまるで氷が溶けるようで、プラーティエフが小さくなると同時に現れる透明な謎の液体がカイヤの手に吸い寄せられている。


「おぉ、吸収型だったみたいだね」


 成功したことに手を叩いて喜ぶトワさん。カイヤは目の前の現象に驚きながらも、貴重な体験へのワクワク感が言葉にせずとも伝わってくる。


「こ、これすっげぇな!」


 あっという間にプラーティエフは跡形もなく消え去り左手に握ったクリーションだけが残された。


「カイヤくん、カイヤくん。クリーションに"起動"って言ってごらん」


 プラーティエフが吸収された右手を好奇心が詰まった表情で見つめるカイヤにトワさんが声をかける。


「起動?」


 トワさんの言葉の意図を理解できぬまま、彼女が言うままに言葉を復唱するカイヤ。すると左手に握るクリーションが接続時のように眩しく輝き始める。


「なんだ!?」


 カイヤが驚き手を緩めるのと同時に、彼のクリーションは手のひらから数センチ浮かび上がり、中央の本体部分がくるくると回る。


「祝福解放」


 彼女の繰り返すように促す瞳を見て、理解したカイヤは先程と同じようにトワさんの言葉を復唱した。


「祝福、解放」


 その言葉に反応したようにクリーションは輝きを増し、段々と回転も早くなる。その変化は数秒間カイヤの全身に僅かな光を齎すと静かになっていった。


「な、なんか俺の声だけど俺じゃない誰かが頭の中で喋り出したと思ったら急に居なくなって、コレも声と一緒に光らなくなったし、一体何が起きたんだ今」


 浮遊を終え手に戻ってきたクリーションを指しながら、動揺を隠せない様子で早口にトワさんに説明を求めるカイヤ。


「ごめん、ごめん。何も説明しなかったからびっくりさせちゃったよね、そうだよね」


 笑いながらカイヤの肩をポンポンと叩き、大丈夫だと落ち着くように言うと説明を始める。


「さっき途中までしか説明しなかったけど、彼が今やってくれた一連の流れが帰属作業だよ。プラーティエフが拒否反応無く帰属出来たら、クリーションを起動させて祝福を解放する。さっきの例えを持ってくるとしたら、クリーションは空っぽの植木鉢なんだ。そこに願いっていう土を入れて、プラーティエフっていう種を植えた。起動は日の当たる場所に植木鉢を移動したって感じかな?」


 分かるようで分からない例え話を用いながら説明してくれるトワさん。


「起動したらクルクルしてたでしょ、あれが帰属完了の合図だよ。花が育つ環境が整えられましたよって教えてくれてるの。でね、自分の声が聞こえたって言ってたのはね、彼の祝福をクリーションが教えてくれたってことだね」


 祝福をクリーションが教えてくれた?と皆が疑問に思っていると噛み砕いて説明を続ける。


「えっとね、祝福にはそれぞれ名前があるんだ。例えば挨拶の時言ってたけどモノのは"誓約統制"、私のは"天虹魔獣"、みたいに能力を簡単に示した名前があるんだ。これも大事な情報だから人に教えるかは任せるけど、彼が聞いたのはそんな感じで自分が貰った祝福の説明をしてくれる声だね」


 周りにいた私たちの耳には聞こえなかったことから、カイヤが言うように自身の頭にだけ伝えられる情報らしい。自分の能力を示した名前、確かに重要な情報源だ。カイヤはトワさんの説明に納得し、自分の祝福を明かすか悩んでいるようだった。


「みんな分かったかな? 言葉足らずでごめんね、カイヤくんの見てドキドキだろうから残りもちゃっちゃとやって行こう!」


 自分の祝福にはどんな名前がついているのか、期待と好奇心に押し潰されそうな心情を汲んだようにトワさんは次に行う者の名を呼んだ。


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