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RORDOL -願いの塔ロードル-  作者: 神山
第3節 選ばれし者達
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3. クリーション


「到着〜!」


 トワさんの後について到着したのは、先程の倍はあるであろう巨大な建造物。


「ここが私たち9班の会場だよ。広いでしょ!」


 腕を広げ会場の規模を表現するトワさん。

 先程の会場が300人で余裕を持って座れる程度だとするなら、この会場は1000人以上が駆け回ったとしても衝突しない広さだ。8人で使用するとしたら普通に考えれば広すぎると感じるものだが。


「ここで君達の祝福を見ていくよ〜」


 広い室内にトワさんの声が響く。

 祝福、私に一体どんな力が授けられるのだろうか。そんな期待の中、トワさんは手に持っていたスーツケースを開きながら口を開く。


「本当は私達9班にはもう1人メンバーいるんだけど、ちょっと参加できる状態じゃないから一旦はこの人数で始めていくね」


 参加は明日になるだろうから仲良くしてねと話しながらケースの中から何かを取り出した。


「それじゃあ、早速だけどさっき話した神物を配布するね」


 片手でケースを持ったまま中から取り出した物を一人一人に手渡していくトワさん。


「ほい、どーぞ」

「ありがとうございます」


 そうして私の手に渡されたのは直径2cm程度の美しい装飾が施された神物とやら。外側には金色の円状の枠、中央には無色透明な宝石のような物があり、それを包むようにして太陽と月を連想させるようなデザインの装飾が黄金の輝きを放っている。外枠と中央の部分には軸などは無いのだが、くるくると回転させられるが外すことは出来ない不思議な構造をしている。


「これが神物、クリーションって名前だよ。色々な機能が備わってる凄い物なんだけど、さっき話したので言えばロードル内での翻訳機。他には神力から守る印の効力増幅とかもしてくれるんだ」


 一見、ネックレスやピアスのパーツ、ストラップなどにも見える飾りのような物だが、神が創った物である以上、私の知識では理解できないような様々な力があるのだろう。


「でもねクリーションの最大の役割は、願いを祝福に変換すること。祝福は印みたいに神様から直接授けられるわけじゃなくて、神物であるクリーションを通して間接的に与えられるの」


 原理とかはアインスなら詳しく説明してくれるんだけど、と申し訳なさそうにするトワさん。


「私には説明難しくて上手く伝えられないから、とりあえずやってみよう!爆散したりとかはしないから大丈夫、たぶん」

と安心しきれない言葉を残して具体的な説明に入る。


「祝福を使えるようになるには大きく分けて3ステップあってね、クリーションで願いを変換するのが第1ステップ。やり方は簡単だよ。両手でクリーションを包むようにして持って目を瞑るの。そして、自分の願いを込めるだけ!」


 そう言うと、クリーションを持っている想定でやり方を見せてくれるトワさん。


「両手でクリーションを包むようにして持って、目をつぶって願いを込めるの」


 こうやるんだよ、と手を顔の前で組み神に祈りを捧げるようなポーズをとる。


「そして、手の中にあるクリーションの色が変わったら成功! ね、簡単でしょ?」

閉じていた片方の目を開き声をかける。


「それじゃ説明はこれくらいで......早速、君からやってみようか!」


 メンバーを見渡し、トワさんが指差した先にいたのは、瞳をキラキラと輝かせたミナカだった。


「え、あたし...?」


 後ろに誰もいないのを確認したミナカに笑いながら、そうだよと肯定したトワさんはミナカが立つ方へと近づく。


「私が見せたみたいにやってみて」


 ミナカの手に触れると組み方を整え、願いを込めるように促す。

 最初こそ、クリーションを握る手とトワさんを交互に見つめ戸惑う様子を見せていたが、トワさんが優しく声をかけるとゆっくりと目を閉じて願いを込め始めた。


「自分の願いをクリーションに教えてあげて。そしたら君の力になってくれるよ」


 トワさんは声をかけながらミナカから一歩離れた。ミナカは目を閉じたまま言われた通り、自分の願いを伝えようとしているようで眉間に力が入り、クリーションを握る手も強張っている。

 何も変化は起こらないように思えたが、少しするとクリーションを握る指の間から僅かな光が漏れ始めた。カイヤが印を発現させた時のような神々しく美しい光が。


「開けてごらん」 


 トワさんは光が収まるとミナカの手に触れ静かに告げた。硬く閉じていた目を開くと手の中にあるクリーションをそっと覗き込むミナカ。


「...綺麗」


 ミナカの両手に包まれたクリーションは鮮やかな赤色に輝いていた。


「とっても綺麗だね、それが君の願いの色だよ」


 トワさんはいつも通りの笑顔そう言っていたが、クリーションの色を見たほんの一瞬、何か考えるような表情を浮かべたように見えた。

 願いの色と言うことは、願いによってクリーションの色はそれぞれ違うと言うことなのだろう。そして、その色には何か特性があり、そこから分かる情報がある。トワさんはそれを察したのか。


 ..,いや、考え過ぎか。


 色々な可能性を考えたが、深読みしすぎだろうと途中で思考を放棄する。見間違いかもしれない。


「1人目は大成功、ということで残った君達もやっていくよー!」


 トワさんの明るい声が広い会場内に響く。

 願いを持たない私のクリーションは一体何色に輝くのだろうか。そもそも色が変わるかどうかも分からない。

 そんな不安を抱えながらも、とりあえずやってみようと言うトワさんの言葉に勝手に背中を押されながら、手の中のクリーションを見つめ開始の合図を待った。

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