第二章 エピローグ
誰もいない電脳世界、ここは人助のマイルーム。
緑色の髪の毛をくるくると巻いてソファーに座って考え事をしていた。
「・・・」
その日の夜、一人で考えていた。
5歳くらいの時に、家で演奏していた時のこと。
人助が隣の窓から大きな拍手をくれたんだ。
あの時、彼はこう言った。
毎日、俺に演奏を聞かせてくれって言った。
その言葉を今でも覚えている。
「・・・馬鹿だなぁ、私、どうして言わなかったんだろ」
真白ちゃんに幸せになってほしかった。
人助と真白ちゃんの仲に水を差したくなかった。
だから言わなかった。
言ってしまった、特別な気持ちとか思い出とか奪ってしまうから。
でも、馬鹿だなあ。
そううやって一番辛いのは自分なのに、どうして・・・。
「・・・生きている人の幸せまで奪えないから・・・なのかな」
私は死んでいる、死んでいたら家族も作ってあげられない。
料理ができるわけでもない、一緒に天国にいくことだってたぶんできない。
それに、2人がいたから私は帰って来れた気がする。
そんな恩人達に生きて帰っえらせてもらったのに、それ以上を望むことは罪だ。
だから、2人の幸せを守ろう。
きっと神様が許してくれたのは、私になにかやるべきことがあるからだ。
だったら、そのやるべきことの為に私は頑張る。
死んでいても夢は叶えられる、生きている者に明日を。
私は電脳の天井のない空を見上げて、そう思うのだった。




