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電脳世界に死ンドル  作者: 幻想卿ユバール
第二章【狂奏のピアニスト】
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第13話【飲まれるなかれ】

「お前はどうしてインペリアルレコードにいるんだ」

「俺が・・・ですか?」

人差し指をビシッと俺に向けて言ってきたアープル様。

俺はそれに対して顔を少しそらして答えた。

「・・・どうしても、音楽の世界に生きたかった」

「ほう、前のチームではなくか?」

「それは・・・みんなと一緒がよかった、けど・・・みんなともう一度目指したかった・・・けどな、おこがましい話なんだよ・・・俺とアイツにそこまで深いつながりはねぇし、夢をいつまでも追いかけられるほど・・・みんな子供じゃねぇだろうし」

俺が重苦しく話していると俺に向かってアープル様は言った。

「子供じゃなきゃダメなのか?」

「えっ?」

「夢を追いかけるのはいつだって子供なのか?大人になったら子供の様に夢を見るなと誰が決めた?」

「・・・それは」

腕を組みながら、こちらに向かって話をつづけ迫るアープル様。

「貴様は何か勘違いをしているのではないのか、深いつながりはない、子供ではないと夢が追いかけられない、そう思い込んでいるのではないか?」

「・・・」

「自分が思った意思に飲まれては、それでは行きたい場所がどこかすらわからない、彷徨うだけだ、お前自身のやりたいことを真っすぐ突き出さなくては、いずれ、気持ちも心も生きたまま死ぬぞ」

「アープル様・・・」

その言葉になにか響いた気がした。

俺は確かに思い込んでいたのかもしれない。

今まで、どうするべきかと考えた時、きっとみんなは違うと勝手に思っていたのかもしれない。

俺だけが子供で、子供の俺だら今でも夢を追いかけていると。

でも、違うのかもしれない、本当はみんな大人でもずっと夢を見て生きている可能性だってあるんだから。

信じていなかったのだろう、誰も、自分さえも。

だから、飲まれていた、闇とかそういう不安とかに。

俺はアープル様に喝を入れられてなかったら、このまま本当に生きたまま死んでいたかもしれない。

それに気づかせてくれるなんて人だ。

「ありがとうございます、アープル様」

真剣目で俺は頭をサッとすぐさま下げて礼を言った。

するとアープル様がきょとんとしていたが、すぐさまクスクス笑いこう言った。

「・・・ははは!面白い奴め・・・私はただありのままの貴様を述べただけだ、つまり貴様自身がその姿を見て、改めて立ち直ろうとした、我はなにもしていないぞ」

「・・・じゃあ、そういうことにしときますよ」

「ああ、もし本当にありがとうと思うのなら、行動で示してみろ、お前自身の最高の答えを見せて見ろ、我に」

顔をゆっくりあげるとそこにはニッと笑いながらなにか挑戦状を叩き付けているかのような眼差し、俺は今試されているのだろう。

この人に、言われた言葉以上の実力を示すことはできるのか。

ただ、やるしかないんだ。

言われたからには、覚悟を決めて。

「・・・貴様、そういえば時間はあるか」

「えッ?ああ、とくに今なにもないので暇ですけど・・・。」

俺の答えにアープル様がニヤリと笑いこう言った。

「じゃあ、我と散歩でもしようじゃないか!」

「ボヘミア!!?」

突然の笑顔の提案にあんぐり変な言葉を出してしまった。



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