第12話【審査の依頼さ】
家へ帰宅して、ゴーグルをつけパソコンを起動。
「ログイン開始ッ」
俺はいつも通りログインしてバーチャル世界へ移った。
マイルームからすぐさま移動する。
電脳世界のどこまでも続いている筒のような空間を進み光が見える。
次に目に飛び込んだのは【豪邸の部屋】という言葉に尽きる赤と黒のゴージャスな部屋。
というより優雅と言ったほうがいいのか。
「やっぱ・・・あの人の部屋って感じがするな」
「やあやあ、よくきてくれたな」
甲高い声が後ろから聞こえ振り向くとそこにいたのは真ん中で分けた綺麗に出てるおでこ。
長いロングヘアーにギザッとしつつもシンプルに美しさをわからせるこの姿。
「やっぱり・・・アープル様ですね」
「ははは、我こそはレディ・アープル、使いから頼まれて来てやったぞ」
何度聞いても緊張する。
この耳に伝わる凛々しい美声、心の底からあふれ出ている王者の風格。
しかして、どこか遠くなく近くであるかのような存在感。
伝わってくるプレッシャーにやられてしまうかもしれない。
と、こんな緊張している場合ではない。
「アープル様、聞きたいことがあるのですが」
「なんだ、言ってみろと言いたいが私にはお見通しだ」
「うぇ」
俺が唾をのんでたどたどしい言葉を発している中。
ただ、冷静に返すアープル様。
「私がインペリアルレコードにどんな仕事を受けたかだが・・・それは審査依頼だ」
「審査?」
疑問に思っている俺をよそにアープル様が右へ左へと上品に歩きながら話をつづける。
「近々開催されるVirtualChampionLivesだが、審査員として私も参加することになってな、大変喜ばしいことだ。」
「す、すげぇ・・・今年はアープル様が」
俺が驚いて整理がついてなくてもニヤリとアープル様は話をつづけた。
「私だけじゃないぞ、【Mr.X】も呼ばれるくらい今回の審査はマジだ」
「み、Mr.X・・・!」
俺らよりもはるか先の人間・・・伝説の中の伝説・・・。
世界のXと呼ばれる、天の人。
その力は未知数・・・そんな人が今回審査をしてくれるなんて。
「恐れ多いですね・・・もちろんアープル様も含めて」
「ふふ、嬉しいことを言うな、だが、今回それだけの規模ということは貴様らにとってもより今まで以上に厳しい戦いになるということは覚悟しておくことだな」
「は、はい!」
アープル様の鋭い視線がこちらの背筋をビシッとさせられてしまう。
なんという目力・・・そして言葉の重み、
場数の違いと経験の多さから出る人の言葉は俺達はなにもかもが違う・・・。
改めて今回VCRの凄さを思い知った気がする。
俺がそう考えていた時、アープル様が一言俺に言った。
「そうだ、我も貴様に聞きたいことがある
のだが」
「へ?」
考えてもなかった質問に対して俺は思わず、変な声で反応してしまった。




