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電脳世界に死ンドル  作者: 幻想卿ユバール
第一章【その名はGreen・Angel】
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第2話【それが現実ですよ先輩】

寝ている時、俺は嫌な夢を見た。

中学校の頃にみんなで楽しくバンドをやっていた時の夢だ。

あんなに楽しかった日々は他になかった。

ただ好きな音を奏でて、やりたいようにやる。

そんなことをやっていただけだったのに。

いつのまにか俺達には120万人という数えきれないファン数がいた。

そんな俺達に訪れた人生最高のチャンス。

海外への挑戦だ、世界への進出だった。

元々翠歌が目指していた世界進出はとても心から嬉しいものだった。

だが、その世界進出は翠歌だけが声がかかった。

俺達は翠歌の背中を押すべく、アイツを世界へ一人で行かせた。

だが、それこそが最悪の始まりだった。

翠歌を乗せた世界への飛行機は事故った。

俺は深く後悔した、なぜアイツだけを世界に送り出したのか。

なぜ、みんなの力でいけるまで、待たなかったのか。

俺達は翠歌の死を受けて、音楽をやめるつもりでいた。

だが、翠歌の残したスマホのメッセージに書いてあった言葉を見て。

俺達は音楽をやめなかった。

【世界から戻った時、またみんなで音楽をしよう、だから何があっても続けてほしい】と。

カチ・・・カチ・・・。

目覚めた先に映る暗い天井に耳に響く嫌な時計の音。

ふて寝してから目覚めの悪い夢を見てイライラしながらまたパソコンに向かう。

だが、ログインしようとした時に気づいた。

「・・・、ゴーグル叩きつけたんだった」

叩きつけたゴーグルがボロボロになっていた。

一様だが、これがなくてもログインはできる。

だが、デスクトップモードでは動きも見える世界も制限されるため。

あまりバーチャルを堪能できる機能ではない。

だが、世界に戻ってまた翠歌を復活させる作業に戻らなくてはいけない。

俺はため息をしながら、キーボードを打ちながらログインの作業に移った。

「ID・・・パスワード・・・ログイン開始」

【承認確認、おかえりなさい】

シュゥゥゥーッ・・・。

パソコンが光に包まれてまた味気ない線と線で構成された味気ないマイルームに着く。

ソファーとテーブルがあってなんとも普通な部屋だ。

そして、ぽつんと椅子に座っている真顔の少女。

緑色の髪色、長いツインテールに長いロングヘアー。

萌え袖のアームカバーに、赤いマフラー。

ノースリーブのシャツと黒いスカート。

これがバーチャル世界で作られたいわゆる空の肉体だ。

この肉体はまだなにもすることはできないが。

本人の学習能力次第ではどんなAIにも育ち。

最近ではついに人間のような仕草さえも手に入れた。

だが、俺の求めているのは完全な復活だ。

当時の彼女の声も使い、完全に死者を蘇らせたかった。

だが、どんなに努力しても時間を注いでも。

完成することはなかった、人間が電脳世界に生き返ることもなかった。

当時のあるだけの記憶も、彼女の好きなモノ、思いでのビデオ。

いろんなものを注いだ、それでも完全に復活はしなかった。

なにが足りない、なぜ翠歌は帰って来ない。

もう七年もこの戦いを繰り広げているのに、一向に見えない勝利。

俺のこのやってもやっても渇く欲望はどうしたら潤うのかッ!

「先輩、またにらめっこですか?」

「ッ!?」

ディスプレイに突如でっかく現れた白髪ウェーブのゴスロリ少女。

ピアノ柄のフリルをふわりとなびかせ、ベレーのような帽子をなおし。

再びこちらへ声をかけた。

「先輩!動きがないですけどもしかして寝落ち・・・」

「違う!真白、ゴーグル壊しちゃってさ・・・」

「また、ゴーグル壊したんですか・・・タダじゃないんですから八つ当たりに壊さないでください!モノを大切にしましょう!」

優しく怒る彼女の名は【真白真希】、真白財閥の令嬢である。

お嬢様にしてはめずらしく貴族らしいプライドもなく。

自分の身のことを自分でこなすこともできる。

たまに俺の健康を気にしてお弁当も作ってくれている。

真白財閥といえば無限に資金源があるというものすごく謎の多い組織である。

とはいえ、俺達のバンド活動にもかなり貢献してくれし。

彼女の奏でるピアノは世界一上手いと思っている。

「新しいの受注しておいたので、今度は壊さないでくださいよ」

「あ、はい」

行動力と相手に何も言わさず尽くす姿は強いの一言に尽きる。

俺は彼女に非常に申し訳ないと思い、いつもこういう。

「仕事で稼いだ金で絶対返すよ・・・」

が、彼女は決まって微笑み返す。

「気にしないでください、安いもんですから!」

「・・・はい」

金と力を持つ圧倒的真白パワーに俺はいつもなにもしてやれることがない。

それどころか彼女の世話になりっぱなしでなんとも情けない姿である。

「・・・そういえば今日はなんでここに?」

真白が唐突にマイルームに来たことに何も聞いていなかったのを思い出し。

俺は真白に理由を聞くことに。

真白は微笑み言った。

「理由がないと好きな人に会っちゃいけないんですか?」

俺はその言葉に少しむず痒い気持ちになりながらも目をそらして言った。

「からかうな・・・ッ!俺は別に・・・」

俺が言いかけた言葉に対して真白はニコニコしながら一歩下がり言う。

「好きじゃないなら別にいいんですよ?好きになってもらいますから・・・ね?」

小悪魔のような言葉に天使の微笑み。

真白のことは一年年下の後輩とずっと見て来た。

だけど、こういう積極性は他にない人の心をつかむ強いモノを感じる。

優しさ、尽くす思い、真白は実際悪い奴じゃない。

だけど、俺はやっぱり翠歌のことが忘れられなかった。

「・・・お前の気持ちは嬉しいよ、けれども俺は翠歌のことが」

とまた言いかけた言葉にかぶせる様に言う。

「好きなんですよね、知ってますよ」

「・・・」

真白は後ろに腕を組んで歩きながら話をつづけた。

「先輩、別に先輩の行動が無駄とか言っているんじゃないんですよ、ただ、七年かけてまだ納得のいく結果が出せてないのならもう諦めて新しい恋をするべきですよ!」

「そ、そんな・・・そりゃたしかにそうだけど、だからってそれを理由にお前を好きになれってことかよ・・・」

「そうは言ってません、ただ、漫画やアニメじゃないんですから、どんなに頑張っても死者は蘇りません、みんな死んだ人のことをいつまでも思い続けていますが、無理なことや、不可能なことにはきっぱり諦めることも大切です」

真白が次から次へと現実を叩きつけてくることに対して必死に否定した。

「そんなことはない!諦めなれば絶対に夢はかなうんだ!努力が結果を結ぶんだよ!やりつづければどうにかなるって絶対・・・」

その言葉を聞いても真白の言葉は揺るがなかった。

「先輩、人生ってどうにかなるって思ってもどうにもならないのが人生ですよ」

「・・・ッ」

「神様だとか、奇跡だとかにすがっていたら、人間終わりですよ、自分の力でどうにもできないことは神様も奇跡もなんもしてくれません」

あんまりだ、だが、何も言い返せない。

厳しい言葉に俺はもう納得するしかなかった。

「・・・その通りだよ、真白」

真白はニコニコ微笑み言う。

「わかってくれたならうれしいです!」

真白の言葉はとても理解している。

自分でも薄々どうにもならない気がしていた。

だから、その言葉は痛いほど突き刺さった。

真白はそのまま言葉を放つ。

「先輩、理解してもらえたなら私と正式に・・・」

真白が話をしていた時、俺は真白の言葉を聞いて考えていた。

このまま言われたままでいいのかと。

と、その言葉が出ようとしていた時に俺は言った。

「お前の気持ちはわかった、だったら頼み聞いてくれるか」

真白はニコッと笑い言う。

「なんでどうぞ?私に叶えられない願いはありませんよ」

その言葉を聞いて俺はこう言う。

「真白・・・俺とエッチしてくれッッ!」

「・・・」

「それができるなら付き合ってやるッ!」

最低すぎるその発言に一度は真顔になっていた。

俺はその時さすがに引いたはずと思いニヤニヤしていたが。

真白はクスクスと笑い言う。

「・・・ッ!!アハハ!せんぱ~い・・・私、言いましたよね?」

「な、なにを・・・?」

光のない瞳が俺を画面越しから見つめて狂気の微笑みと言葉を見せる。

「私、先輩のことが好きなんですよ?」

「・・・あ」

「だったら、そんなので付き合ってもらえるならいくらでもしてあげますよ?セック〇でコンドー〇使い切るまで一夜共にしていいですし、胸は無駄にデかいのでパイ〇リでもやってあげましょうか?なんなら先輩が望むならメス豚にでも肉〇器でも性〇隷でもなってさしあげますよ!!」

「・・・」

「先輩、もう一度聞きます、その条件でよろしいのですね?」

俺は狂人のような発言の後に黒い微笑みを見せた真白に言う。

「真白、今日もピアノを聴かせてほしいな」

ただ、その場をごまかしたいために苦しい言葉を。


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