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電脳世界に死ンドル  作者: 幻想卿ユバール
第一章【その名はGreen・Angel】
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第1話【最悪な始まり】

「ログイン開始」

シュゥゥゥーッ・・・。

時代はメタバース、バーチャル社会だった。

パソコンやスマホを通じて仮想世界へ行く、その世界の名は【サイバー・ファンタジア】。

世界に30億以上の登録者がいる、もう一つの地球だ。

その発展速度はあらゆる文化にまで影響し、ついに人類は電子生命体も高性能AIだって。

なんだって作れるようになった。

なのに。

「クッソガァよォォオォォッッ!!」

ガッシャアアアン!

怒りを思うがままゴーグルをぶつけ今日も怒り狂う。

「なにがいけないってんだよ!なにがダメなんだよ!どうしてだ!こんなに頑張ってんのに、毎日毎日くだらねぇ仕事をやりながら一生懸命に・・・ッッ!」

惨めに叫ぶ男、髪は長く、髭は整えず、目にはクマ。

現代ではこういう男をダメ男と呼ぶのだろう。

それが俺だ。

人生で音楽をやって三度も人を失った。

一度は事故で、二度目は殺害、三度目は自殺。

俺が悪かった、きっと俺が死なせてしまった。

だからこそ、もう一度生き返らせてやれたらと努力を尽くした。

もう一度会いたい、君たちに、君に会いたかった。

会って君を世界へ連れて行きたかった。

誰もいなくなったこの家で一人。

毎日、毎日、言うことを聞かない、感情の芽生えないこれを生命と呼ぶ根性。

なにが発展したんだ、なにが変わったんだ。

何も変わらないじゃないか人類。

こんなのイジメはなくなったと言って。

見て見ぬふりしている生徒会となにも変わらないじゃないか。

言いくるめて良いようにいいやがって。

「俺は・・・なんのために・・・こんなことッ!」

ダンッ!!

悔しさ、哀しみ、怒り、なにもかもがぐちゃぐちゃになって溶けていく感情。

思わず俺は机を叩いた。

頑張って作ったバーチャルの肉体に、死んだ幼馴染の記憶も声もなにもかも注いだ。

けれども、違う、しゃべっても口を開いてもなにもかもが違う。

こいつは真似ているだけだと、俺の作った通りに動いているだけだと。

どうしたらもっと人になる。

この中身のない、魂のない、コイツをどうしたら・・・ッ!

「どうしたら・・・ッ!俺の苦労は報われるッッ!」

23歳、俺の人生はクソみたいな苦境に立たされていた。

なにを努力しても報われない、何を頑張っても結果の出ない。

淡き夢に溺れて、浅はかな願いに埋もれる。

もがいては苦しみを繰り返す滑稽な生き物だ。

「・・・なぜ、俺が不幸な目にあわなきゃならねぇんだ」

いくつもの悲しみの果てにベッドに不貞寝を決め込むことを決めた。

今なにも考えたくはない。


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