第16話【新たな白い世界】
訪れた当日。
ついに、俺たちの新たな挑戦が始まる。
さて、みんなに教えておかなくてはならないことがあるのだが。
俺は今、真白財閥のリムジンで移動している。
「先輩、今からライブ楽しみですね!」
「う、うん・・・ところで俺は今なにされようとしているの?ついに処される?」
「滅相もございませんよ、貴方には真白家の皆様もとても喜ばしい評価を受けていますよ」
「は、はあ・・・ソレはお褒めいただき光栄です・・・」
短い白髪と後ろにバックするような髪の毛。
そしておしゃれに口元を隠している白髭が長い彼こそ。
アルフォンス、真白家最強の護衛であり執事だそうだ。
今年で80の爺さんには到底思えんな・・・、この運転のキレの良さといい。
経歴を辿れば少年兵、元帥、果てにはSP、どんな経緯でそこまでたどり着いたのかは知らんが、この人も謎の多い人だ。
話がそれたが、俺は翠歌の入ったノートパソコンを持って真白家の豪邸へ向かっていた。
けれども、ライブなら自宅でもできなくないだろうし、問題ないかと思ったが。
なぜ、真白の家へ・・・。
「真白、今日がライブの日なのは知ってるよな」
「はい!ですけど、ライブをする部屋はあそこじゃないほうがいいかなと思いまして・・・」
「んえ?」
思わず疑問に思ったから聞いてみたら真白に笑顔で返答され。
変な声で反応してしまった。
続けて真白は話す。
「私が翠歌先輩に近づいた時、机にぶつけてしまったんですよ、もちろんコントローラーで移動することを忘れていたんのが原因ですけどね、そこで思ったんです!」
「なにを」
「どうせ復活するなら私たちの思い出の場所のほうがいいってね!」
どういうことなんだ、それは。
ふっふっふっと自慢げに言う真白に車で運ばれて。
真白家の門をくぐってもあまりピンとは来なかったが。
家に到着して、地下への階段を下っていったときにようやくわかった。
真白がなにを言いたかったのかを。
「・・・白い、空間!?」
どこまでも広がる白い空間、そして天井に仕掛けられたいつくものカメラ。
いくつも存在する機械。
「すげぇ、これが俺たちの舞台…!」
「それだけじゃないですよ、先輩、まだわかりませんか?」
真白に言われてようやく思い出した。
ここは俺たちが配信で使っていた場所だ。
「昔ね、バンド時代に使っていた、活動拠点・・・ここを改装したのか」
「ピンポーン!昔はコンクリートの壁に床と味気無さ全開でしたが、今回は真っ白な世界に機会とさらに味気無さに磨きがかかってますね!」
褒めたいのかけなしたいのか、笑顔で語り続ける真白。
でも、わざわざここまでしてくれるなんて・・・。
「ありがとう真白、俺絶対に成功させるよ」
「ふふ・・・思う存分やってください!」
真白が用意してくれたこの新たな場所に誓って。
今日のライブ、絶対成功させてみせる!
「(お嬢様、なんと嬉しそうだ・・・70億円の大金を投資したことは黙っていよう)」




