第12話【真白と俺】
「真白ちゃんは人助になにかあったらすぐに何やってんだお前―!ッ怒ってそれを人助がうるせー!知らねー!って、なんだか私よりも全然幼馴染みたいでちょっと微笑ましいよ」
「(素なのか、それとも偶然なのか、あるいは意図的なのか)」
俺は少し考えたあと、とりあえず忘れることにした。
だが、そうだな、翠歌とは喧嘩は一度もしてこなかったが。
真白とは長い付き合いなのか、それとも気楽になれる仲なのかいつもそんな感じだったな。
「・・・まあ、確かに、先輩のことを心配するあまり強くあたってしまうことはまあまあ・・・」
真白はふと覚めたように顔を赤らめて背を向けて歩きながら言い出した。
「先輩は、小学校の頃も私の髪色が変わっているって理由やいいとこの子供ってだけで女の子からもいじめられてた私のことをかばってくれて、中学校の頃も友達は中々できなかったけどわざわざ下級生だった私のところまで来て話しかけてくれて」
「優しいな、君は~」
「うるせえよ・・・」
頬をつんつんしてきてニコニコしながらからかう翠歌にちょっと俺も顔を赤らめてしまう。
「先輩はずっと、ずっと私みたいな地位やくらいしか取り柄がない私に、なにも求めることもなく、本当の友達みたいに接してくれたことが本当に嬉しくて」
哀しげに話していた真白は振り向くと、どこか笑顔ではなさそうな、けれども悲しそうとも言えないそんな表情でこちらに振り向いて言った。
「真白・・・」
「先輩、私が、先輩のお力になりたいのは・・・先輩に救われたからです」
特別なことはなにもしてこなかった。
ただ、アイツの支えになって、アイツの人生が少しでも楽になればと思ってやってきたことがあいつにとって本当に救いになっていたなら、俺はやってきてよかったと思うよ。
今の真白はとても嬉しそうだ。
「私、わかりました、この話をして」
「えっ?」
ふと、翠歌のほうを見て話す真白。
「帰って・・・来たんですね、翠歌先輩が・・・!」
真白の涙ながらの言葉に優しくニコッと笑い返す翠歌。
俺は喉から真白を確信させるように強く、言葉に出した。
「ああ!」
すると真白は涙を流しながら走って翠歌に近づく。
「翠歌せんぱッ!!」
ガッッ!
突如、外からとても痛々しい音が聞こえた。
「真白・・・」
「真白ちゃん!?大丈夫?」
「コントローラーで移動するのわふれてまひた・・・」
嬉しさのあまり、目の前の机にぶつかってしまったらしい。
そこもあいかわらず変わっていないな、真白は。
ともあれ、真白にもわかってもらえたようで良かった。
案外、早くことが進みそうだ。




