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#63

「...好きになって欲しいとか、私から求めることはしない。そう思ってるよね。その通りだった」


 彼女が近づく。その勢いに僕は、たじろぐことすらできない。


「...今、選択を迫られてるとか言わないでよ。彼氏を作れって言われて、初恋の相手に話をしてるだけだから」


「こんな所じゃなくてもいいだろ」


「ここじゃないと駄目でしょ。伊折君」 


 白渡が口を挟む。


 僕の役割を考えれば、その通りだった。ずっと2人だったから、きっと選ばなかったのだ。


「...決め方は乱暴でいい。好みがどうか、役立つかどうかとか、価値基準は何でも」


 言葉自体は投げやりに聞こえる。真剣なのが分かっているから、特に。


「...ここでだけで良いから、我儘言わせて。あの質問の答え、はっきり言葉にして欲しい。付き合うに値するか、そうじゃないか聞かせて欲しい。正面から嫌って言われて、折れない程には頑固じゃない」


 外野の熱狂を遮る程に、彼女は堂々としていた。頼りないとか、心配だとか、そういう問題じゃなかった。確かに、僕は縋られていたかもしれない。でも、彼女は十分しっかりした少女だった。

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