#7
自然科学部は、生徒達にサボり部と呼ばれている。
何かを研究したり調査したりする部活なのだが、部員の半数はそうした活動に携わらず、たまに集まる帰宅部の様な状態になっている。それでいて校内2番目の部員数を持っているのだから酷い話だ。
卓球部を1日で辞め転部した僕も幽霊部員として過ごしている。偶に研究発表会に聴衆として出てアンケート用紙を荒らすぐらいはやっているので何もしていないという訳ではないが。
どうにか飯を済ませた後、久々に部室である化学室にやって来たので、日当たりの良い窓際の席でダラダラしている。
「......」
「...おぉ、黒瀬」
いつから居たのか、隣の席には僕を眺めている黒瀬が座っていた。
「体験入部か?残念ながらここでは何も出来ないんで、あっちの部長とかに絡んでくれ」
「...先輩、昨日は居なかったのに今日は居るんだね」
「そりゃ今日が僕の新入生の呼び込み当番の日だからな、というかお前昨日も来てたのか」
「...どうせここ以外入るつもり無いし」
僕の顔をじっと見つめながら黒瀬は答える。何?ゴミでもついてる?
「...そういえば、白渡さんはどうしたの」
「白渡は卓球部に連れて行かれた」
中学時代、2年秋という時期に女子卓球部に入った白渡は並外れた実力を発揮。毎年最高成績が郡大会3回戦までだった部活から全国大会目前まで来た生徒が現れたのだから、卓球部がその逸材を逃す訳がない。
「...転校生だと大会の出場制限とか無いの、中学校では出てたけど」
「さぁ」
というか黒瀬も確か卓球部だったよな?本人に聞けば良いのでは。