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#K-2

「...別に、母さんが盗られたなんて思ってない」


 あんなに訳の分からない人なのに、挑発と気遣いの区別は出来てしまうことが、私達の血の繋がりを感じさせる。


「...変な人だとは思うけど、あの人がしたがった事なんだから、別にいい」


「じゃあ、私が伊折君を欲しがるのも許してくれる?」


「...先輩が蓮花さんのものにならないで欲しいって、私は思うよ」


 あまりにも正直な、勇気の無い言葉だった。


「おや、気づかなかったよ。会わないうちにとっても強くなってたんだね」


 彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべていた。ちょっとぼやけて見えるのは、最近よくある事だった。


「...私が我儘だったから。本当は、着いて行くだけのつもりだったのに」


 ようやく、質問に答える。というか、答えさせられる。


「...突き放されたのかもって思って、この思いも今日で最後かもって思って。でも、先輩に手を握られてから、変にぶり返しちゃって。何か、いつも通りにいられなくなっちゃった」


 せめてもの抵抗として、彼女が知らないだろう情報を断片的に並べる。


「...でも、先輩も悪いよね。共に苦難を乗り越えてくれるって暗示してるみたいじゃん」


 そんな訳無いと分かっているけど、不思議と都合よく解釈してしまう。

 

「よく分からないけど...伊折君に弄ばれてるって話?」


「...まぁ、そうかもね」


 熱くなったのが恥ずかしくて、返しが適当になる。その隙を狙ったのか、彼女の提案は急に行われた。


「盗られたく無いとか、突き放されたく無いって思ってるなら、皆んなの前で示せば良いんじゃない?」


「...はい?」


「私が狙ってるとはいえ、女の子を弄んじゃう男だよ?伊折君1人よりも、大勢の前で伝えた方が、逃げられずに済むよ」


「...あの、何を...」


 何故か距離を詰めて来る。彼女はしっかり私の目を見つめ、話す。


「初恋を蔑ろにしないでよ。関係なんて簡単に変わっちゃう事、知ってるでしょ?」

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