#44
『劇』
『喫茶店』
『写真展』
『駄菓子屋』
『カジノ』
出るがままに黒板に書かれた案の数々。非建設な口論を繰り返す生徒達。無秩序な戦場と化した教室の中、僕はぼんやりと外を眺めていた。
金曜の午後、ロングホームルームの時間。学園祭のクラス発表、展示についての話し合いをしている。下原高校理数科にクラス替えが無い為お陰か、遠慮し合って意見が出ないなんて事は無い。しかし、議論がまとまりはしない。
まぁ、クラスに馴染んでいない少年にとってはどうでもいい。帰りの時間が遅くならない限り、幾らでも喚いていれば良いさ。
「はーい!ちゅーもーく!このままじゃどうしようも無いから、明日の午後もう1回話し合うよー!」
そんな呑気な考えは、学級委員らしき人の発言によって打ち消されてしまう。
確かに土曜である明日の午前は補講で、学校には来る。だが、ただでさえバス1本の差で帰宅が2時間遅れるのに、昼食の時間、そしていつ終わるか分からない会議を待つのに時間を使うなんてごめんである。かなりのインドアである自分としては、居ざるを得ない用事が無い限り学校に残りたくない。
ちなみに、去年僕は学園祭準備において、任意のボランティアはもちろん、部活、クラスのもの共に一切関わらなかった。しかし怒られずに済んだし、そもそも皆僕の存在を認識していなかった。出来れば、今年も同じ様に過ごしたい。




