#4
山火事、新作ゲーム、人の噂。
世の中にはやたらと広まり易いものが存在する。僕は人生の反主流派を目指してきたため、そうした物事にはあまり流されない生活を送ってきたが、実際に当事者になってしまっては触れざるを得ないのだろうか。
教員を含めあらゆる人間の視線から目を逸らし、2年6組の教室に突入。
「新色!」
「新色君、おはよー!」
絶対僕に挨拶なんてしてきたことのない陽キャ共の声を無視して支度を始める。
テストなんだから勉強すればいいのに、僕に言うことがあるなら直接言えばいいのに、奴らは僕をちらちら見ながら何か話をしている。
まぁ外野の話が外野で終わるなら構わないのだが。
ある程度準備が出来たので、とりあえずトイレに行こうかと席を立つ。すると、突然の騒めきと共に誰かが入ってくる。
「白渡さん!おはようございます!」
「蓮ちゃん!おはよう!」
やはり、あの転校生はクラスに溶け込めたのだろう。そうぼんやりと考えながら、無視して...
「伊折君、おはようっ」
あぁ、面倒臭い。
挨拶は返し終わったのか、僕が廊下に出る直前に、あの、白渡蓮花は僕に声をかけてきたのだった。