#K-1
私はいつも、先輩の隣か、後ろにいた。
親とは生まれてすぐに別れた。預けられた親戚とはあまり仲良くなかったばかりか、"へんなひと"に会ってからやたらと私に絡み始め、嫌いになった。きょうだいはいるらしいけど、会った事ない。
私の居場所は子供達の間にあって、その中でも1番付き合いの長い"いおりくん"との関わりは、私にとって大事なものだった。
最初のうちは、彼から私に会いに来ていた。当時の彼はやんちゃだったから、多分、友人皆んなの家に突撃していた。私もそれに着いて行って、楽しんでいた。
ずっとやんちゃだった彼は、小学校に入って次第に真面目になった。まぁ真面目というか、先生に怒られないように気を付けていたのだろう。私も倣って物静かになった。
まるで優等生みたいだった彼は、中学生になると寡黙になり、勉強、というか暗記に力を入れ始めた。中学校はそういう所なんだと思い、私も真似して、やたらとテストの点を気にするようになった。
ゲームやスポーツはあまり知らなかったが、先輩が好きだったので知識を身につけた。勉強に興味は無かったが、先輩は法学部志望らしいので同じ進路を目標にした。
実際には、私らしさを発揮する大切な時間があった。とはいえ、白渡蓮花が"また"現れたあの時まで、私の行動の6割は新色伊折の模倣か、彼と共にいる為のものだった。