表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/79

#17

 誤解は様々な問題を引き起こす。代表的なのは富士川の戦いにおける水鳥の話だろうか。


 夜、富士沼から一斉に飛び出した水鳥の羽音を源氏方の襲撃と誤認し、平氏の軍勢は総崩れになって退散したというもの。真偽がどうであれ、双方の勢いの差を印象付ける物語だ。


 今回誤解したのは第三者である。しかし、僕が赤っ恥をかかされたことを考えると、何故か維盛に共感出来そうな気がしてくる。


 委員長の誤解を解く時間は無かった。白渡の報告が終わってすぐにチャイムが鳴ったし、そもそも上級生に話しかける勇気が無い。話しかけたとして、実は自己紹介で嘘ついてましたとか、白渡はそこの女ですとか説明するのは恥ずかしくて嫌だ。


 でも誤解されてるのは白渡もだよな?むしろクズで知られる僕の名前を背負う分、あいつの方が不利益を負いかねない。そこまでして僕を辱めたかったのか。


 まぁ"白渡君"の仕事に関してはどうしようもない。僕に出来るのは、放課後即退出し、デートの約束を放棄することだけだ。


「さよならー」


 担任のやる気の無い挨拶を合図に廊下へダッシュ。田舎のバス通学者は何度も一刻を争う経験をしている。1本逃せば2時間は帰宅が遅れる...その恐怖を知っている以上、何にも構ってはいられない。


 机の間を駆け抜け、教室を出るまで後少しの所まで辿り着く。


「ぐぇ...」


 そのタイミングで後ろから何者かに襟と腕を掴まれた。首が潰れそうになり、死にかける。


「伊折君?そんなに慌ててどうしたの?」


「い...いや、やっぱ高校生なんだし、何も準備せずにお出掛けなんて恥ずかしいだろ...?だから下見とか...家で身嗜み整えたり...」


「家に帰ってからの時間で考えると、伊折君はお家デートをご所望だったんだね?丁度明日は休日だし、お泊りまでさせてくれるのかな?」


「あの...勘弁してください...」


 いつも通り笑顔の白渡と、くすくす笑うクラスメート達。まぁ、今回はさすがに、彼女がお怒りなことに気付く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ