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ユグドラシアの麓にて  作者: どらいあい
3/3

第2話『王都に到着!そして冒険者ギルドへ』

空の人になって10分程で俺は空を飛ぶことに慣れた。

イヤッ余計な事を考えるのを辞めただけだ。周囲の山々すらはるか眼下に見下ろせる程の高度である。もしも朝の段階で俺が何かを口にしていたらこの空にキラキラを振り撒いていた事だろう。


それでも何とか持ちこたえた俺は多少は周りを見るくらいには余裕を取り戻していた。


「スゲェ、本当に空を飛んでるぞ俺」

「フフフッそうですよ?やはり魔法がある世界なら空を飛ぶのはお約束ですよね!」


そんなお約束は糞食らえだがこんな景色まで見れるのは流石は魔法があるファンタジーな世界だと言えるよな。

周囲を見下ろすと小さな町見たいなものがいくつか確認できる。

………多分町を普通に行くことも出来ただろうに、何故にこの巨乳女執事は問答無用の空を直進コースなんて言う馬鹿げた行動に出たのだろうか。


「………………」

「ん?何故か慎司さんから残念なモノを見る視線を感じますよ」


俺は急いで目をそらした。

それにしてもこの速度も普通に凄い速さだ、周囲の山々が右から左へと次々に移り変わる。


それなのに吹きすさぶ風は別にキツくもなく寒くもない、ファンタジーな発想だが風の結界的なものが張られたりしていて大丈夫なんだとか、そんな感じのだと勝手に解釈する。


どのみちこの世界の常識とか無いんだし異世界素人がどれだけ考えても正解は出ないだろうからな。

説明されてもゲーム知識が邪魔をしそうだし。

それに事前のバニーの話だと空を飛んで行ったとしてもまだまだ時間が掛かる筈だ。

ここは落ち着いて空の異世界観光でも……。


「さてっ!空の旅に慎司さんが慣れた所でそろそろ本気でスピードを出しますか!」

「は?」

「……大丈夫ですよ?私達の回りには風の結界を張ってますから、例え音速を軽く越えたとしても死にはしませんからね~」


すいません、ちょっとこのイカれ女執事を誰か止めて下さいよ。


「まてまてまて!少し考えたら分かるだろ!?俺は今の速さまでが限界だってば!ちょっお」

「発進!」


その瞬間、世界の全てを追い越したよ。


◇◇◇


俺は光を超えた。

オーバーレイ。

逆巻く銀河を……俺は見たぜ。


「って!何じゃこの走馬灯はぁ!?死んでたまるか!」


危なかった。完全に別世界の何かを見た。


「ちょっとバニーさんよぉ!?あんたマジでいい加減にし……ろ……よ……」

「フフフッ!どうでしょうか慎司さん。これがこの世界で最大にして最高難度のダンジョン、迷宮樹『ユグドラシア』です!」

「すっすげぇええええええええっ!」


突如として俺の目の前に現れたのは、巨大な、本当にあり得ないくらい巨大な大樹だった。

天を、雲すら突き破り、遥か上空にまで深緑の枝葉を広げ、太い幹は周囲の山々をいくつも合わせなければ比べ物にならない程の太さだ。


神々しさすら感じる程の一本の大樹がそこにあった。


「こっコレがダンジョン!?……まっまぁ確かにいくらファンタジーな世界観でも、こんなとんでもない代物が自然に生まれるとは思えないしな…」

「ちなみに、あそこにあるのが王都マグニフィアですよ」

「ん?ああっあれか」


迷宮樹の幹っいや麓の辺りを見ると一部分が遠目にも分かるくらいの西洋的なファンタジーな街並みが広がっていた。


美しい街並みの周囲には城壁の様な壁が囲み、街の真ん中にも更に高い壁が王都の中心部を更に囲んでいる。ロープレでおなじみの城塞都市に近い感じの大都市だ。


更に地形が段々畑見たいになっていて、一番高い所にはドでかい城がそびえ立っている。そのしたの段にはきっと貴族街とかだろうな、人間偉くなったと勘違いすると高い所に行きたがるって会社の先輩が言ってた。


………ところがである。そんなファンタジー全快な街並みにしろ高い建物にしろ、迷宮樹がデカすぎるせいで王都の広さも建物の大きさや高さがまるでピンとこない。

一本の木の根本にミニチュアの街が広がってるみたいだな。台無しだよ。


「さてっ!目的の王都に到着した訳ですが、これからどうします?慎司さん」

「王都の観光!」

「むうっそれらはもっと生活の基盤が出来てからですよ」

「宿探し!」

「それもしますけどぉ~~」


え?それ以外って何だよ取り敢えず王都を観光したいのが本音何だけど。

俺が頭に?を浮かべるとバニーにヤレヤレっといった感じで笑われた。ムカつく。

バニーは少し勿体つけてから喋りだした。


「良いですか?ここは剣と魔法のファンタジーな世界ですよ?そんな世界で大きな街に来たのなら、異世界初心者がやることのは大体決まっているでしょう?つまり……」


つまり?。


「冒険者ギルドに行って、冒険者になるんですよ!」

「………え?俺、モンスターと命のやり取りとかよりも安全に楽して大金を」

「降下しま~~す」


バニーは問答無用とばかりに俺を真下に落っことした。

俺は思い付く限りの罵詈雑言をバニーに向かって叫んでいた。



そして地面に足を着けた俺だ。

死ぬかと思った。

地面すれすれで急ブレーキがかかり事なきを得たが一瞬チビったと思ったぞ、何しろ物凄い勢いで地面に落とされたからな。


ついつい悲鳴でバニーを罵倒しまくってしまったが。向こうも俺を落とした訳だしおあいこだな。

いやっむしろヤツの方が悪いと言い切れる。

なので怒鳴っておく。


「おいっ!てめぇふざけんなよ!?殺す気か!降ろすんならもう少しやり方考えろよな」

「あっあれだけ言いたい放題罵倒しておいてまだ言いますか……流石の私も引いてしまいますね」


引かれても知らん、そもそもコイツがおふざけで人を死にそうな目に会わせるのが悪いのだ。


「大体いきなり人を落とすなよ死ぬかと思ったぞ、何であんなことをしたんだよ」

「ふ~んだ、慎司さんが冒険者とか嫌だ見たいな発言をするからですよ」

「そりゃあするよ、俺この世界に来て直ぐにモンスターに殺されかけたんですよ?あの時はバニーさんが運良く助けてくれたからどうにかなったけど……」


俺の話の途中なのにバニーが若干視線を泳がせる。どうしたと言うんだろうか。

まぁいいかっ構わず俺は話を続ける。


「そもそも俺、チートをくれた時に戦闘に使えそうな能力やアイテムを引き当てる事が出来なかったでしょう?あの時点で俺の異世界生活はバトルなしの安全ファンタジーが確定したんですよ」

「…………は?」


見るとバニーは笑顔なのに背後に黒く禍々しい何かを纏っていた。ガチ切れだ。

は?っは此方の台詞だぞ、一体何が彼女を本気でキレさせたのだろうか。

一応話を聞いてみるか?。


「あの……」

「いいですか?私自身も慎司さんが引き当てた能力、いやっ多大なる恩恵と言えるんですよ?その私を前にして、戦闘に使える能力なんて何もありませんと?それでは私が戦闘でも役立たずだと」

「すいません!本当にすいませんでした!」


なっなるほど、何となく彼女がブチギレてる理由を把握した。

ここで多大なる恩恵って(笑)っとか言ったら下手したら殺されそうなので謝っておこう。


そして笑顔でキレたバニーに頭を下げて謝ることしばらく、やっとこさ怒りをおさめてくれた様だ。

背後の黒い何かは消えて、やっと話を進められる。


「……ふうっまぁ今日の所はこのくらいで許してあげます。それでは王都に向けてここからは徒歩になります、行きますよ慎司さん」

「はっはい……」


笑顔のまま怒られてわりと心身が疲弊した俺だ、しかしこれから10分程歩かなければなれない。

何故に距離をおいて着陸したのかと言うと、バニーが言うには空を飛んでいるのを見られると目立つし王都を飛ぶと下手をすると罪に問われるらしい。


何より王都に入るにはあの見上げる程に高い城壁に幾つかあるこれまたデッカい門で色々と手続きをしてからじゃないといけないらしい。


「まぁ王都の中に夜のうちに飛行魔法を使って侵入したり、空間魔法で転位でもして中に入ってしまえば後はどうとでも出来るんですけどね」

「……それやってもしも外に出ようとした時とかに入った人間の記録とかつけてたりしたら一発であしがつきません?」


道すがらの会話だ。

これだけ大きな都市なら一々人の出入りを管理するのは大変だろう。

しかし王都、なら王様とかもいる訳だし来る人間全員を何でも受け入れていたらどっかの国の暗殺者とか犯罪者とかまで入り込みかねないだろ?なら最低限国に入った人間と出る人間の照合をする為に、顔は無理でも名前位は記録されるんじゃないか?。


本当に何もないならこのガサツなバニーの事だマジでそれくらい適当な真似をしかねないんだけどな。


「……フフフッ!その通りですよ!分かってますね流石が慎司さんです、勿論その通りです。今のはジョークですから」

「……………」


もしかしたら本当に行き当たりばったりで全部やってるんじゃないだろうなこの女執事。

思えば何でそんな真似をさせた?見たいな事が会って一日で既に何度か心当たりがあるんだが?。


しかしまぁこれでやっとファンタジーな世界の街に行けるし、細かい事はこの際いいだろ。

俺達は王都に向けてトコトコと歩き出した。



そしてしばらく歩くと普通に門がはっきり見えてきた、どうやら王都の近くにまでモンスターとかはいないのか、デカイ門の前には行商見たいな人達や俺らと同じ様な旅人(何か武装はしているので恐らくだが冒険者的な連中)がゾロゾロと大きな列を作っている。


あれに並ぶのか、まぁ仕方ないよな。

俺達は最後尾の商人っぽいオッサンの後ろに並ぶ。


「バニーさん、これってどれくらい王都に入るのに掛かるんですか?」

「あの大きな門の先にいる衛兵達が王都に入る人間に対応する筈です、まぁこれだけの人数でも小一時間位あれば入れますよ、少しの我慢です慎司さん」

「まるで俺を先に入れろって駄々をこねるヤツ見たいに言わないでくださいよ」

「フフッそれもそうですね……」


そして並ぶ。

10分くらい経った。


「むうっもう、まだですか?遅いですね~」


やっぱな、コイツは人にどうこう言うけど自分の方が待ったりするのが出来ないヤツだと思ってたぜ。

俺は次第にイライラしはじめるバニーをなだめたりすかしたりどおどおって相手をしながら早く時間がすぎるのを祈った。


「もうこの蒼光剣(クラウソラス)であの門をなぎはらってパニックを起こしてその隙に…」

「待てって!バニーさん、ハウス!ハウス!」

「………私は犬ではないですよ!」


そしてなんやかんやあったが、無事に国に入る事が出来た。

旅の者だと説明していると何かを紙に書き込んでいる人がいたりしたのを覚えてるが何をしていたのかまでは知らん。


まぁ後ろ暗い事なんてこの世界に来てから日が浅いので何も心当たりがない俺だ、内心は既にこれからこの王都での異世界生活に心が沸き立っている。


そして門を抜けるとそこは空の上から見た通り、実にファンタジーな世界やゲームの世界でよく見た街並みが広がっていた。

とても栄えた様子はまさにファンタジー世界の都と言っても過言ではないな。


「はぁ~本当にゲームとかで見た様な綺麗な都市だ、本当にこんな所で住めるのか?」

「勿論です、まぁその為には働いてお金を稼いで宿を借りるか家を買うしかありませんけどね…」

「家かぁ~………」


向こうの世界での約月給じゃあ家なんて夢のまた夢ってヤツだぞ?それどころか車を車検に出すのも大変だったんですけど。

果たしてこの王都にある仕事で俺は家を買える程に稼げるのだろうか……不安しかありませんな。


「それでは慎司さん、まずは色々と準備をするためのお金を用意する事から始めましょう」

「お金を?っあ、まさかバニーさん」

「そうです。貴方がそのリュックに入れていたモンスターの素材を売れる場所に行きましょう」

「おおっ!やっぱりモンスターって素材が売れるんスね!けど、あんな化け物の死骸を誰が買うんですか?とんだ物好きですよねソイツ」

「別に物好きとかではないのですが……まぁ行けば分かりますので私に着いてきて下さい」


言うとバニーは市街地に向けて歩き出した。


◇◇◇


そして市街地に無事に到着した俺達、バザーと言うか市場みたいな所を行き交う人々の中には本当にエルフとかドワーフ見たいな連中がいて俺は興奮してしまった。


街並みは白いレンガの石畳の道に、建物も同じ白いレンガを積んで木材で補強したニ、三階建の建物がズラリと並ぶ。更にツボとかを並べて花を植えたりしているので街並みには自然と色とりどりの花が視線にうつる様になっている。


やっぱり背後の巨大なユグドラシアの影響か、自然との調和を重んじる部分があるのかもな。

ちなみに屋根の色は緑色や青色が多く日本の街並みとは完全に別物だ。

ここでも異世界に来たんだな感が溢れる。


バニーに笑われているのに気づいて正気に戻った俺だ、そして俺達は昨日集めたモンスターの死骸(と言うか素材)を買い取ってもらい少しでもまとまったお金をゲットする為にバニーが案内してくれた一件の店にたどり着いた。


「おおっ本当にゲームの中の店じゃん」


見た感じはファンタジーな世界の道具屋って言う店構えだ。そして硝子窓越しに見える様子は棚に様々なファンタジー的アイテムが並んでいる。用途は一切不明だがな。


「あっ店の人と話をして売るのは慎司さんの仕事ですからね」

「え?あっああ、分かったよ…」


マジか、ちょっと緊張してきた。

まぁ子供じゃないんだし、モンスターの素材を買い取ってもらう交渉くらいチャレンジしてみるのもいいか。


俺達は店に入ると奥のカウンターに老婆がいた、この店のアイテムとかこの老婆のお手製だったりするのか?。

取り敢えず目的をはたそう。


「すみません、モンスターの素材を買い取って貰えませんか?」

「………はいよ、うちは生肉とかは勘弁だよ。買い取れるのは角とか牙とか魔法薬や薬品の材料になるやつだけだからね」


俺はバニーに近づくとこそこそ話す。


「すんません、これヤバくないですか?モンスターの死骸はあの時のままでろくに解体とかもしてませんよ?」


やはりゲームと違ってリアルファンタジーだから事前に解体してそれぞれの素材や部位に分けておく必要があったんだな。

そこまで気が回らなかった自分に我ながら呆れてしまった。

しかしそんな俺にバニーは余裕の笑みを見せる。


「心配要りませんよ、そのリュックにはモンスターの仕事を収納した時には自動で解体してから収納される能力もあるんですよ」

「まっマジですか?そんな能力あのカードには何も記載されてませんでしたよ?」

「それはそうですよ、だってその能力は私が昨夜の晩にそのリュックに付与したんですから」

「あーなるほ……ってちょっと待て」


俺達が二人でガヤガヤしていると店主の老婆が苛ただしげに咳をしてきた。

急いでリュックから売れそうな素材を取りだそうとするとマジで解体された素材がもりもり出てきた。


なんでもこのリュックは俺が取りだそうと考えてる物を自動的に探りだして取り出せるそうだ、まさによじ……っいやあれはテンパると分けの分からんものを出すから違うか。


そんで素材を売った俺達はその金で遅めの朝食を取ろうと言うことになった。

これだけ小綺麗なファンタジーな街だからそこにあった喫茶店的な場所もオシャレだった、何か店の入り口に花壇とかもあった。


そこで出された料理は……。


「……これ、イモムシっすよね?」

「ワームの姿乗せタルトだとメニューにはありますよ?」

「ありますよ?じゃねぇよ!何でそんなの頼むんだよ!しかも自分だけはしれっとチーズケーキとか頼んでるし!」

「勿論慎司さんの面白い顔を見たいからに決まってるじゃないですかぁ~」


かぁ~っじゃねえよ。

イモムシは、残そうとしたらメイド見たいな格好をした金髪ロリな店員が凄い顔で睨んできたので何とか食べた。

吐くかと思ったぜ。


それから俺達は冒険者としての装備を用意するためにファンタジー世界には必ずとあると言える鍛冶屋に向かった。無愛想なドワーフが出てきて俺は装備をゲットした(バニーは私は要りませんからっと言うので俺だけが装備を用意してもらった)。


但し今の俺の身体能力だと鉄製の鎧一式を装備とかして戦うとか無理、恐らく身動き一つ出来ないだろうからすね当てと籠手と胸当てを全て革装備のを選んだ。これでも重くね?っと思ったのは内緒だ。


そして冒険者ギルドへの道すがら再び駄弁る俺達だ。


「慎司さん、これから行く冒険者ギルドでも手続き等は任せますからね?」

「別にいいっすけど書類とか来たらバニーさんも確認くらい頼みますよ?そう言うのは二重確認が大事ですから」

「分かりました」

「後バニーさん、この王都に来てから何か一歩下がった感じでいますよね、特に人前だと。それは何でなんですか?」

「フフフッ気づいてしまいましたか、良いでしょう話しましょうか……」


気づいてしまいましたかって何だよ、そんな大層な物言いはいらないぞ。


「それらは全て私の気遣いの結果なんです、気になりませんでしたか?何故この王都に来てから多くの人々とすれ違ったり会ったりするのに誰も私のこの美貌と愛らしさに目移りしないのかを」

「…………バニーさん」


コイツは時に俺の想像を絶する戯れ言をのたまうのだ。思わずゾッとしてしまった。

そんな俺の視線を無視して構わずアホは話続ける。


「それらの理由は私が事前に自身に気配遮断のスキルを発動していたからです。このスキルは発動者の印象を相手がうろ覚え見たいにするスキルとして使えます。私が本気を出すと誰も私を認識出来なくする事も可能ですが……」


何かベラベラと長い説明が続く。

少し足を止めて待ってみる。


「……そしてこのスキルをいい感じに手加減して使うと私の印象を薄くしてそこにいるけど大して気にならない相手として相手に認識させる事が出来ます。お陰で私の様な絶世の美女を慎司さん見たいなパットしない青年が連れていたとしてもテンプレなチンピラが絡んでくるイベントの発生を押さえて……」


俺は足を止めるのを止めて冒険者ギルドとやらがある方角に向けて歩き出した。


「テンプレと言うはあれですよ。ほらっ冴えないラノベ主人公が綺麗な娘や可愛い娘を連れているとその美貌に釣られたモブがバカな感じを丸出しして絡んでくるってお約束が……」


バニーって変にスイッチ入るとよく喋るタイプだったらしい。


「……………」


一つ、気になった事が出来たので質問する。


「姿を認識出来なくなるって言いましたけど、まさか最初に俺がモンスターに襲われた時もそのスキルで実は近くにいたとかってオチは、ありませんよね?」

「…………………」


コイツ黙りやがったぞ。

そういや俺があの時の話をした時に視線を泳がせてたけどまさか……。


「………ちっ違いますよ?」

「何が違うんすか?」

「あっあれは、その~………」


バニーは視線を明後日の方向に向けながら話す。


「私は姿を隠しておいて、慎司さんがピンチなるのを待って慎司さんのビビり顔を観賞しようだなんてまさか……」


はいっ有罪(ギルティ)

コイツには後日、あのイモムシタルトを食わせてやると俺は心の中で誓った。



そして冒険者ギルドに到着した俺と数分程遅れて到着したバニーだ、建物の外見は周囲の建物よりも大きく存在感がある四階建ての建物だった。


中に入る、床は土足でも言いようになのか楕円形の石を敷いて隙間をコンクリ的なので埋めた感じの石畳で壁や天井も石材だと思われる。

石柱が何本か立っていてそれが支えているんだろう、そして入り口の反対側は吹き抜けとなっていて、柱が並ぶ間からは青空と芝生のある広い中庭が見える。


その中庭で武器を扱う連中が見えた、きっと駆け出し冒険者とかに違いない。

稽古とか練習をしているんだろうな。その為の中庭なのかもしれない。


横目でそんな景色を見ながら俺達は白い大理石のテーブル(おそらく受付だろうな)に向かう。


「こんにちは!こちら冒険者ギルドです。依頼ですか?それとも……」

「はいっ俺達は冒険者になりたくてこの王都に来ました」

「よろしくお願いしますね~」


………本当はもっと危険が少ない職につきたいけど。

まぁなるようにしかならないだろう、その日。俺達はゲームやラノベで同じみな職業。


冒険者に転職したのだ。


























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