ぼっちでも魔王ぐらい倒せるという事を証明してやりたいと思います!!
「覚悟しろ魔王!!」
俺は目の前の魔王にそう叫ぶ。最後のボスと言うこともあって、すごいオーラに包まれている。おそらく今までより激しい戦いになるだろう。
こちらは俺1人。レベルも申し分ない。攻撃技も回復アイテムもしっかりある。この時に備えて色々と準備してきたのだ。
も、もちろんぼっちとか言うわけではない。1人で倒した方がカッコいいからだ。
「なあ、仲間は?」
「は?」
唐突に魔王が、そう尋ねてきた。突然の質問に困惑しながらも剣を構える。こいつさえ倒せば世界は平和のなるのだ。全てが終わる。魔王の戯言など聞くものか。だが、次の魔王の言葉は勇者にとってある意味ダメージを受けるものが飛んでくる。
「もしかして...仲間いないの?」
「は、は、はぁ!?はぁ!?そ、そ、そんなことねーし!!!」
動揺しながらも剣を構える。だがその剣は震えていて、これでは明らかに動揺しているのが魔王に見え見えじゃないか。クソ!仲間にしようとした奴がみんな断ったなんて知られる訳には行かない!だが相手は魔王。知能は人間か、それ以上ある。
簡単に俺の入って欲しくない部分にもズカズカと土足で踏み込んでくる。
「その動揺っぷり、まさか断られた...とかか?」
「だ、だからち、ちげーって!!1人の方が、かっこいいし!」
「ええっと...もう始めるか?」
「う、うるせえ!」
魔王の言葉俺のは心をどんどん傷付けて行く。そのハートはボロボロになり崩れもうすでに泣きそうになりながらもそれを我慢して戦おうとする。だが、ここで俺を一番に傷つけるあの言葉が飛んでくる。
「...ぼっち?」
「ぐああああああああ!!!」
その言葉に俺に大ダメージのエフェクトと999999という絶大な大ダメージを示す数字が現れ俺は死んだ。
霞む視界にはなんだか申し訳なさそうな魔王が最後に見えた気がした。
「はあっ!」
目がさめると木でできた天井が見えた。起き上がるとベッドにいた。白いシーツと白い枕というRPGのような色の組み合わせだ。そうだ。俺はたしか...魔王に言葉だけで負けて...。
「魔王を倒さないと!」
そう言い立ち上がりオレンジっぽいドアを開け階段を降りる。この家自体が全てドアのようなオレンジっぽい木で作られているようで木の匂いがほのかに漂う。
「くそ!とりあえず仲間を探さないと!仲間を引き連れていけば魔王の野郎にもぼっちじゃないって言える!」
そう呟きながら階段を降りるとここは宿だったようで受付が現れる。そこにはなんだか強そうな男とそいつのお供と思わしき女の姿。装備は緑や青の鎧を着ていてどちらも結構レアものの剣を持っている。もしかしたらこの人たちだったら..!
「おい!あんたらも魔王を倒しに行くのか?」
「え?あ、そうですけど」
俺はそれを聞くと嬉しそうな顔になると、握手を求めるために手を前に出してしまう。だが向こうは突然の事に困惑の表情を浮かべる。
「良かったら、一緒に倒さないか?」
「え?」
「何ですか?あなた」
「いや、俺も魔王を...」
「行こ?」
その2人は逃げるようにどこかに行く。それを見ながら「おい!」と手を伸ばすが、その言葉に構わず行ってしまった。
「なんで...なんで...」
「お前、仲間を探してるんだってな」
俺が行ってしまったやつを見ていると声が聞こえる。そちらの方を見ると男女が4人ぐらいいた。
どれも装備も強そうなもので魔王を倒すなら十分なぐらいだ。
「戦って...くれるのか?」
「ああ」
その瞬間、俺の中にある花が咲いたような気がした。
「ほう...今度は仲間を引き連れてきたのか」
魔王は俺を見ながらそう笑みを浮かべる。それに対して俺も笑みを浮かべて仲間たちの方に目を向ける。
「俺は1人じゃない!!仲間がいる!!」
「はっはっは!面白い!来い!」
「おい、金」
仲間のその言葉に俺は「はーっ」と声を上げる。
俺はカバンをゴソゴソするがお金が出てくる様子はない。その光景に仲間も怪訝そうな顔になる。
「俺たちの仲間になる条件は金だ。1時間で1000ゴールド。払えなけりゃ俺たちがお前らの友達になる意味はねえ」
そういうと仲間になったものたちは魔王を無視してどこかに行ってしまう。俺は「おい!」というとその中の1人がこちらに向いた。
「友達でもなおいお前らと魔王を倒す意味はないからな。それじゃーな」
魔王の魔から誰もいなくなり。俺と魔王の2人っきりになった。魔王は少し気まずそうに「もう一回仲間探すか?」と言い、俺はそれに対してこう言ってやった。
「うるせええええええええええええ!!」