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過去この世界に現れた勇者は女子高生でした。

ギャル語から敬語、オタク語まで幅広く言語を操り一説によると見事な営業トークまで披露してみせたそうで、彼女の言葉はこの世界の言語に大きな影響を与えました。将軍と騎士団長の喋り方は少し固いものの一般的な喋り言葉です。

彼女は神の手違いでこちらへ送られたかわいそうな女子高生でしたが、馬を駆れば疾風の如く、槍を取れば雷の如き大活躍をしました。神もガチめにマジビビりしました。

愛馬とまるで喋るように心を通わせた彼女の騎馬突撃は当時分厚い壁のように押し寄せてくる魔物を群れ単位で蹴散らし、ついには魔王をも一騎討ちで討ち取りました。

彼女の活躍によって対魔物戦線でいまいち居場所のなかった騎兵が見直され、極めて数の少なかった天馬騎士が後の世で最強と謳われる一因となります。

将軍(本名エクレール・アレンダイン)は彼女の伝説が大好きで、自分も騎兵にと思っていましたが図体がデカくなりすぎて無理寄りの無理でした。

騎兵にはなれなかったもののめちゃくちゃに強かったので騎馬さえ見つけていれば一人で魔王の首を取りに行っていたかもしれません。

ただ、そんな熱烈なファンだったからこそ近年の異世界勇者ブームで粗製乱造されるゴミのような伝説に我慢ならなかった(彼らの世界の話です)。

ブーム初期に「あの伝説と同じジャンルだ!」と内心ウキウキで手に取った本が大外れだったので彼は生まれて初めて読み終えた本を自慢の書庫へしまうことなく古本屋へ売りました。そこからが彼の過激派人生の始まりです。


騎士団長(本名エゼル・ドールキン)は孤児です。子供の頃いた孤児院で流行った異世界から来る勇者の伝説を面白くないな…と思っていたらいじめられました。

いじめを受けるたびに「ほら、困ってる奴がいても勇者は助けになんて来ない」と嘲り笑い、ついには半殺しの目に遭いました。子供とは恐ろしいものですね。

何故か大人たちは表面上だけの仲直りの儀式をさせて事態は終息したと思い込みましたが他の子供との溝と彼の勇者嫌いは深まるばかり。いじめは続き大人は子供に強く注意をしない。仕方なく彼は子供にも大人にもしっかり復讐を果たし孤児院を更地にして世に出ました。

年を経るごとに彼の世界は広がり、そして救われていない人間の多さを目の当たりにしました。ほら、勇者は人を救わない。そんな風に嘲った後彼は思うのです。

異世界などと、そんな遠いところから来る救いを待つなど愚の骨頂。この世界にいる人間を救えるのはこの世界の人間だけだ。

程なくして流浪の身から一転一国の騎士に、そう時間を置かず騎士団長として推挙され、得難い同志を得て反勇者活動を始めることになります。


黒騎士(本名スツカ・イルダル)は元天馬騎士団です。愛馬とはいずれ世界最強になろうな、と誓い合った仲良しさんです。本人の言った通り天馬騎士は彼が皆殺しにしました。

最も、そんな悲劇も騎士団が各国の勇者召喚でやる気を失わなければ起きなかったことです。堕落した騎士たちは一人やる気のある新人が鬱陶しくて嫌がらせをしていました。世の中クソですね。

しかし心の折れない新人をいじめても楽しくない。ので、天馬の方をいじめることにしました。人間はなんと残酷なことでしょう、これでは滅ぼされるのもやむなしですね。現に勇者は召喚されたところで別に働いていなかったので将軍と騎士団長の国の勇者はクソの中ではマシなクソでした。

自分が多少いじめられたところでなんとも思わなかった新人はしかし、黒く塗られた愛馬を見て完全にキレました。

遊び惚ける先輩を単身で襲撃し実行犯であろうとなかろうと天馬で逃げようと応戦してこようと皆殺しにした彼は自分の内側に闇を感じるようになります。魔王の誘いでした。誘いに乗った彼は闇の力を得て、そして相棒の天馬もまた闇に染まりました。強くなった彼はまず四天王と魔王を弑逆します。その後適当に魔物を率いて強者との闘いに乗り出しました。自分という暴威から世界を救うのは勇者ではなく、天馬騎士ではなく、どこかにいる誰かだと信じて。それが彼の最後の希望でした。

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