プロローグ
この物語はキオモノシリーズ第一作【記憶共有的異世界物語】のリメイク版になります。
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空が緑色のようで、雲が赤色。
目の前に広がるこの世界に、心臓が破裂しそうになる。
怖い、とても怖い。
視線を落とすと着ている服が変わっている事に気付いた。
何か自分の姿を確認できるものがあれば...
「おい、ポカンとしてどうしたよ」
眼鏡、華奢、分厚い辞書の様な本を持った小柄な男。
僕はこの男を知っている。
「冬弥...?」
「あぁ?何言ってんだ。さっさと行くぞ、シュンヤ」
訳が分からない。
親友にそっくりな見た目をしているこの男は、僕が知っている彼とは別人なのか?
確かに瓜二つとは言え微妙に違う。
肉の付き方だったり、口からチラリと見える八重歯だったり...。
だがその姿は間違いなく冬弥だ。
気が付くと匂いさえ知らない場所に居て、親友に似た何かが僕を何処かへ連れて行こうとしている。
怖い、本当に怖い。
これが夢なのかすら分からない。
いや、夢だとしたらリアル過ぎる。
地面を踏みしめるこの感覚、薄い革靴に当たる土の感覚一つ一つが鮮明なのだ。
「ところでシュンヤ、お前...いつまでこんな事続ける気だ?」
よく聞き取れなかった。
シュンヤ?
誰だ?
「僕は俊介だ。シュンヤじゃない」
鼓動がとてつもない速さを刻む。
痛いのが胃なのか心臓なのか分からなくなる。
そんな苦しみを嘲笑うかの様に男の口角がニヤリと上がる。
「そうか!君か、君なんだな!!!」
突然大声を荒げられて、早くなった鼓動に追い打ちがかかる。
やめてくれ、本当に死ぬ。
男はニヤけ面のまま考え込む動作をしている。
ここは異世界なのだろうか?
目の前で考え込んでいる、この親友にそっくりな男...名前は何と言うのだろう?
彼はその異世界の住人と言う判断で間違いないようだ。
「まぁいつかこんな日が来ると思ってたよ、まぁ何だ。説明してあげるからちょっとついて来るといいさ....」
「俊介君」