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第2話:酒場の出会い

これは創作とTRPG“語り部”で動いている企画「百縁草子」の世界観を借りて書かせていただいています。また、書式は通常の小説とは少し異なり、キャラの会話主体で書いているのでご了承ください。

「#」で始まる文:地の文、あるいは筆者の自己つっこみ

○○:「〜」 の文:キャラのセリフ文

SE:〜 の文:効果音

●登場人物

雪見屋氷(ゆきみやこおり)

商工会(しょうこうかい)(中洲の商業全般を管理する組合)の会長。25歳。

薄水色の腰まである髪、白い浴衣、下駄が特徴の美人さん。通称“雪女”。

触れたものの温度を急激に低下させる能力を持つ。

(詳細設定はこちら参照→http://kataribe.com/BZ/01/C/0021/)


静川京悟(しずかわきょうご)

特区警察中州署電脳特捜課課長。28歳。

だらしなくよれたスーツを着ているひょろい男。

年中ダルくてやる気のなさそうな顔をしてるが、その顔の通りやる気がない。一応縁主。


兎岸柚子(とぎしゆこ)

特区警察中州署電脳特捜課で働く少女。10歳。

生まれつき喋ることができない。ハッカーでもあり、ネット上では“Rabbit”と名乗っている。

普段は飛び級により高校生活を送っている。縁主。


●用語

特区警察(とっくけいさつ)

名前通り特区内にある、怨主(オンジュ)崩主(ホウジュ)を取り締まる警察組織。

地方の部署ほど人員が少ないのが現状で、中でも九州に存在する「中州署」は慢性的な人員不足に悩まされている。

中洲署の電脳特捜課は2人しかいないにも関わらず、怨主・崩主の追跡、各種データ収集などを一挙に引き受けているため極めてハードである。


掃除屋(スイーパー)

主に凶悪な怨主を対象とする、縁主の賞金稼ぎ。

現在は怨主捕縛からご近所の猫探しまで幅広い仕事を行うことが多い。

一部の有名企業を除いて、個人または少人数で営業する零細企業と見なされる。


                    ■■■


#本部ビルから抜け出した氷は、予定通り新作マニキュアをゲットしていた

#その帰り道

氷:「危なかったわ。いくら入荷数が少ないからって6個はないしょう。最後の1個が残ってたからよかったけど」

#これは、今度入荷数を増やすように言わないと、などと自分の職権を利用することを考えていたり

氷:「さてと…一応用事は済んだけど、このまま帰るのは勿体無いわね。鈴木もまだ怒ってそうだし。他にどこか寄っていこうかしら」

#人差し指を顎にあて、計画を思案中

氷:「うーん…本屋、美容室、エステ……どこにしようかし…」

#と、歩いていると視界の端に「酒屋」の文字が写る

氷:にぱっ

#つくづくダメな大人。因みに時刻はお昼少し前。

氷:「ちょっとだけなら大丈夫よね〜」

#こじんまりとした小さい店。暖簾をくぐって中へ

店員:「らっ…しゃい!」

#時間も時間なせいか、店内に人はおらず、店員のおっちゃんもそんなにやる気はなさそう

#だったのだが、氷を見て少しテンションが上がったぽい

氷:「ジョッキ生一つお願いね〜」

#カウンターに着くなり早速ジョッキ

店員:「あいよ!」

氷:「ビールって久しぶりねぇ。うちじゃ日本酒しか飲まないし。あ、枝豆も頼もうかしら」

#とか考えていると、店にもう一人客が入ってくる

店員:「らっしゃい」

京悟:「た〜、ダル…おっちゃん、ジョッキ生1つ。あと冷奴」

店員:「あいよ」

#氷から1つ離れたカウンターに座って突っ伏す男

SE:ピロリロリ〜ン!(in 氷の脳内)

氷:(臭いだわ…彼とは私と同じ臭いがする…)

#職務怠慢、サボり癖、やる気ないの臭い

#妙に親近感がわいたので、席を移動して男の隣に座る氷

氷:「ねぇお兄さん、あなたもお仕事のサボり?」

京悟:「あ? そうだけど、あんたは…」

#顔を上げ、声をかけてきた相手を見る

京悟:「あんたは……その服装、商工会の雪女か?」

氷:「あら、私のこと知ってるの?」

京悟:「そりゃ、年中白い浴衣に下駄履いてる女なんて、中洲じゃあんたぐらいしかいないからな」

氷:「私も有名人ねぇ」

京悟:「無駄に目立ってるだけだろ」

#あきれたように

氷:「で、あなたは何やってるの?」

京悟:「何ってそりゃ見ての通りビール飲んで冷奴食おうと…」

氷:「そうじゃなくて、仕事よ仕事。見た感じ、なかなか指名のもらえなさそうなホストくんとか?」

京悟:「よく言われるがハズレだ。一応これでも警察やってんだぞ?」

氷:「ケーサツ? 特警?」

京悟:「ああ。この通り警察手帳だって……あれ?」

#ごそごそとよれたスーツのポケットを漁るが見つからない様子

京悟:「あ……そういや昨日洗濯機にかけちまったから、部屋に干してるんだったな…」

氷:ジト目

京悟:「待て待て。嘘じゃないぞ? なんだったら署に『静川京悟』で問い合わせればだな…」

氷:「はいはい。わかったからわかったから」

#特に嘘にも感じなかったので信じておく

氷:「そんなケーサツの人が昼間っからこんなところで飲んでていいわけ?」

京悟:「同じ“こんなところ”にいる商工会のトップがそーゆーこと言いますか」

氷:「私はいいのよ。優秀な秘書はちゃーんとお仕事やってくてるんだから」

京悟:「そうかいそうかい。奇遇にも、うちにもかわいくて仕事をきちんとこなす優秀な部下がいるんでね」

氷:「ちゃんと仕事してくれる人が部下にいると便利よねぇ…」

京悟:「まったくだ…」

氷:「それじゃ、ゆーしゅーな部下にカンパーイ!」

京悟:「かんぱーい」

#グビグビとジョッキをあおる2人

#飲み仲間としては相性がよさそう

#そしてあれこれ愚痴りながら飲んでいたとき

SE:チャララララン♪

#京悟の携帯が鳴った

京悟:「ん、メールか」

氷:「なーにー? もしかして貴方のこれ?(小指を立てて)」

#因みにもう3杯目ぐらいに突入しているが、2人も酒には強いのか特に酔っている雰囲気ではない

京悟:「だったら嬉しいんだが、生憎そんな相手はいないもんでね。さっき言った“かわいくて優秀な部下”からだ」

#メールは柚子から

柚子:『昼間からのお酒のお楽しみ中に失礼します。そこからすぐ近くの空き地に指名手配中の怨主の発見報告が入りました。一般人数名が賞金目当てに捕縛に向かいましたがこれに失敗、負傷者が出ています。放置しておけば被害が拡大しかねませんので、早急に現場に向い、こに対処願います』

京悟:「はぁ!? 何で俺が向かわなきゃいけないんだオイ! それは他の課の仕事だろうが! てか何で俺の居場所が割れてんだよ!」

#その旨の内容のメールを返信

柚子:『現在、他課の人間は皆別の件で出払っており対処できない状況にあります。そこで現場に一番近く、暇にしている課長に対処要請しました。なお、課長の現在位置の特定は、その携帯電話に仕込んだ発信機により特定しました』

京悟:「発信機だ!? あいつ、いつの間にそんなもんを…!」

氷:「あらあら、かわいい部下に愛されてるのね」

#お酒飲みながらニヤニヤと笑う氷

京悟:「…ああ、全く嬉しすぎて涙が出るな…つーか俺の縁具は戦闘力なんてほとんど皆無だぞ!?」

#そんな旨を返信

柚子:『出来ればそのまま捕縛してもらうのが最良ですが、一応こちらから全課職員に向けて救援要請を出しておいたので、その到着まで粘ってもらえれば問題ありません。お一人では難しいようでしたら、誰か近くにいる縁主にでも協力を頼めばいいでしょう。因みにこの仕事をこなしてもらえれば、“今日、昼間から仕事もせずに酒屋で飲んだくれていた”ということは見逃しますので』

京悟:「あ、あんにゃろう、上司を脅しやがって…!」

氷:「でも確かに警察の人間が昼間から飲んでるのはまずいわよね〜?」

京悟:「ぐっ…」

氷:「まぁいいじゃない。要はその空き地に怨主を引き止めておけっていう時間稼ぎでしょ? どの道被害が増えるのはよくないし、ちゃんとケーサツの本分を全うしたら?」

京悟:「んなこと簡単に言われたって、俺の縁具は戦闘向きじゃないんだよ………ん?」

#ふと気づいたように、氷の左手の甲に目をやる

#そこには縁具との契約印が

京悟:「…あんた、縁主だったのか」

氷:「ええ。1〜2年ぐらいだけど掃除屋の仕事もやってたわよ?」

#今までとは雰囲気の違う笑みを浮かべる

京悟:「……なぁ、協力してくれないか?」

氷:「でも今は掃除屋じゃないし〜」

京悟:「…特区警察中洲諸電脳特捜課課長・静川京悟として協力を要請する!」

氷:「警察手帳も持ってない人に言われてもなぁ〜」

#足をぶらんぶらんさせて意地悪く言う

京悟:「……た、頼む! いや、お願いします!」

#どんどん低姿勢に

氷:「(横目でちらりと見て)…ん〜、わかったわ。でも一つだけ条件」

#人差し指をピンと立てて

京悟:「じょ、条件…? 何だ…?」

氷:「ここのお代、お願いね♪」

京悟:「……!」

氷:「これが飲めないならお一人でがんばってね。あ、でも後ろから応援ぐらいはしてあげるわよ。フレーフレーキョウゴ! って」

京悟:「……わかった。(ギリギリだけどなんとか払えるか)」

#目算で料金をザッと計算して

氷:「交渉成立ね。……じゃ、景気付けに生中2つ追加…」

京悟:「ゴルァ! 特警の薄給なめんなっ!!」

#氷に掴みかかるマジギレ

氷:「じょ、冗談よ冗談…アハハ。で、場所は?」

京悟:「ハァハァ……ここから2〜300mほど離れたところにある空き地だな」

#柚子から送られてきたメールに添付された地図を見て

氷:「そう。じゃ、先に行ってるから。お支払いよろしく〜」

#店を後にする氷

京悟:「……はぁ、運がいいんだか悪いんだか…」

#支払いを終えた京悟も空き地へ向かう。彼の財布の残金は2桁になったのであった。


続く。



・おまけ

#特区警察中洲署電脳特捜課

柚子:(適当にカマかけて居酒屋で飲んでるんだろうと言いましたけど、まさかに本当に飲んでいたとは…)

#はぁ…とパソコンの前で心底疲れたようなため息を漏らす柚子

柚子:(当然、課長の携帯電話に発信機なんか仕込んだりはしてませんけど、これは本当に仕込んでおいたほうがいいかもしれませんね)

#そんなことを真剣に検討しながら

柚子:(とりあえず把握していた仕事は全部終わりましたか。そろそろ寝たいところですけど、せっかくなので学校の課題を終わらせておきましょう)

#机の中からノートと問題集を取り出すと、醤油せんべいを齧りながら苦手な古典の課題を始めたのであった。


勢いがあるときに書かないとね!

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