表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

第6話 魔女の嘲笑

 目覚めると俺は低い台座の上に寝かされていた。


 全裸で四肢を拘束されている、手首と足首に掛けられた鎖は力を入れてみたが簡単には外れそうにない。俺の腕力で破れないとなると……ただの拘束具ではないだろう、恐らくは魔法によって強化を施されている魔道具。

 俺の股間にかけられた布切れが、この悪趣味な演出をした者のせめてもの良心だろうか。 


 石畳の室内は薄暗く何十本もの蝋燭で明かりを取っている、まるでこれから悪魔を呼び出す生贄の儀式でも始めるみたいだ。

 問題なのは生贄の羊がどう見ても俺ということだが……。

 微かな音……いつの間にか部屋の闇に溶けこむように佇んでいる、小柄な体にボロ切れのようなローブを纏うやつがいた。


「魔女…………!」


 唸り睨みつけた。


「くふふ、そんなに力むなよヒイロ、恐ろしゅうてワシ、濡らしそうじゃ」


 魔女は幼児のように甲高い声で、余裕しゃくしゃくとおどける。

 彼女は魔王討伐の旅の際に、魔王やその配下を倒すために貢献した高位の魔法使い。つまりかつての仲間。その姿は常にローブに隠されて正体はしれなかった。


 魔女に用事があると館に呼び出され、出されたお茶を飲んだらこの有様だ。


「カオルとイズミはどうした!? 無事なんだろうな!?」

「くふふふ、安心せい、館のベッドですやすやと眠っておる。ワシの目的はお主だけじゃ、あやつらには手出しはせぬよ」


 一緒に来ていた白黒エロフコンビは無事のようだ。

 魔女の言葉に嘘はないと思う。

 悪魔と一緒で魔女は人をだますが嘘は言わない。少なくとも旅の間、出来ないことは言わなかった。


「どうして、こんなことをしやがる……!?」

「どうして……さてさて、どうしてかのう」


 そう言いながら魔女は俺に近寄りローブを床に落とす。

 埃が舞い上がり微かにカビの匂いがした。

 驚愕する、現れたのは魔女の青白い裸体。


「全てはワシの望みのためじゃ」

「の、望み……だって?」


 喉が渇く、魔女の手が俺の股間にかけられた布切れをつかんだ。


「くふ、くひひ、そのためにヒイロ……お主はワシが利用させてもらうぞ」

「な……なんだとっ!?」

「くふ、くふふふふ、恐れることはない……痛くはしない、むしろこれから行うことはとても、と~ても気持ちいいことじゃ。くふ……くへへへへ」

 

 彼女の血の色艶をもつ真っ赤な唇が、三日月のように裂ける。

 これから行われようとしているのは快楽という名の魔女の拷問、それは甘い腐臭の香りがする果樹に似ていて……俺は恐怖で絶叫した。


「や、やめろおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」





「つまり、ワシの目的のためには、お主の魔力が必要となるのじゃ。何しろお主は曲がりなりにも神に選ばれし者、血の一滴一滴にすら濃密な魔力が秘められている。命を宿す精となるとその数倍と言ってもよいじゃろう」


 こすこすこす…………。


「心の臓をくり貫いて食らうのが一番確実だが、そのためにお主の命を奪ってしまっては本末転倒。ワシの将来せっけ……オホッン、目的も達成できなくなるからのう」


 こすこすこす…………。


「まあ、そういう訳でいい加減、おっききしないかヒイロ?」

「ふざけんなっ!!」


 俺の腹部に乗っかって、小さなお手てで一生懸命におっききさせようとがんばる魔女に向かって叫んだ。

 濡れる艶をもつ黒髪と白皙の整った顔立ち、ふるいつきたくなるような美人である……あと十年もすればの話だが。

 現時点では短い手足に大きい頭、そしてイカ腹のどう見ても六歳前後の幼女だ。

 そう、これがボロボロのローブの下の魔女の正体であった。


「ふ、ふーむ? お、おかしいのぅ? 聖女の話によると裸をちょっこと見せて、こすこす擦れば直ぐにおっききするということじゃったのだが……?」

「なんだよそれ! 馬鹿かっ、馬鹿じゃねーの! 幼女で興奮できるかよ!! いくらなんでも、おっききはねーわ!! ……というか聖女さんがそんなこと言ってたの?」

「うむ、あやつ、ああ見えて中々の好き者じゃぞ?」

「え、ええ!? ま、まじか? うはぁ……せ、聖女じゃなくて性女だったん!?」


 あの清楚でお淑やでおっぱいの大きいお嬢さんが!?

 ちくしょう、知りたくもなかった事実にピュアなハートが打ち砕かれそうだ。

 俺は別に処女厨でも信者もないが、それはそれとして告白した可愛い娘さんが実はビッチだったとか聞かされると、振られた身としては衝撃的だけど何だかこうムクムクと……。


「ぬ? 少し、おっききしてきたかのう?」

「ぶ、ぶらあああああああああああぁ!?」


 まずい!?

 歯を食いしばり慌てて精神を集中する。

 寿限無寿限無……はぁはぁ……危ない立て直したぜ。


 俺に幼女で興奮する性癖はない……しかし生き物としての生理現象までは消せない。愛する女の手以外ではシャインスパークしない? んなことないよ、男なんてEDか精神的重圧がなければ誰の手でもおっきき出来る生き物です。

 だからと言って、モミジのような小さいお手てでおっききするわけにはいかない。

 メタなことを言うならR15タグが付いてしまう。15才以下の可愛いお子さんが作品を読めなくて泣いてしまう悲劇が起きるのだ。


 ……未来あるお子さんに毒電波な文章読ませて、特殊(TS)性癖を植え付けるくらいなら、そのほうが良くないかな?


 とはいえ俺にも人としての誇りがある。漫研で行われた夏休み恒例の地獄合宿イベントの一つ【徹夜でホモビ鑑賞会チキチキ飛ばしっこレース純情派】を思い出して必死に耐えていた。この世界で英雄とまでよばれた俺の魂すら消耗させる禁じ手(トラウマ)だ。


「……まあ、お主が今のワシの体では興奮できぬのは何となく分かっておったのじゃ」

「へ、へへ……こちとら前世じゃ、年の離れた妹が三人いたからな、おっききしてたらそっちのほうがやばいぜ」

「ほほぅ、妹三人とは、なるほど年の割には包容力があるわけじゃ」


 魔女は嬉しそうに微笑んでペロリと唇を舐めた。

 見た目に似合わぬその妖艶さ、背筋に寒気が走る。


「それにお主は乳の大きいおなごが好みだしの? だからこそ余計お主の精が……魔力が必要なんじゃよ」


 ……何故か俺の性癖が把握されている。

 魔女は台座から降りると横でごそごそしだした。


「……というか何で必要なんだ、無理やりこんなことまでして?」


 同じ釜の飯を食った仲だ、精〇の協力は流石に色々な意味で難しいが、血程度でよければ死なない程度に差し出すけど。


「ワシは個体数の少ない長寿の種族でな、これでも三百年の刻を生きておる」

「へぇ……」


 種族はともかく、年齢についてあまり驚きはなかった。

 魔王討伐の時の活躍や旅の指針ともなった深い知識を垣間見ていたし、会話からして見た目通りではないのは理解できている。あと魔女嘘つかない。


「ワシら種族の成長は急激で、芋虫が蛹になって羽化するように幼少期から一気に青年期になり、後は死ぬまでその姿で過ごすのじゃ」

「一気に……それは凄いな」


 第二次成長期は省略するってことかな?


「しかし、そのためには莫大な魔力が必要となるのじゃ……その魔力を溜めるために長い幼年期を過ごすのだが……」

「あー……つまり魔力さえあれば、その長い幼年期とやらを飛ばして大人になれると?」


 MMORPGの高速育成みたいだな。

 育成代行俺、ザー〇ン、――円からとか? ……いや、笑えない。


「くふふ、流石ヒイロじゃ、察しがいいのう」


 わーい、幼女に褒められた。


「では目的のため、大人になるために、こちらも秘策を使わせてもらうのじゃ」


 意味深な発言に、俺、意味もなくどきどきする。

 魔女は紐が付いた薄ピンク色の布きれを持ち、俺の顔全体を覆うように被せてきた。


「お、おい、なんだよこれ?」


 口がもごもごして話しにくい。気のせいかなぁ、ちょっと変態的な感じだ。

 でも何だろう、非常に心が落ち着く……良い匂いがする。

 うん、好きな香りだ。しかし、この匂いはどこかで嗅いだことがあるような?


「くけけけ、そいつはなヒイロ……」


 魔女は嗤う、まるで蜘蛛の巣に絡めとられた蝶々を見下ろすように残酷に嗤う。


「お主と一緒に来たダークエルフの娘が履いていたパンツじゃ」


 …………くぎゅ。






「たった! たった! ヒイロがたったのじゃ!」


 魔女はアルプスの小娘のように大声ではしゃぎ、短い手足を大の字に広げて、俺の回りで喜びの裸踊りを舞っている。

 俺はカオルの紐パン一つで……おっききした。

そしてやっぱり私はR15タグをつけた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ