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第3話 清楚系エルフ

 夜、カオルが寝入ってから王都内の高級娼館へ向かう。

 店に行くとカオルの身請けの際に世話になった店主が出てきて、どうですこれから一献いかがですかと何故か一緒に酒を飲むことになった。

 雰囲気の良い部屋に案内されて侍女達が料理を運ぶ中、二人でポツリポツリと会話しながら緩やな雰囲気で酒盛りを始める。


 カオルは元気にやっておりますか。迷惑をおかけしておりませんか。あの子は心が少し弱い所がありますからね。ハハッ、私にとっては血の繋がってない可愛い娘のようなものですよ。ええ、あなたの元で元気に暮らしてくれているなら……ハハッ。


 などという父親のような親愛の情とカオルとの小さい頃からの思いで話をしんみり聞かされると、ヤンチャな暴れん坊も切なさにじわじわと沈下していく。

 非常に気まずい……何故か無性にカオルの寝顔にごめんなさいと謝りたくなってきた。もう今夜は宿に戻って床につこう、お土産にお菓子と花束買って行こうかな。


 ところがここで店主、最近店に入った娼婦で愉快(・・)すぎて客前に出すには少々問題な娘がいるのですが、見目は麗しいので修行がてらに酌などさせますねと発言しやがった。

 お父さん、あなたは俺に浮気を勧めたいのですか?

 単純な俺、ドキドキしながら待っていると、静々と現れたのは期待を裏切らぬ輝く金の髪をもつ長耳美少女。それは白のロングドレスを身にまとう、おおよそ娼館には不似合いと思える清楚で可憐なエルフだった。


「おお、中々……」


 以前の魔王討伐の旅では男も女も綺麗どころが多く……というかご都合主義な感じで美形しかいなかったものだから、俺の美に対しての選定眼はかなり高いと思う。

 うん、別に俺、面食いというわけじゃないよ。性格が合うかどうかの方が重要だと思っているからね……そう面食いじゃないんだよ、中身なのにちくしょう。

 とまあ、そんな俺ですら思わず称賛してしまう、少女の美貌を察して欲しい。


 しかし少女は自らの華奢な体を抱きしめると嘆くように吐露した。


「くっ、またこの身を売れと言うのですね……人族めっ、わたくしをどこまで愚弄し、辱めるつもりなのですか!?」


 凛とした佇まい、怯えを見せるも気丈に振る舞おうするエルフの少女。

 主張する胸、服の上からも分かる素晴らしく均整の取れた体。

 気品高い姿、森の貴人と称されるだけはあって唯々美しい。

 そんな風に観察していると透明感のある美貌にキッと睨まれた。

 人としての芯もある……少し気が強そうなことを除けば問題ないように思えるのだが?


「わたくしの高貴なエルフボディに熱く滾るパトスを余すところなくブッカケ、その後は卑猥な淫語をむりやり言わせながら、あらあらお姉さんが気持ちよすぎてもう出しちゃったのかな君? なんてショタにアヘダブルピース騎乗している姿を二人して酒のつまみに眺めて楽しむつもりなんですね! 人族めっ、なんと汚らわしい!!」


「………………」


 ……どこの水〇敬だ?


 店主にどうすれば? と視線を向けると、やや疲れた表情で首を横に振られた。

 そうか見た目は良いが中身がダメなのか、それは高級娼婦として重大な問題だな。

 娼婦として修行(・・)した結果ではなく素で欠陥品ということらしい……。

 想像以上の愉快さに言葉もなく見守る俺と店主。


「くっ、そうですか、どうしてもと言うなら仕方ないですね……」


 俺達の反応が宜しくないことに気づいたらしい清楚系美少女エルフ。

 普通に酌をしてくれるのと思いきや、突然、壁に手をつき足を開いてスカートを腰まで捲り上げた。

 そして柔らかそうな尻たぶをキュッと締めつけてナニかをアピール、尻肉の谷間には清楚さの欠片もないアダルティな黒レースパンツが食い込んでいる……。

 白尻と黒パンのコントラスト、しなやかな長い足、非常にエロイが重度のビッチ臭がした。

 これで見た目が極上じゃなかったら普通にドン引き……いやごめん、美少女でも唐突に雰囲気もなく、こんなことやらかされると激しくドン引きだよ。


 例えイケメンでも公衆の面前でいきなり人間打楽器始めたら嫌だろう? 


 君はもうちょっと場所と誘い方を考えて、見た目は非常に良いんだから普通でいいんだよ普通で、男心は案外にデリケートなんだからさ?

 というか頼んでもいないのに、自分からケツを丸出しにしておいて、何で私悔しいんですキッて感じで肩越しに睨んでくるの……何で頬を染めているん、マゾなん?


「ですが、わたくしにもエルフの元女王(・・・)として矜持があります。そう直ぐには屈しませんよ! さあさあ、わたくしを指名しなさいな、覚悟は完了済みです! 縄で縛る拘束からの大人のアイテム使っての特殊プレイも何でもござれ、そして三角木馬や壁尻や乳搾りなどの上級者プレイでも全然いけます! むしろどんと来い!」


 清楚系ビッチなエルフさんはヘイ、カモーンとばかりに自分の尻たぶを叩いた。

 ペチンといい音が鳴る……大味な洋物AVのノリだった。


 もう止めてください、店主さんも苦い物を食べてしまったような顔をしています。

 というか初心者の俺には君は難易度が高すぎます、ハード痴女は無理ゲーです。

 ノーマルな子で童貞卒業してレベル上げてから後で必ずご指名しますので今は許してください。


「ん、んん!? って……あ、あなたは、もしやヒイロ……ヒデオですか!?」

「……また、その、パターンかよ!?」


 俺はエルフの高級娼婦を身請けすることになった。

 元漫研仲間の鬼畜系エロゲーマイスターのイズミ。そして、現TS清楚系ビッチエルフが仲間に加わった。

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