大谷 真琴の考え
最下位からは脱却できない
たとえどんなものであろうとも
頂点には届かない
たとえ万物を手に入れようとも
何を得て何を見て何を学び何を知っても俺は最下位から脱せずまた頂点には至れない
故に凡人
平凡で平坦で一般人で脇役で
ただ特注するところと言えば他者より大分劣っているだけの人間
英雄なんてなりたくなければしたくもなく
他者より勝る努力よりも他者を貶す快楽を選ぶ
英雄は英雄譚読んで楽しんで感動するものであって
助けて手を取って目の前で展開するものではない
それが俺の大谷 真琴の望む人生だ
底辺故に望まない
望む資格がないからこそ望まないから
でも一つ望んでしまったから
軽い気持ちであり得ないと手に取ってしまったから
結局は自己責任
だから俺の命運はここで終わる
一介の脇役は英雄譚の礎となり消え失せる
「天爛の焔よ我へ集え
原初の輝きはここで成る」
何処からか聴こえるは英雄の祝詞
己の作り出す物語をこの地へ書き出す契約の言霊
「母親親殺しの大罪をその身に宿し
父に殺される悲しき子よ」
ここから始まるは英雄譚
脇役を悪役を踏み潰して砕いて進む運命という名の歯車が今回る
「黄泉へ落ちて そこで母の愛を受けるのだ」
さぁ、来るぞ 万物を焼きながら英雄の資格を持った炎が
「write 母親殺しの煉獄」
俺は、吹き荒れる炎に呑まれていく