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メタリックドール・ミチヨの冒険  作者: ジャン・幸田
1.出港準備はいいかい?
3/9

下準備

 わざわざ機ぐるみを着ないといけない理由は、ワープ航法中の宇宙船では生身の人間の活動が著しく制限されるためだ。ワープ中は全身の筋肉が一種の金縛りにあったような状態になるので、身体機能に負荷がかかり続ける事になる。なので、一般乗客は一時的にコールドスリープ状態にしてカプセルに入ることになる。しかし運行乗員はそういうわけにはいかない。殆ど自動航行システムがしてくれるとしても緊急時の対処を行わないといけない。なので、乗員はワープ航法中も動けるように機ぐるみと表現されるアシストスーツを着用しなければならないわけだ。


 裸のわたしはまず肛門に浣腸されてしまった!


 「!!!!」


 このとき排泄ドレーンを挿入されていたのだ! このあと食事は流動食になるので、前日から固形食を一切取らず腹ペコのわたしは悲鳴を上げた! しかしそれは誰もが体験する事なのでお構いなしだった。スーツの装着作業は全て自動制御なので、システムはただ人間と機械を半融合させる作業を粛々と行うだけだった。


 わたしが選んだ機ぐるみは、タイプ5012だった。外観はそれなりに女性らしいものであったけど、それが唯一選択できるものだった。その機能は客室乗務員としてサバイバルに耐えられるものだった。具体的には事故で不時着した場合、救援が来るまで乗客を守り抜く要員という訳だ。だから、戦闘能力すら備わっていた。本当は軍事用なのかもしれなかった。そんな機能があるのはわたしが専攻したのがコースのせいだったけど、それは後の話で。


 それはともかく、わたしの身体の中にどんどんとパーツが入れられるのが分かった。機ぐるみの中に閉じ込められた人体は機械のアシストを受けなければ生命維持が出来ないように「加工」されるわけだ。だから、脱着は専用の施設でしかできないほど「改造」されれうわけだ。こんなことなら、簡単にできる高性能の宇宙服で済むコースに行けばよかったと後悔していた。


 「体内の構造変換が終わったので、これから生体外骨格の装着にいきます。アズミ・ミチヨさん、承諾しますか?」


 システムが発する音声は型通りだった。一応、座学でどんな改造を受けるのかを教えられていたけど、恐ろしく思っていた。しかし、ここまでくると拒絶できなかった。


 「承諾します!」


 その言葉を発した瞬間、わたしは人間のミチヨの姿を消すことになった。

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