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メタリックドール・ミチヨの冒険  作者: ジャン・幸田
1.出港準備はいいかい?
2/9

愛おしい素肌

 今朝はわたしは憂鬱ゆううつだった。実習のためとはいえ機械にならないといけなかったからだ。もちろん、改造されるとかではないけど・・・ようは高機能機ぐるみを装着しなければならなかったからだ。


 わたしが通っている学校は航空宇宙乗務員を養成する機関だけど、超光速航法船に乗務する場合、乗務員は一種のパワードスーツを装着しないといけないからだ。


 そうなるのも、乗客は一時的にコールドスリープになるので問題にならないけど、乗務員は超光速巡行中に活動するためには、宇宙服のような機ぐるみを着ないとならないからだ。しかも外見がロボットそっくりなので、同級生はみんな機械になるなんていっていた。


 登校し、わたしたちは宇宙港行きのバスに乗った。本当は宇宙に行けるのを目標に頑張ってきたというのに、まさか宇宙にいくために一時的に機械の身体になるとは思っていなかった。そうするのも、超光速航法は女性の身体に悪影響を与えるからだという事だった。


 宇宙港附属病院に直行した。そこでメディカルチェックを受けたうえで機ぐるみと揶揄されるスーツを装着しなければならなかった。メディカルチェックを問題なくパスした私は、人間洗濯機のようなカプセルの中に入れられ、全身を洗浄された。そうするのもスーツを一度着用すると最短でも一か月は脱ぐことが出来ないからだ。そのあいだ、この肌を見ることが出来ないと思うと愛おしくなってしまった。お肌のそばかすさえも!


 全身を綺麗にされたわたしは、裸のままで装着マシーンの中に入った。そこには自転車のサドルのようなものが用意されていて、そこにまたがった。じつは、このサドルみたいなものはわたしの股関節部分を覆うことになる部品でわたしと一体化するのを待っていたようだった。


 「それでは装着始めます。各種説明については事前に説明した通り・・・」


わたしは機械と一体化する瞬間を待っていた。それまで人間でいられる時間をかみしめながら。

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