プロローグ
あの子はいつも可愛かった。
なにをしても、どんな時も、いつも私から奪っていった。
私はお姉さんだから我慢した。我慢したけど、誰も私を誉めてくれない。だから私は決めたんだ。
「たくさんあげたからもういいでしょ」
私の家は裕福で、パパは貿易会社の社長をしている。
年収もよくわからないけど、子供の私には関係のない話
「ゆうが大きくなったらパパのお嫁さんになる!」
そんな風に私は初めて喋ったらしい、どんな娘でも初恋はパパなのだ、そんな暮らしが終わりを迎えたのは私が4つになった時。
その日がすごく暑かったのを私は覚えている
「ゆう、ゆうはもうすぐお姉ちゃんになるんだよ」
パパがそう言った、そういえば最近ママにあってないとその時私は初めて気がついた、ごはんも掃除もお手伝いの人がやってくれるからママなんていなくてもいいんだ、パパがいれば私はいいんだ、だから我慢しよう、パパの邪魔にならないように。
「ゆう、これからはパパとまおの3人で暮らすんだよ」
そう言われた時も私は特になにも感じなかった。ママがまおを産んだときに亡くなったのを知ったのは私が14歳になった時だった。
パパがいればいいや、それに私はお姉さんだからーーーまおは小さいときから体が弱いから私が守ってあげないと我慢しよう。
パパが飛び降りたのはそれからしばらくたってからだった
理由はまおに臓器をあげるためだった。
ママもパパも私からとりあげたーー私はまおが寝ている病室でまおを見ていた、いろんな管がまおの体から出ている。心臓の動きを見る機械が規則的な音を鳴らす、その時私の中でなにかが壊れた。
「まおなんかいなくなっいゃえばいいのに」
ずっと我慢していた言葉を出した瞬間病室は光に包まれた