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7-3.Lenehru -Summons-

 

 

ジュン-男

 属性-闇 職業-暗殺者 Lv.48

 称号-なし 通り名-なし

 周回数-3(+1)



  装備リング①:約束された勝利の剣(エクスカリバー)(レア、火属性、使用可能必殺スキル「聖 杯 の 祝 福アンリミテッドブレイドワークス」)


  装備リング②:深紅の魔炎銃(クリムゾンバレット)(準レア、火属性、使用可能必殺スキル「業火の理」)

          倶利伽羅(ク リ カ ラ)改二(極レア、火・闇属性、使用可能必殺スキル「煉獄の救済ダーカーザンインフェルノ」)




エイプリル-女

 属性-光 職業-召喚士 Lv.53

 称号-なし 通り名-氷月華の女王(アイスドールクイーン)

 周回数-2(+2)



 市場(バザール)の『改造屋(カスタマイザー)・フミヒロ』の店から(途中でクエスト報告(主にウッドソルジャー関係)のためにハンター協会へウヅキを送り出してから)宿へと戻った俺達は、部屋に戻ってから改めてフミヒロによって改造された装備の性能を吟味した。


 俺はひとまず店で受け取ったモノの他にも、ウヅキのポーチに入っていた魔弓などを四つ、フミヒロ自らの申し出により改造してもらっていた。『改造屋(カスタマイザー)』の恐るべきところは、俺用に改造した装備の全てに「闇属性」の付与が追加されているところだろうか。あの装備リングの店の爺といい、この街(イーストフローラ)の商人はなかなか侮れない。


 エルの方も、『召喚士』用に改造された装備の出来にご満悦の様なので、俺は改めて追加された四つの武器を見てみることにした。


 朝、爺から受け取ってから左手に着けたもの以外の、ポケットに入れっぱなしだった三つのリングも取り出して、適当に一つずつ装備を着けてみる。――エルが何か言いたそうにこちらを見ていたが、後で説明しようと思った。



  装備リング①:約束された勝利の剣(エクスカリバー)(レア、火属性、使用可能必殺スキル「聖 杯 の 祝 福アンリミテッドブレイドワークス」)


  装備リング②:深紅の魔炎銃(クリムゾンバレット)(準レア、火属性、使用可能必殺スキル「業火の理」)

          倶利伽羅(ク リ カ ラ)改二(極レア、火・闇属性、使用可能必殺スキル「煉獄の救済ダーカーザンインフェルノ」)


  装備リング③:紅蓮の銃(クリムゾンガン)改二(微レア、火・闇属性、使用可能必殺スキル「桜火(おうか)の理」)

          紅蓮の火縄銃クリムゾンフレイムバレット改二(微レア、火・闇属性、使用可能必殺スキル「桜火の理」)


  装備リング④:紅蓮の小刀(クリムゾンナイフ)改二(微レア、火・闇属性使用可能必殺スキル「桜火の理」)


  装備リング⑤:紅蓮の小刀(クリムゾンナイフ)改二(微レア、火・闇属性使用可能必殺スキル「桜火の理」)



 原型弓矢なハズなのに何故「ナイフ」が出来上がるのかとかもうツッコまないでおこうと思った。

 紅蓮の小刀(クリムゾンナイフ)はどうやら一ダースで一揃いの倶利伽羅(ク リ カ ラ)改二とは違い、三本で一揃いという扱いのようだ。


 ……装備時発動能力(パッシブスキル)の付与が無くすべての武器が必殺スキル付与になっているのも、きっと俺の戦闘スタイルとかその辺の都合なのだろうと勝手に納得しておく。スキルがほとんど同じってのもツッコまないでおこう。手抜きされたとか思いたくないし……。むしろここは、同じスキルを連射可能になったとポジティブに受け止めよう。


 一通り装備の確認が終わったので、俺は約束された勝利の剣(エクスカリバー)のリングを腰のベルトに戻し、深紅の魔炎銃(クリムゾンバレット)倶利伽羅(ク リ カ ラ)改二のリングを左手に戻し、紅蓮の銃(クリムゾンガン)改二と紅蓮の火縄銃クリムゾンフレイムバレット改二のリングを新しく右手に通し、紅蓮の小刀(クリムゾンナイフ)改二のリング二つは仕込み刀のような感じで両脚に着けることにした。


 装備リングの装着場所が決まったので、一旦リングなどの装備品は外すことにした(が、何故か両手のリングだけはアクセサリーに擬態するように変化し外せなかった)俺は、ベルトと両脚のリング(脚に通したリングはズボンの上からさりげなく太ももの辺りに着いていた。多分、俺の希望次第では一の変更も可能かもしれない)を外し、そろそろ食堂に降りようかとエルの方へ向き直った。


 ……相当『改造屋(カスタマイザー)・フミヒロ』の仕事がお気に召したのか、いつもよりも多く「光属性」の白金色の光が飛び交っている。……眩しい。


 装備品をベッドにばらまいて恍惚に浸っているエルに、俺は恐る恐る声を掛けてみる。


「だ……大丈夫かよ、エル」


 俺の声に反応し、ようやく動いたエルは、『改造屋(カスタマイザー)・フミヒロ』が改造した元・ルキウスの杖だったモノを握りしめながら言った。


「『召喚用(メイス)』よ!! やっぱりフミヒロの仕事は伊達じゃないわ!! これでようやく『召喚士』として一人前になったようなモノよ!!」


 ……さいですか。



  召喚用(メイス)ヴァナルガンド改(極レア、氷属性、召喚可能対象「深淵の魔氷狼(フェンリル)」)



  召喚用(メイス)ヒミンビョルグ改(極レア、光属性、召喚可能対象「アースガルズの門番(光の神・ヘイムダル)」)



 ……神様呼んじゃうんですか……。

 ちょ、マジ、やっぱあの『改造屋(カスタマイザー)』、タダモノじゃないだろ! 何だよ神様呼んじゃう杖って!


 もう何の杖が原型なのかもわからんが(そもそも俺、杖ってあんまり見分けがつかないし)、とにかくその杖はヤバい!

 っていうか、エルが改造用に出した杖の本数と、今エルが持っている召喚用と言われている杖の本数が合わない気がするのは気のせいですかね!


「本番でぶっつけはやっぱり不安よね……一度試しに召喚してみようかしら……魔力もまだ十分残っているし……」


 今呼ぶのか!!


 俺の心の声によるツッコミは盛大に無視され、半ばトランス状態のようなエルが、青い光を纏っている方の杖を掲げた。……装飾の面影から察するにおそらくはルキウスの杖を元に改造したようだ。


「召喚! 『深淵の魔氷狼(フェンリル)』!」


 宿のベッドで杖を掲げてエルがそう叫んだ瞬間に、ハンター協会に出向いていたウヅキが部屋に戻ってきた。


 エルに「召喚」された深淵の魔氷狼(フェンリル)を見てビビるウヅキだったが、深淵の魔氷狼(フェンリル)に敵意が無いことを悟ると、俺の座っているソファににじり寄ってきた。


「……何がどうしてあーなったの?」


「ソレは俺も知りたい」


「……あー、あと、夕飯はもう少しかかるって女将さんが言ってたよ」


「……そうか」


 紫紺の毛並を靡かせる魔狼に、エルが話しかける。


「えーっと……言葉は分かるのかしら?」


≪応。それと、毎度あのように大層な儀式で我を呼び起こさずとも良かろうぞ、召喚術士の娘よ≫


「そ、そうなのね。今度からはさりげなく喚ばせてもらうわね」


≪応。今から我の主はそなたぞ、娘よ。名はなんという≫


「エイプリルよ。エルって略称で呼ばれることの方が多いわ」


あい分かった。それでは我もそなたを略称で呼ぼうぞ。時にエルよ≫


「何かしら……えーっと、アナタの事は『フェンリル』って呼べばいいかしら?」


≪応。時にエルよ、この屋敷、我がそなたに付いて歩いても構わないだろうか≫


「多分、大丈夫じゃないかしら。あ、でもその姿のままだと、他のお客さんや女将さんがびっくりしちゃうかもしれないわよね」


 フェンリルの紫紺の毛並が靡く、大柄な狼の姿を指してエルはそう言う。


≪相分かった。では我は主であるそなたを守るため、少々姿を変えるとしよう。何、主に危険が及びし時には本来の姿に戻り、死力を尽くしてそなたを守るのみ。問題はあるまい≫


 そう言ってフェンリルは、ポンと音を立てたかと思うとエルの両腕に収まるサイズの、小型犬くらいの大きさに変身していた。顔つきも、先程までの威風堂々と言ったものから、どこか愛くるしいものへと変わっている。


≪我は喚び出せば、主命無き限りは現世に留まる型の召喚獣よ。よって、エルの命あらん限りはここを離れんぞ≫


 愛くるしい小型犬の姿になった紫紺の元狼は、ドヤ顔でエルに抱かれながらそう言う。

 ……正直さっきの狼の姿で言ってくれれば頼もしい言葉だったろうに、小型犬の風貌でドヤ顔で言われてしまうと……威厳もなにもあったもんじゃない。


「あ、フェンリル、実はね、もう一つ、召喚を試したい(メイス)があるの。……アナタが居てもこれを使って大丈夫?」


≪応。我の召喚と他の使い魔の召喚の併用は、我とて何ら問題はない≫


 愛玩犬のような顔をしながらも威厳だけは保とうとしているのかむっつり顔でそう言うフェンリルに、エルは嬉しそうにもう一本の召喚用(メイス)を掲げた。


「召喚! 『アースガルズの門番(光の神・ヘイムダル)』!」


 今度は白金色の光が舞い散り、宿の部屋に片目を前髪で覆った美丈夫が現れた。召喚された瞬間、エルに微笑みを向けるが、その後すぐにその表情は一変する。


≪死ねぇ!! 邪神ロキ(我 が 仇 敵)の息子よおおおぉぉぉ!!≫


 おいフェンリル! 何が「問題ない」だ! 大有りじゃねぇか! 少なくとも俺とタメ張るレベルの長身の美丈夫が子犬一匹追い掛け回してるとか、シュールとか言う次元越えちゃってるじゃねーか! つーかお前の父さんはコイツに何したワケ!?


「えー……とぉ」


≪死ねェ! ヴァン河の怪物め!!≫


≪きゅんきゅんっ、助けて主さま~≫


≪貴様、女子おなごに助けを媚びるか! 恥を知れぃ!≫


「恥を知るのはアンタよぉ!!」


 そう言いながら、エルがフェンリルに襲い掛かるヘイムダルに杖を振り下ろした。


≪ぐはぁっ!? なっ、何をするのだ!?≫


「アンタが何してんのよ!?」


 そういいながら、ヘイムダルさんの頭をぽかぽかと杖で殴るエル。……えーっと、そのオニーサン、一応神様らしいけど、大丈夫なワケ?


≪……フン、愚狼のせいで無駄な時間を食ったな……改めまして、我が麗しき主よ。此度は私をお喚び頂いたこと誠に感謝しております≫


 そう言って顔を上げるヘイムダルは、ザ・光の神ってカンジの爽やかスマイルでエルに挨拶する。


「じゃあ、今後も喚ぶ度にフェンリルを襲うのはやめる事! 二人とも私の召喚対象なんだから、仲良くしなさい!」


≪それは……≫


≪無理ですね。我が主の命であろうとも≫


「無理でもやれ」


 微笑みながら、魔獣(愛玩犬)と光の神(殴られ過ぎて血みどろの美丈夫とか笑えない)にそう言い放つエル。そんなエルに、ヘイムダルは未だに微笑みを崩さぬまま、エルに何かを差し出す。


「……何よコレ?」


≪コレは『ブリーシンガメン』という首飾りです。どこぞの悪しき神が美の女神から奪い去ったモノを、私が取り返した品でございます。これを身に着けていてくだされば、このヘイムダル、貴女の危機には必ずや馳せ参じましょう≫


 腑に落ちない表情をしていたエルではあったが、一応首飾りは受け取っておくことにしたらしい。それを見て満足したっぽい光の神は、光の粒を残して霧散していった。


 その後、ヘイムダルとフェンリルが荒らした部屋を片付け終わったところで、ようやく食堂の方から食事の準備が出来たと知らせが来た。フェンリルは特に咎められることも無く(一部のハンターには、ペットのようにモンスターを連れ歩く者もいるらしい)、食堂に居た少数の女性ハンターや食堂スタッフの女性からの寵愛をうけまくっていた。……別に犬ッコロ相手にリア獣爆発しろとか思ってはいない。断固としてだ。




 翌日の(フローラフォレスト)でのクエストは、俺の新武器とヘイムダル・フェンリルの圧倒的な火力で、かなりの成果を上げることが出来たのだった。



ジュン-男

 属性-闇 職業-暗殺者 Lv.79

 称号-なし 通り名-なし

 周回数-3(+1)



エイプリル-女

 属性-光 職業-召喚士 Lv.92

 称号-神を制す者(ラグナロク) 通り名-氷月華の女王(アイスドールクイーン)

 周回数-2(+2)






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